貴族人生お先真っ暗なようです
「テルミス、このあと時間はあるかい?」
朝食の場でお父様に聞かれました。
先日お母様から告げられた「お父様からのお話」があるに違いない。
どんな話になるのかな?
あんまりいい話ではなさそうで、気が重い。
「はい。」
「ではあとで執務室に来なさい。
お前に話しておかなければならないことがある」
トボトボと執務室へ向かいます。
ちょっぴり緊張して、ふーっと息を吐く。
意を決していざ出陣!
お父様は怒っていませんでした。
けれど、悲しげで。
ますます話を聞くのが怖くなってきます。
お父様が話してくれたことは、私のスキルライブラリアンについてとそのスキルに対する世間の評価。
そして、そんなスキルを持つ令嬢の予測される人生だった。
6歳の私にもわかるようにゆっくり言葉を選びながら、真剣に話してくれた。
まずライブラリアンのスキルについては、「本が読める」以上終わりです。
ただ、そのスキルの評価というのが悪かった。
曰く
レアだが、本が読めるだけで有用性がない。
理由その1:本は図書館に行けば誰でも読める
理由その2:読めるだけで、理解ができるかどうかは本人次第。
理由その3:他人には伝えることができるが、本そのものを見せられない
→→すなわち!そんなスキルがない優秀な人の方が使える。
しかも過去ライブラリアンのスキルを持つ人の中には、自堕落な暮らし(呼びかけても反応がない、夜遅くまで本を読み日中の活動に支障が出る、暮らしがルーズになる、などなど)になる人もいたらしく、そんなこともあって世間一般のライブラリアンの立ち位置は厳しいのだとか。
端的に言えば、本ばっかり読んで使えない奴というのがライブラリアンの評価らしい。
結構評価悪いわね。
でも、自堕落な暮らしに心当たりがありすぎて何にも言えないわ。
「で、ここからが重要な話だ。
ライブラリアンは役に立たない。
そういう認識だから、基本的に12歳から入る王立魔法学校には入れないだろう。
入学試験でずば抜けて優秀であれば、別かもしれないがね。
ただ、かなり厳しいと思うよ。
それに学校では、スキルを使った模擬戦などもある。
本を読むだけのスキルのお前には出来ないことが多いだろう。」
学校には行けないのか。
じゃあどうすれば…いいのか。
「そしてもう一つ。
貴族の女性にとっての進路は政略結婚が普通だ。
もちろん中には女性騎士になって最後まで騎士として人生を歩むものもいる。
だが、稀だ。
政略結婚の時重要な条件はわかるかい?」
「も、も、もしかして、スキル?」
「よくわかったね。政治的な立場とか、お金とかも大事だが、貴族にとって血は大事だからね。
少しでも良いスキルを持つものを取り入れようとする。
そしてライブラリアンはあまり需要がないんだ。」
学校も行けない。結婚もできない。どうすれば…
今世での私はまだ6歳。
全くこの世界のことについては未知だわ。
知らないことを知ったふりするのは簡単。
でも知ったかぶりでは学べない。成長できない。行動を起こさない。
無知だと認めて教えを乞わなきゃ先には進めないと私は知っている。
知っている?
そうか。きっと前世でいろいろ失敗して学んだのね。
どんな失敗したかまでは思い出せないけど。
「お父様。教えてください。
学校も結婚も厳しいとなれば、どんな未来が考えられますか?」
「王立魔法学校は無理だね。
さっきも言った通り飛び抜けていれば入学はできるだろう。
けれど必要な授業をこなせないから、単位不足で結果的に卒業できない。
ただし平民が多く通う魔力の低いもの向けの学校には通えるだろう。
こちらも12歳からだ。
ただし魔法の授業はない。
仕事は王宮で仕事するという手もある。
これだと結婚しなくても1人で生きていくだけのお金は稼げるだろう。
ただし、スキルがプラスに評価されることはないからかなり優秀でなければならない。」
「結婚は絶対したい!誰でもいい!というならできないことはない。
6歳のお前に話すことではないけれど、世の中には若い女の子なら誰でもいいという人はいるからね。
けれど、父様も母様もこの道には進んでほしくない。
結婚しても、相手はあまりいいお相手ではない可能性が高いからだ。
貴族は政略結婚が当たり前だが、自分の娘が不幸になるとわかってる相手には大事な娘を送り出したくないからね」
思った以上に貴族人生の未来が暗かった。
なんとかしなきゃ。
でも…どうやって?







