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【書籍発売中!】ライブラリアン〜本が読めるだけのスキルは無能ですか!?  作者: 南の月
第四章 開花するスキル

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スキル鑑定具

「こんにちはー! あれ? ユリウスさんは?」


「あそこだよ」

ジュードさんが指差す方向を見ると、一心不乱に何かを作っているユリウスさんがいた。

ジュードさんが言うには、あの状態になったら声をかけても聞こえないし、平気でご飯も忘れるらしい。

部屋の奥で没頭しているユリウスさんだが、しっかり私たちへの指示は出してあるようだ。

本を取りに行ったり、何かの実験結果を集計したり、計算したりと雑事をこなす。


「お疲れ様。テルーが来てくれて雑用が一気に進んで助かっている」

いつの間にかユリウスさんは紅茶片手に休憩に入っていた。


「ユリウスさん、こんにちは。あんな熱心に何を作っていたんですか?」

「いや、作っていたわけじゃない。スキル鑑定具を壊していた」

「は?」

何言ってるんだろうか?

壊して何になると?


「君の話を聞いてスキルとは何かと疑問が湧いた。だってそうだろう? 鑑定されたスキルの魔法以外は使えない。それが普通だ。だが、君は魔法陣由来とはいえ、全てのスキルを使うことができるじゃないか。しかも上級者並みにな」


だからユリウスさんは、スキルなどあってないようなものだと考えたのだという。

それならあの鑑定は何を鑑定しているのか……。

その疑問の答えを探すべく、鑑定具を分解していたのだとか。

そして結果的に元に戻せず、壊れてしまったらしい。

って、え! 壊れたの!?

確か鑑定具は何百年も使い続けている遺物だったはずだ。

だから、トリファニア王国では月に1度2、3の領を教会は鑑定具を持って回っていた。

世界にたった一つのものというわけではないが、新たに作れる人がいない大事な魔導具のはずだ。

平民研究員のユリウスさんが壊したら……


「え、スキル鑑定具こわ、壊しちゃったんですか? 直らないの? ユリウスさん! 呑気に紅茶なんか飲んでる場合じゃないです!」

顔を青ざめさせる私に対し、ユリウスさんは素知らぬ顔だ。


「君は、みんなが君のように他の魔法を使えるようになったらどう思う?」

「え?」

急な話題転換に戸惑う。

いまそんな話してなかったのに。


「火魔法使いだから料理人だとか将来が決まらない社会だ」

それは、前世と同じ。自由な社会。

実際にそうなってみると逆に自分は何がしたいのかわからなくなってしまうものだけど、それは贅沢だったとこの世界に来て気づいた。

『大きくなったら何になりたい?』というのは、将来何にでもなれるという()()()がある世界でしか出てこない言葉なのだ。

スキルが関係なくなるというのは、将来の可能性がグッと広がるということ。

ライブラリアンというだけで、将来が狭まった私にはその世界は目指すべき姿に思えた。

「それは素敵な社会ですね」

「そうだろう? なら、壊れたって問題ない。いずれ要らなくなるものだからな」

もし、そんな社会になったら確かに必要ないかもしれないけれど……。

いや、騙されるな。そういう問題じゃないぞ!

「それはそうですけど。そうなるかわからないじゃないですか。壊したのはマズイと思いますよ……」

それまであまり私たちの会話を聞いてなかったのか、ジュードさんが急に「壊した?」と呟いた。

「嘘だろ……ユリウス! 壊したのか? 大事に扱うって約束してやっと貸してもらったのにーー!」

私よりももっと真っ青な顔したジュードさんの悲鳴にも似た言葉が部屋に響いた。


私たちの前には完全に分解された鑑定具がある。

うわぁ……。

「ちなみに何かわかったんですか?」

ユリウスさんは紅茶を口に含んで、味わう。

「もしかして、何も……」

あまりに恐ろしいことに気づいて口をつぐんだ。

この反応は壊した上に何も収穫がなかったのだ。多分。

ジュードさんも察したらしい。まるで否定してくれと言わんばかりにユリウスさんを見つめている。

「大丈夫だ。ちゃんと今後のことは考えてる。とりあえずジュード、お前はなんとか理由をつけて貸し出し期間を延ばせ。それからテルー、君は私に魔法陣を教えてくれ。それとライブラリアンにこの鑑定具について何か載っていないか探ってくれないか?」

