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【書籍発売中!】ライブラリアン〜本が読めるだけのスキルは無能ですか!?  作者: 南の月
第一章 底辺スキルの貴族令嬢

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救出

気づいたら、暗闇の中にいた。

ガタゴト揺れているので、きっと馬車に乗っているんだと思う。


え?なんでこんな状況に?

…?

さっきまで私は屋敷にいて…

えっと…庭を散策して…それから…あ、レア!

レアを見つけて話そうとしたのよ。


レアは大丈夫かしら?

…いや…状況的に考えれば…

一度も屋敷に来たことがないレアがあの日たまたま…しかも正面玄関ではなく、庭の奥の柵の向こう側から呼びかけることなんてあるかしら?


嘘…


いや…わからないじゃない。

ちょっと変だなとは思うけれど、偶然通りかかって、私の姿を見つけて、呼びかけたところで、二人揃って事件に巻き込まれた可能性だって…あるわけだし。


証拠が無いうちは、そう信じよう。

うん。

そうじゃないと……うっ…


涙が出そうになって、必死に抑える。

しかしわずかな音が聞こえたのか「起きたんじゃないか?」と周りが騒がしくなる。

しまったぁぁぁ!

どうしましょう!


えええと、こういう時は…状況を把握するのと、「助けて」って叫ぶのと、あとは…逃げる!だったわね。

どう考えても非常時なのに少し落ち着いていられるのは、ゼポット様の護身術のおかげかもしれない。


「もうここまで来たら大丈夫だろ」


「ガキはすぐ死ぬ。死んだら困るからな。水だけ飲ませとけ!」


その時馬車が止まった。

麻袋も開かれる。

視界が開けたそこには、ナイフ片手に屈強な男が3名。


でも…今しかない!

「助けて!誰かー!助けてー!」

荷馬車から飛び出る。

普段馬車から飛び降りるなんてしたことないから、着地で盛大に転ける。


それでもめげない。

「たすけ…」


え?言葉が出なかった。

辺りを見回すと真っ暗な森の中。

これは…ヤバい。


「お嬢ちゃん残念だったな。

いくら叫んでも、ここじゃ誰も助けてなんかくれねーよ」


「どうした?絶望で声も出せねぇか?」

男たちはゲラゲラと笑っている。


うん。これはやばい。

全く地理がわからないし、いま気づいたが寒い!

ちょっと庭に出るくらいだったので外套を羽織っているものの、冬の夜を耐えれるほどは着込んでいない。

幸いなのは、屋敷で誘拐された直後に麻袋に入れられたらしく、いつも身につけている赤いポシェットなど身の回りの持ち物を取られていないことだ。


ポーチの中には食べ物もあるし、上からダークグリーンのローブを羽織れば、見つかりにくい。

それに…とにかく逃げる、逃げて逃げて逃げる。

何はともあれ逃げる。

諦めないで逃げなきゃダメなんだもんね。ゼポット様。


そう決めると私は夜の森に駆けて行った。

**********


はぁっはぁっはぁっ。

森の中を走っている。

全速力で走っている。

対する男たちは一人は馬車に留まり、残り2人は私を狩猟中のうさぎか何かのように楽しげに追い詰めてくる。

どうせこんな子供が逃げ切れるわけがないとわかっているのだ。

わかっていて、面白い娯楽のようにゲラゲラ笑いながら、時折風魔法で転ばされ、時折水魔法で拳大の水球が飛んでくる。

もう3度転んだし、背中も左足も右頬も濡れている。


こんなの逃げ切れるわけがない。

そんな気持ちもじわじわ起きてくるが、それでもとにかく逃げる。

男たちがゼポット様より怖くないことだけが私の原動力だった。


ゼポット様より怖くないもの。

あんな男たちから逃げるなんてなんてことない。

大丈夫。

できる。

できるはずよ。


「おーい。そろそろ諦める気になったかー?」

「そろそろこの遊びも飽きちゃったんだよなー。

お腹も空いたし、手間かけさせないでくれる?」


はぁっ。はぁっ。

とにかく、とにかく走らなきゃ。


「もう…面倒かけさせるなって言ってるだ…ろ」


次の瞬間男が隣に並ぶ。

捕まった!

