甘い誘惑には裏がある2
アレン様と話をしてから一週間が経ったというのに、まだ触れた場所に感覚が残ってる気がする。
こんなの慣れるはずがない。恥ずかしさと緊張でどうにかなりそう。
だけど、今は気持ちを切り替えないと。今日はアメリア様とのお茶会なのだから。
アシェル城に招かれ、侍女の一人にサロンに通される。
そこに待っていたのは暗い印象ながらもお淑やかな女性だった。テーブルには高級なお菓子が並べられている。
私はカーテシーをする。
「お招きをありがとうございます」
アメリア様は目を細め、ソファから立ち上がるとカーテシーをする。
侍女を下げらせると、サロンには私とアメリア様だけになった。
アメリア様は私に近付いて、じーっと私の顔をまじまじと見る。
え、何?
そう思ってたら、いきなり両手を握られた。
「やっぱりそうだ。貴女、私と同じ匂いがするわ!! もしかしてこういう本とか興味あったりするかしら?」
目をキラキラさせながら本を一冊私に見せてきた。
「え、この本……」
タイトルからしてBLだった。アメリア様って、もしかして腐女子?
でも確かこの世界にはBLは、男同士というのが抵抗ある人が多いというか、誹謗対象になってしまう。
「とりあえずお茶をしながらお話しましょう」
ふふっと笑い、私をソファに座るように促したアメリア様。
その声はとても弾んでいて、楽しそう。
私とアメリア様は向かい合わせに座る。
「驚いたかしら? 皇太子妃の私がこんな本が好きなの」
「い、いえ。その……」
「嘘が下手ね。そんなんじゃ王太子妃としてはやっていけないんじゃない」
事実なので何も言い返せない。
「いじめすぎるわよね。ごめんなさいね。お茶会に招待したのは親睦を深めるだけではなく、お願いしたい事があるの」
「お願い?」
「そう、私はより多くの人にこういう世界を知ってもらいたいの。表でも普通に言い合えるように。この本はね、闇市場で買ったの。そこでしか買えないし、それなりに高いから庶民にはなかなか買えない。でもね、私は表でも堂々と買える時代があれば良いと思ってるの」
それを広める為に協力してくれと頼んでいるのね。でもまさか、アメリア様が腐女子だったとは。一気に親密感が……。
「あの、失礼ながら、皇太子殿下はそのことを……」
「知っているわ。知っていて、婚約したもの」
「そ、そうなんですね」
「?? もしかして、馴れ初めが気になるのかしら」
私は馴れ初めという言葉に反応してしまったら、アメリア様はクスッと笑った。
「良いわ、話してあげる。そのかわり、さっきの件を前向きに検討してね」
そう言って、アメリア様は語り出した。