「いいですけど……魔法陣を教えるのが何の解決に?」

「そりゃあもちろん、スキルの関係ない社会になるにはみんながいろんな魔法を使えるようにならなくちゃいけない。それを体現しているのが、君だ。だから、君の魔法陣を知ることが第一歩だと思うんだ」


なるほど? でも、スキル鑑定具修復にはつながらないのではないだろうか。

そうは思うけれど、ひとまずはいっか。

きっとユリウスさんが何か考えているはずだ。きっと。

私はまだ学生で、助手でしかないのだから難しい話は大人に任せよう。

なんて言ったって、壊した張本人だし。


「わかりました。私が読んだ『魔法の基本』と言う本によると、魔法を使うには三つの段階があります。まずは、魔力感知。自らの魔力を見つけることです。次に魔力コントロール。そして、それをイメージによって魔法を形にしていくのです」

「魔力感知?」

ジュードさんが首をかしげる。


「えぇ、静かに、集中して自分の魔力を探るの。ジュードさんは燃えるように真っ赤。すごく大きいから、魔力が多いのだと思う。ユリウスさんは……」

「緑だろ?」

え? もう見えたの?


「そうです。凄く澄み切った翡翠(かわせみ)みたいな綺麗な緑です。すごい! まだどうやって感知するかお話してないのに何で分かったんですか」

「物心ついたときから見えるんだ。周りに言ったら変な目で見られたから、ずっとおかしいのかと思っていた。やっぱりそうか。そうかとは思っていたが、魔力を見ていたのか」

「物心ついたときから? 誰に教えられるでもなく、ということですか? すごい!」

私が練習した時は、魔力切れになって倒れたんだったなぁ。


その後ジュードさんに呼吸法を教えて、その間にユリウスさんと魔力の色談義をする。

ユリウスさんは物心ついたときから魔力感知が出来るため、それはそれはたくさんの魔力を見てきたそうだ。

「同じ火魔法でも赤色の魔力の人もいれば、黄色の魔力の人もいる。なんとなく赤系統の人が多い気がするが、全然違う人もいる。魔力の色はスキルでは決まらないというのが私の意見だ」


「私もそう思います。火は赤、水は青、風は緑、地は黄の人が多い傾向があるように思えますが、それから外れる人も沢山いますから」

「俺のスキルは火だから、その傾向にピッタリはまってるな」

「そういえば、ユリウスさんはスキル何なのですか?」

「私は聖魔法だ。だから傾向と当てはまらない。それに君もだろう? ライブラリアン自体が珍しいからライブラリアンの魔力の色の傾向などないが、私は君ほど白い光を見たことがない。君は自分と同じ色の魔力を見たことがあるか?」

「いえ、ないです」

そういえば、白い魔力の人に会ったことがない。

何か理由があるのだろうか。


「おそらく魔力の色は、スキルはもちろん、性格や性別、生まれ育った環境、両親のスキルや性格など私たちを構成するありとあらゆるものが関係しているのだと考えている。きっと誰一人として同じ者のいない唯一無二のものだろう」

唯一無二……。

「そうでなければ、冒険者ギルドなどの登録の魔導具が成り立たない」

確かに。

あれも、母様からもらった空間魔法付きポシェットも当たり前のように魔力登録できた。

つまり、魔力は見た目にはわからなくとも誰一人同じ人はいないのだ。

きっと。

確かギルドの登録の魔導具も今は誰も作れないものだ。空間魔法付きポシェットも……。

昔の人はどうやって作ったのだろう?

活動報告更新しました。

簡単に言いますと、ライブラリアンの特集ページのご案内と2巻もでますというご報告です。

皆様の応援のおかげです。ありがとうございます!

あぁ~やっと言えました。

1巻も発売まであと五日!

よろしくお願いいたします。

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