「助けて!助けてー!」

練習通り叫ぶが…やっぱり森の中。

誰も助けてくれる人はいない。


イライラしたのか男が掴んでいた腕ごと地面に叩きつける。

「助けてくれる奴なんていないって言ってんだろ!うるせぇんだよ!」

「それ以上すると死ぬ。」

「チッ!」


男は土の上で倒れてる私の髪を掴み顔を引き上げる。

寒い中ずっと走ってきた。

寒いし、疲れた…もう限界かなぁ…

走る練習はしたけどさ…そもそも子供の足じゃ無理だよ…


「クソっ!どこまで手間のかかるガキ…」


ドン!

急に何かが飛んできて男にぶつかる。

なんだろう?


男たちも想定外なのか焦る。

私も立たされ、人質のように男の盾となる位置でガッチリホールドされている。

暗くてよく見えないな。

月に雲がかかったのだ。


ヒュン!

何かが飛んでくる。

ビュン!私を掴んでる風魔法使いの男が、風を起こし相殺する。


「そこか…」


水魔法使いの男が水を打つ。

大量の水に何かが流されるように転がり出てくる。

ゲホッゲホッ。


「なんだ…子供か?」

「悪いが見ちまったんなら仕方ねぇな。」


水球が放たれる。

危ないっ!

ゲホゲホとまだ苦しそうに座り込んでいる子供の横から何者かが子供を引っ張り避ける。

よかった。


「なんだ。まだいたの。1匹残らず…」



その時横から私を掴む風魔法の男に向かう何かが突っ込んできた。

早いっ!

だが男はスッと避け、突っ込んできた何かを掴んだ。


「ネイト!!!」


雲の切れ目から月夜がネイトを照らす。

男が掴んでいたのはネイトの足だった。

横から蹴りを入れたらしい。


「クソッ!」


「なんだお嬢様のお友達?

じゃあいい金に…ん?にしては薄汚れてんなぁ!」


足を掴まれたネイトは逆さ吊りにされている。

ネイトがいるってことは、きっと他も孤児院の子だ。

愛想尽かされたと思ってたのに…


「やめて!

あんたたちの目的は私でしょ?

もう捕まってるからいいじゃない!」


その時ネイトがもう一方の足で男を蹴る。

わずかに顔に当たったようで、男の顔が怒気を帯びる。


「クソガキが!」

掴んでいた足を振り回し、投げ飛ばす。


!!!


「お嬢様のナイト気取りか?

調子に乗るんじゃねぇよ。

お前らみたいなガキが何人いたところでかわらねぇーよ!」


そう言って倒れたネイトに近づいていく。

まだネイトは起き上がれない。


ネイト!!!

ポシェットから魔法陣を取り出す。

今助けるから!


バシャっ!


「何するつもり?

その紙で何かしようと思ったみたいだけど、もうきっと使い物にならないね。」

一瞬で私の持っていた魔法陣の紙は、高圧の水で破れ、溶け、ビリビリになっていた。


そ…んな…

「とにかく大人しくしてくれないと困るんだよね」


そう言うと私の周りには水の壁が展開された。

囲まれた!!

出ようとしても、水流に押し流されて中に戻ってきてしまう。


ネイトはまだ動かない。


「ネイト!ネイト!早く立って!逃げて!早く!立ってーーーー!」

誰か!お願い!!ネイトを助けて…



はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!


木陰から太い木の枝を持って男に飛び掛かる。

男はまたその木を避け、蹴り飛ばす。


ルーク!!!


その後も次々と子供達が男に向かって行くが悉く返り討ちにされている。

次から次に挑まれて男のイライラは募っているようだ。


ダメ!このままだとみんなが死んじゃう。


「い、ま…助ける…からな。

みんな!死んでも!諦めるな!

お嬢を助けるぞ!」


「はぁ?なにイキがってんだよ!

お前らなんてな!指一本傷つけられないだろうが!

それで何を守るってんだ!え?

さっさと死ねよ」


キラリ光るものが見えた。

ナイフ!


「お願い!逃げて!

もういいから!もういいから!

逃げて!

お願い!はやく!!!!」


なんでよ…なんで逃げないのよ…

これじゃみんな…死んじゃうじゃない


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