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【完結】乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)  作者: 藤原 柚月
番外編

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甘い誘惑には裏がある

 私はアレン王太子殿下の婚約者になって、妃教育の為に王宮(正確には王宮の離れ)で生活をしているのだが、


 妃教育は思っていたよりもハードだった。


 王宮の離れで生活してからもう一ヶ月。時間が過ぎるのが早い。


「え、お茶会ですか?」

「うん。お茶会。アメリア嬢がきみと話したいんだって」


 婚約者でもあるアレン様が夕方に私の元に尋ねてきてくれた。


 内容は、アメリア様……先日、アルロ様と結婚した方が是非、私と話したいんだそうだ。


 結婚式には私も参加した。アルロ様は皇太子だ。参加しない訳にはいかないからね。軽く挨拶しただけだけど、幸せそうにしてたっけ。


 そういえば、アメリア様って以前に皇帝に呼ばれた時に木登りしていた人なのよね。


 ふぅっと息をつき、テーブルに置いてあるマフィンを取ると、食べる。


 久しぶりの甘さに綻んでいると、向かい側のソファに座っているアレン様はクスッと目を細める。


 私はその仕草が分からずに首を傾げる。


「妃教育は厳しい?」

「はい……、じゃなくて、頑張ってるのですが、なかなか」

「そうか。ソフィア嬢が不満があるなら、妃教育を減らしてもいい」

「い、いえ。それは困ります!! 疎かにしてしまうと、きっと肝心な時に役には立ちません」


 アレン様はソファから立ち上がり、私が座っているソファの横に座り直す。


「ついてる」


 そう言って、アレン様の手が私の唇の中斜め下を指で拭いたと思ったらその指をペロっと舐めた。


「甘い」


 私はアレン様から咄嗟に顔を背ける。たまに恥ずかし気もなくそういう事やるから本当に心臓に悪い。


 確かに相思相愛にはなった。婚約もした……したけど、恋愛の耐性が無い私にとっては心臓がもたない。


 とりあえず、話題を変えよう。


「と、ところでアレン様。ノエルはどうですか? お手伝いしているんですよね」

「うん。してる……助かってるよ。優秀だしね」


 話してる時に目を合わせないのは失礼だと思って、アレン様を見ると、顔が思ったよりも近くて驚いて目を見開く。


「そ、それは良かったです。ノエルはしっかり者ですからね」

「そうだね」


 アレン様は更に顔を近づけてきたので、距離を取ろうと顔を離れれば、ソファの背もたれに背中を預けたままま横にズレる。完全に倒れそうになったので座面に膝をついた。


「あ、あのアレン様……?」

「ノエル殿が心配なのはわかるんだけど、俺の事も気にかけてほしいんだけど」


 アレン様は私の頬に触れ、首筋に指を動かし、鎖骨をなぞる。


 今着ているドレスは鎖骨が見えるタイプの緑と白が基準のイブニングドレス。それに合わせてハーフアップしてある髪留めの大きめリボンも黄緑と緑が基準になっている。


「ん……」


 鎖骨をなぞられ、くすぐったくて身をよじる。


 もしかしてじゃないけど……いや、多分拗ねてる?


「仕事が落ち着いてきて、ゆっくりとキミとの時間が持てると思ったのに……他の男の話をするんだね」

「お、男って……姉弟だし」

「血は繋がってない」

「そ、そうですが……」


 アレン様は私の頬にキスをする。


「ま、待ってください!!」


 私は耐えられず、静止しようとアレン様の口を手で塞いだ。


 アレン様は口を塞いでいた私の手首を掴み、私の頭上の座面に押さえつける。


「ダメ、待ってあげない。この時間を逃すと次はいつになるか分からないからね」

「ですが……その。まだ私、そういうのに慣れてないので」

「なら、慣れるまで頑張って」


 アレン様は私の額にキスをして、次は頬に……その次が唇に。


 それはとても軽いキス。


 でも私にとってはそれだけでもいっぱいいっぱいだった。


 卒業パーティーでは、深めなのもしたけども。軽くでも深くても、好きな人とのキスは慣れないし、緊張する。


「やっぱり、ダメです。慣れるなんて出来ません。だって……一緒にいるだけでも愛おしいと思ってしまうんです。慣れてしまったら……この気持ちがどこかにいってしまいそうで怖い、です」


 泣きそうになりながらも必死に訴えると、アレン様はキョトンとした顔になったかと思うと盛大にため息をされた。


「それは無自覚? それともわざと?」

「違っ!! 私は本気で」

「わかった、俺の負け。ホント、可愛いこと言って俺をどうしたいの」

「~~っ!?」


 耳元で囁かれて、心臓が破裂しそう。好きな人の言葉ってこんなにも威力が凄いだなんて知らなかった。


 アレン様は掴んでいる私の手首を離し、座り直した。


 私はやめてくれたことに安堵して座り直す。


 今度、拗ねらせたら何されるか分からない。身の危険を感じた瞬間だった。









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