ヘタレ二人
「馬車が盗賊に襲われていたからスライム君にお願いして助けたんだ」
「うん、それで?」
「そしたら馬車に乗っていた女の子を一人だけ助けることができて、俺はその女の子を近くの街まで送り届けたのに『あなた様についていきます』とかいいだして・・・・・・」
「まるで白馬の王子様だな」
僕が冗談でテレビ電話中の直人に言うと彼は茶化さないでくれっと顔を真っ赤にして叫んだ。
「怪しすぎて怖いんだよあの子。聞いても無いのに、泣きながら自分は某国の貴族で、突然許嫁の王子様に婚約破棄された挙句、国外追放で・・・・・・・とか言い出してさぁ。話が重すぎてどう反応していいのかわからないんだよ」
「うん・・・・・・それは確かに重いな。とりあえず慰めてみたら?」
「君と一緒に教室の隅で空気となっていたボッチの俺にそんなスキルがあると思うのか?」
僕は少し考えてみたが、すぐにやめた。
考えるだけ無駄だったからだ。
「絶対無理だな、すまない野暮なことを聞いてしまった」
「そこまでハッキリ言われると傷つくんだよなぁ」
僕は聞かれたから答えたんだ。
文句を言われるのは筋違いというものだ。
「僕は君が授業の時に、隣の席のサクラさんに教科書を忘れたから見せてと言われて時の反応を忘れていたよ」
あの時、直人がテンパるあまり教科書を机に広げていた癖に、俺も忘れたから他をあたってくれと言っていたのを僕は一生忘れないだろう。
もちろん、その後直人がサクラさん声をかけられたことはなかった。
「そんな黒歴史を掘り返さないでくれ!」
「君の好きな子だったのにな」
「いまは関係ないだろっ。それより元貴族の令嬢をどうするかだ。君は異世界学について学んでいるんだろ? この後どういう展開になるんだ?」
「間違いなく恋愛ルートだな」
そういうと、直人は正気かコイツ? と言いたげな目で僕を見て鼻で笑った。
「馬鹿を言っちゃいけない。何時間も一緒にいるのに、いまだ会話が自己紹介の域をでていないんだぜ? なにを話せばいいか分からなくて俺は彼女の名前をもう三回も聞いてしまったよ。とてもじゃないが、通りすがり以上、知り合い未満にしかなれる気がしないよ」
「命の恩人とはおもえないほどの、自己評価の低さだね」
これがもし、月曜ドラマだったら君は間違いなく物語の主人公になっている展開なのに・・・・・・・視聴率は前代未聞の数字になりそうだが。当然悪い意味で。
「現実世界で出来なかったことが、異世界にきて急に出来るはずがないだろ。もし君が同じ立場ならこの状況をどうにかできるのか?」
「・・・・・・・・・いや無理だ、軽く死ねる」
「だろ? だからそんな俺なんかに顔赤らめてついて来ようとする彼女にはきっとなにか思惑があるにちがいないと思うんだ。どうにか君のほう彼女が何者なのか調べられないか?」
「気にし過ぎだと思うんだがな。まあできることはやってみるよ」
僕は直人に言われて、彼女に関係ありそうな言葉を適当にパソコンで入力して検索をしてみた。
そして予想外の結果を目にすることになった。




