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【書籍発売中!】ライブラリアン〜本が読めるだけのスキルは無能ですか!?  作者: 南の月
第一章 底辺スキルの貴族令嬢

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冒険者ギルド

チョキン、チョキン。

水の入った桶の中で茎を切り、水切りする。

前世を思い出してから、ジョセフに頼んで切花を見繕ってもらっている。

勉強で部屋にいることが多いので、部屋に花があると癒やされるのだ。

ジョセフ直伝の砂糖水に生けると、なかなか花持ちがいい。

今日まで飾っていたのは、白のストックに黄色のオンシジウム。

ストックは萎れてしまい、オンシジウムも元気な花が少なくなってきた。

背の高い花瓶からミルクピッチャーに生けかえる。


真っ白なミルクピッチャーに黄色いお花…可愛い。

背の高い花瓶には、今日ジョセフからもらってきたピンクのストックと薄いレモンイエローのカーネーション。

同じストックだけど白からピンクに色が変わるだけで、ガラリと印象が変わる。

一気に部屋が明るくなる。

まだ外は少し寒いけれど春の気分だ。


コンコン。

「準備はできたかい?」


「はい!マリウス兄様!今日はよろしくお願いします。」


「うん。よし。格好も問題ないね。

じゃあローブもしっかり上から羽織っておいて。

それから今日一日僕はマリオンだからね。

呼ぶ時は注意するように。

行く前に、一応テルミスの魔法見ておきたいから訓練所によるよ。

いいかい?」


「わかりました。マリオンさん。」

お兄様は最近とても忙しい。

以前から忙しかったのに、さらに剣と魔法の訓練量を増やしているようだ。

そんなお兄様と久しぶりに今日はお出かけ。

忙しいのに私の用事についてきてくれるらしい。

優しい。


**********

「え!アルフレッド兄様!?

王都に行かれたのでは?学校はどうしたのです?」


訓練所には学校に戻るために王都へ帰ったアルフレッド兄様が待っていた。


「あぁ。ちょっと用事ができて戻ってきた。

学校があるから今夜にでも発つけどね。

それより魔法できるようになったんだって?

マリウスに聞いて驚いた。

僕にも見せてもらえるかい?」


「そんな…見せるほどのものではないのですが…」といいつつ、ポシェットから魔法陣を取り出す。

何を見せればいいんだろう…

一番練習している土壁がいいかな?


(ティエラ)


ズドーンとお兄様たちと私の間に壁が出来上がる。

さっきお兄様に羽織るように言われたローブのおかげで魔法使い感満載だ。

壁の向こう側で「これなら…」「やるな」などぶつぶつ話しているのが聞こえる。


「お兄様…どうでしょうか」


「うん。いいんじゃないか!まぁ何事もなければ使わないと思うし。その紙は一応ローブのポケットに忍ばせとけ。実演を求められてもこれだけできれば問題ないはずだ。

あ…一応攻撃もできるのか?」


攻撃…うーん。そういう用途で練習してなかったからな。

「えーっと…あ、こんなのどうでしょう?」


(アグア)


高圧ホースのようなイメージをして、土壁目掛けて放出してみる。

土壁に穴が開いた。

できた!


「こりゃすごい。

テルミス。かなり魔力使ったんじゃないか?

大丈夫か?」

アルフレッド兄様が気遣ってくれる。


「?大丈夫と思いますよ?」


「!そうか。

それだけ使えれば問題ない。

じゃあそろそろ行くか!

俺のことは今日一日アルでよろしく頼む。」


「はい。え!アルさんも来てくれるのですか?」


「あぁついでだ。せっかく帰ってきたんだ。

大事な弟と妹と遊ばなきゃな。」


「ありがとうございます。私はテルーです。」


館から辻馬車に乗る。

アルから王都の話を聞きつつ中央広場まで行く。

「フードも被っておいて。」

言われた通りフードを被り、二人について行く。

中央広場の真ん中にはオベリスクがあり、周囲には小洒落たレストランがひしめき合い賑やかだ。


広場で馬車から降りる。

冒険者ギルドに馬車で乗り付ける人はそうそういないんだとか。

悪目立ちを避けるためにもここからは徒歩で行く。

街を歩いたの…初めてだなぁ。

フード越しにキョロキョロすると不審かと思いつつ、初めてのことにワクワクして見渡してしまう。


南へ伸びる道を進んで行く。

大衆食堂から酒場や武器屋が増えてきたところにそれはあった。

周囲の建物よりも一回り…いや二回りも大きい建物。

商業ギルドも大きかったけれど、これはさらに大きい。


「これが…冒険者ギルド」


キィ。

戸を開けて中に入ると、無遠慮な視線があちらこちらから飛んできた。

左には大きな掲示板があり、たくさんの紙が貼られている。

3人の男性が掲示板前から私たちを見ている。

2人は、私たちの姿を確認すると興味なさげに掲示板に向き直り会話を再開したが、一人の男性はずっとこっちを見ていた。

大きな剣を背負い、ガタイが良い。

目つきが鋭く、睨まれているようで…ちょっと怖い。


だ、大丈夫…ゼポット様のレベル5の殺気よりは怖くないもの。


そのさらに奥にはカウンターがあり、カウンター奥では職員と思われる人たちが働いている。


右側には、5つスタンディングテーブルがあり、2つのグループが話し合いをしているようだ。

そのうち1つのグループは、なにやら揉めているのか、一人の男性の胸ぐらを掴み喚いている。


「うるせぇ!」

もう一つのグループから怒号が飛ぶ。


ひぃぃっ!

あーびっくりした。

はぁ。私なんだか場違いでは?

フードかぶっていてよかった…お兄様たちと一緒でよかった。


二人は周りに目もくれずスタスタと奥へ。

私も急いで後をついて行く。


「冒険者登録を頼む」


「はい!ではこちらの注意事項をお読みになり、問題なければこちらの用紙に記入お願いします。」


マリオンから私に紙が手渡される。


「え!?あなたが登録するの?えっと…注意事項代わりに読むこともできるけど?」


「??いえ、自分で読めますので。」

あぁ。明らかに子供だから読めないと思ったのかな?

でも孤児院の子でも私と同じ歳の子はみんな読み書き完璧なのに。


注意事項は簡単だった。

1.各国の法律は守りましょう。

2.個々で起こした揉め事には基本的にギルドは関与しません。

あまりに酷く、依頼主や他冒険者に損害を与える場合はギルドが取り締まります。

3.装備の破損、怪我及び死亡は自己責任です。

4.依頼を達成すると報酬が、失敗すると違約金が発生します。

5.ギルドカード紛失の際は速やかに申し出てください。

再発行は有料です。


3が安全な世界しか知らない私には、なんだか怖い文言に思えるのだけど、魔物と闘い、いつどうなるかわからない冒険者となれば仕方のない文言なんだろうな。

軽く目を通して、用紙を埋めていく。


名前:テルー

年齢:7


え?これだけ!??

職員さんは用紙を受け取ると、半球型の水晶を持ってくる。

これは…まさかアレが必要なのでは?


「はい。準備ができましたので、手を貸してください。

はい。このカードに血を垂らして。

OKです。」


カードを半球型の水晶に差し込む。

水晶がふわっと光り、スッとカードが出てくる。


そこには、真っ黒なカードの中央に【テルー (F)】と印字されていた。


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