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【書籍発売中!】ライブラリアン〜本が読めるだけのスキルは無能ですか!?  作者: 南の月
第一章 底辺スキルの貴族令嬢

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領内会議前編

毎年年の瀬が近づくと、館の中は忙しい。

特に12月の11日から25日の2週間はてんてこまいだ。


年始には王都で領地の報告会がある。

もちろん、領地持ち貴族が一堂に集まるのだから、社交の予定もびっしりだ。

つまり今の時期は年始の報告及び社交に向けて、領内からあらゆる情報を集め、今年を振り返り、来年以降の領地経営の戦略を立てるのだ。


それに25日には、ささやかながら慰労パーティもある。

まだ子供であるお兄様と私はさほど影響はないけれど、挨拶はするし、子供が来ればお相手しなければならない。


いつものスケジュールは、この半月はできなさそうだ。

うーむ。

この時期だけは掃除をメリンダに任せて、その時間で魔法と伝記の続きを読みましょう。

倒れたら困るから魔法は、感覚を忘れないために15分だけ。

魔法も言語も運動もなんでも、使わなければ忘れていくのよね。

1日休めばそれを取り戻すのに5日かかる。

だからちょっとでもいいから続けることが大事なんだ。


お客様が帰った後は、もう一度15分ほど魔法の勉強。

そして、算術ドリルも15分やろう。

その後は…5分でも10分でもいいから刺繍もしなきゃね。

やっと怠け者が改善してきたのだもの。

忙しいからといつものスケジュールを全部やめてしまったらきっと…また元の怠け者の私になっちゃう…気がする。


怠け者復活を恐れてちょこちょこスケジュールをこなし、やっと最終日のパーティの日。

私も今日は参加で、お母様セレクトのピンクのドレスを着ている。

ドレスを見た時には、うひゃー可愛すぎるよ…せめてふりふりやめてー!と思ったけれど、着てみると6歳の私にはよく似合っていた。

幼いこの時期限定の可愛さがある。

うん。着れる時に着とこう。ちょっと恥ずかしいけど、可愛いし。


今日は年に1度6歳以上の領内の有力者が集まるパーティー。

私は今年6歳になったから、去年までは参加したことなかったんだよね。

大広間にはすでに沢山の貴族たちが詰めかけている。


「ドレイト家ベルン様、ラティス様、マリウス様、テルミス様 入場!」


エスコートはお兄様だ。

お兄様の手をとって、なるべく優雅に歩く。

壇上まで上がると、ドラステア男爵御一家がさっと私たち家族の前にやってきて、右手を胸に当て頭を垂れる。

お父様と(今年1年ありがとうございました。来年もよろしく)的な挨拶を交わし、初めて社交に出てきた私の紹介をする。

私は紹介されたら「テルミスと申します。未熟者ですがよろしくお願いします。」と言ってカーテシーをする。

ドラステア男爵御一家とご挨拶が終わったら、また次の家族に自己紹介してカーテシーをする…その永遠リピート。


ちなみに平民を目指していた私は最低限のマナーしか受けてないので1ヶ月カーテシーと歩行と淑女の微笑みだけみっちりしごかれた。

体幹が強くなった気がする。はぁ。


やっと挨拶が終わったら、授賞式と壮行会だ。

王立魔法学校で首席を取った者を褒め称え、王宮付に配属になった騎士や文官を送り出す式だ。

しかし小さなドレイト領は人材も少なく、授賞式が開かれることは稀で、壮行会も例年1人か2人なんだそう。

今年もやっぱり授賞式は開催されず、文官が1人王宮付になるとのことだった。


その後は軽食をつまみつつ、大人たちは社交に勤しむ。

だんだん子供たちは子供たちで集まり、話をする。

12歳まで学校がないから、兄弟以外の子供たちと話せる貴重な機会なのだ。


わたしは初めてなのでお兄様に付いて歩くことになっている。

「久しぶりですね。アルフレッド。」

アルフレッド様とは確か、お兄様の2つ上で領内一の強さを誇る。

お兄様とは一緒に剣術の訓練をしていて、今年から王立魔法学校に通っているはずだ。

「マリウス。久しぶり。

テルミス…様も大きくなったな。

あ、俺のことは覚えてないか…」


え?アルフレッド様とは初めてだったと思ったのだけど????

「テルミスが覚えてなくても無理はない。

3年くらい前はアルフレッドはよくうちにきて3人で遊んでいたんだ。

テルミスはまだ3歳になったかならなかったかくらいだから覚えてないだろう。

それからアルフレッドは領の騎士団で訓練生として入団したから、ここ数年は家に来てないしね。」


「改めて、久しぶり。

一方的だけど小さな頃はよく遊んでたから妹のように思っていたよ。

これからはテルミス様も社交に出られるから、会うことも増えるだろう。

僕のことは第二の兄くらいに思ってくれ。」


「アルフレッド様…そうだったのですね。

私すみません。全然覚えてなくて…

お兄様なら敬称はやめてくださいませ。

テルミスと。

これからよろしくお願いしますね。アルフレッド様。」


「僕にも敬称はいらないよ。アルフレッドでいい。」


「いえっ!そんなわけには…

で、では…アルフレッドに、兄様と呼ばせていただいても。よろしいでしょうか」


にいさま!!!

アルフレッド兄様は一瞬目を見開き、了承してくれた。


「よかったな。兄が増えて。で、アルフレッド。学校はどうだ?」


「なかなか厳しいぞ。

公爵領などの大きい領出身者は強者揃いで、私もなかなか苦戦している。」


「なんと?!アルフレッドが苦戦するのか。

さすがだな。」


「学校ではどんな勉強をされるのですか?」


「共通座学は言語、歴史、算術だな。

あとはコースによって違う。

私が選択している騎士コースは魔物の倒し方や兵法を学ぶ。

座学はまとめて午前で、午後からはひたすら実践だ。」


午後の実践とやらを聞くと、毎日が魔法有りの格闘技大会のような有様で、本を読めるだけのライブラリアンの私にはいつかお父様の言った通り、学校卒業は無理そうだと確信した。


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