第17話 新たな目標
ギルドマスターに報告し、ついにEランクとなった俺たちは、すぐに受け付けに移動しヒナリによってカードの書き換えをしてもらった。
そして、悪魔族の討伐報酬をもらったわけだが、その額が信じられないものとなった。
「えっ、こんなにか!」
「はい、悪魔族となれば、人類の敵であり、神々の敵でもあります。そのため各国が懸賞をかけているんですよ。これは、それを含めた額です」
なるほど、それで、この額か、たぶん長い時間をかけてここまで膨れ上がったんだろう。
と思うその額は、ちょっとした田舎で普通に暮らすのなら、20年は楽に暮らせそうな額だ。
それをもらった、俺たちはその額に複雑な思いを感じていた。
「なんか、悪い気がするよな。悪魔族を倒したのはノーランだっていうのにな」
「うん、なんかね」
「ちょっと、ね」
グロウたちはそんなことを言ってくれるが、俺としては3人と一緒だから討伐できたと思う。
「おい、ちょっと待てよ」
「んっ」
俺が3人に声をかけようとしたら、不意に後ろから恐る恐るといった感じに声をかけられた。
「なんだ」
「お、お前ら、あ、悪魔族を討伐したって言ってなかったか?」
「ええ、そうですよ、彼らは間違いなく悪魔族を討伐なされました」
これに応えたのはヒナリだ。確かに俺たちが肯定するより信じられるだろう。
「まじかよ、すげぇな」
それから、ギルド内は大騒ぎだ。
そんな騒ぎの中、俺たちはグロウとゴラスを病院に連れて行くということで強引にその場から離れた。まぁ、実際に行ったわけだけど。
そこで俺たちは一通り検査などをしたが、特に問題もなくすぐに帰ることができ、今は銀狼亭に帰ってきていた。
「お疲れ」
「お疲れさん」
「ほんとに疲れた」
「ほんとにね」
「ああ。そうだな……」
何やらグロウが何かを言いよどんでいるような気がする。
「どうしたんだ、グロウ」
といっても俺には何となくわかっていた。
「ああ、実はな、ノーラン、俺ら、田舎に帰ろうと思うんだ」
やっぱり、思っていた通りのことだ。
「……そうか、そんなことを言い出すんじゃないかと思っていたよ」
「そうか、悪い」
ゴラスとケイトを見ると2人も申し訳なさそうな顔をしている。
「いいさ、これで、カプレス・カルムは、解散だな」
「ああ、そうなるな」
「寂しくなるね」
「そうだな」
俺たちはまるで葬式みたいな雰囲気になっていた。
「でも、これで今生の分かれってわけじゃないだろう」
「もちろんだ。もしノーランがカプレスに来るようなことがあったら、寄ってくれ」
「そうそう、いつでも、歓迎するからね」
「サービスもするよ」
「そうか、それだったら、いつか必ず行くぜ」
「おう、待っているぞ」
それから、俺たちは、4人での最後の夜を過ごし、次の日、グロウたち兄弟はミルダルタを去っていった。
また、1人になるな。
俺はそんな3人を見送りながらそうつぶやいた。
『あら、私を忘れてない』
俺の背中でそんな声が聞こえた。
そういえばそうだったな、レーヴェがいるんだった。
レーヴェというのは当然俺が手に入れた剣レーヴェボルグのことだ。
ミルダンジョンから帰る途中念話を使って少し話をしたときに、レーヴェ本人? から、そう呼ぶように言われたために今はそう呼んでいる。
ちなみに念話というのは声を出さずにする会話スキルだ。もともと俺は持っていなかったが、レーヴェが持っており、レーヴェとつながりができたことで俺も覚えた。
「なぁ、レーヴェって、一体、何なんだ」
実は俺は、いまだレーヴェのことが何もわかっていない。なぜあそこにいたのかもいつからいたのかも、どうして、俺が所有者なのかもだ。
本当はもっと早くに聞いておきたかったが、まだ念話になれていないし、何より、グロウたちはともかくナーヤやサイトスがいる状態では聞くに聞けなかったからだ。
というわけで、今日は、休みにしてレーヴェからいろいろと聞こうと思う。
「ここなら大丈夫だろう」
俺がやって来たのは銀狼亭で、俺が使っている部屋だ。
ハナにはしばらく部屋にこもると伝えてある。
そんなわけで話を始めることにする。
『そうね。それじゃ、何から話そうかしら、うーん、そうね、改めて自己紹介をするわ』
こうして、レーヴェの話が始まったわけだが、結構長くなった、そこでまとめるとこんな感じだ。
まず、レーヴェの正体は、金属の神オラフが生み出した神界にしかなく、神にしか扱えないオリハルコンを使い、鍛冶の神ドルードが打ち上げ、最高神たる女神レイフにより生み出され剣のために調整された魂が収まり、その他の神々より祝福を与えられたいわゆる神剣たる存在だそうだ。
そんなレーヴェが生まれた理由は当時存在していた悪魔王を討伐するためだった。
しかし、本来レーヴェは生まれるはずではなかった。
レーヴェには姉と呼べる存在がいる。本来であればその剣を持った人間が悪魔王を討伐するはずだった。だが、その剣を手に入れる寸前、その所有者となるべく人間が背後から刺され殺され、剣が奪われた。
そして、その犯人こそかつて悪魔王を討伐しこの世に平和をもたらした勇者にしてナンバル勇者王国初代勇者王、ガイナル・ダート・ダ・ナンバルだったのだ。
「まじかよ。それじゃ、何か俺たちはみんなだまされていたってことか」
『さぁ、そこまでは私もわからないわ。何せ私はお姉さまが奪われたあとすぐに作られて、あそこであなたを待っていたのだから』
とレーヴェが言うが、なんで俺を待っていたのかというと、正確には俺の前世のことだった。俺の前世は、アルバ―という世界屈指の剣士だったそうだ。
俺としてはぴんと来ないが……、とにかく、そんな前世の俺を待って数百年レーヴェはあそこにいたようだ。
ちなみになぜ俺がレーヴェを見つけなかったのかは誰にもわからないらしい。
「なんか、すげぇ話を聞いちまったなぁ」
『とにかく、私はようやくあなたに出会えたってわけよ。でも、お姉さまはそれがかなわなかった。それを思うとつらいわね』
「でも、その本来の持ち主が俺みたいに生まれ変わっていればいいんだろ」
『そうだろうけど、そう簡単には見つからないと思うわよ』
「まぁ、そうかもしれないけど、とにかく両方探してみよう。剣の方はたぶんナンバル勇者王国にありそうだし」
『そうね、そうしましょう』
こうして俺たちのしばらくの方針が決まった。
それは、レーヴェの姉たる剣とその使い手を探すということだ。
だが、そのためにもまずやらなければならないことがある。それは、俺がDランクとなることだ。




