知れば知るほど興味がある
倉庫といっても、貴族だなと思わせられる。
外装は白と茶色のペンキが塗ってある木造建築。高級感は一切ない。だがしかし、中に入ると、高級感が溢れていた。
私がてっきり蜘蛛の巣だらけで埃っぽい倉庫をイメージしていた訳なのだが、埃一つないし、蜘蛛の巣もないんだけど、引き詰めてある絨毯に若干シミがあるのよね。
ちょっと黒が混じってるような。これは一体何のシミだろう。
ワインレッドとシルバーが基準の空間。置かれている小物類は皆、金や銀だった。
これは本物……? いや、多分偽物かも。公爵家でも金や銀で出来た物はなかなか買えないもん。
ましてや子爵家だと、余計よね。
それに……この鉄の匂いって……。
「血……じゃな。しかもこの魔力の量は」
「? シーアさん」
「長いするものではないな」
シーアさんは一目散にとある場所目掛けて歩き出した。
行き止まりの壁を調べると、鍵穴のようなものがあり、シーアさんは私を見る。
私は、ずっと持っていた鍵を鍵穴に入れ、回す。カチッと音が聞こえる。
ゴゴゴゴゴッという音が響くのと同時に壁が横にズレる。
隠し通路だった。
ーーーーーーーーーーー
【シーア視点】
まずい。思ってたよりも、これは……。
鉄の匂いに所々が血の跡が残っている。幸いなことに一緒に来ているソフィアには気付かれていない点。
部屋の色も血の色に似たワインレッドがメインなのも、飛び散った血を隠すためのものだろう。
それでも、知らなくてはならない現実もある。残酷なことじゃな。
ワシは他よりも甘くはないのでな、誤魔化すことはせん。
この倉庫は、魔術士の子供を殺め、魔力を魔法石に溜める為のもの。
外には結界も張ってあった。多分、悲鳴を響かせない防音効果のある結界でもあっただろう。
その事実を知ってても、見過ごしていたのは確実な証拠が出ない為。
今回になって、ようやく証拠が掴めるチャンスが舞い込んだ。
それもこれも……アイリスという子が託したものじゃがな。
ワシもこの件は胸糞が悪いと思っとったから丁度良かった。
「あ、あの……シーアさん」
隠し部屋が見つかり、地下に繋がる階段を歩いていると後ろから声をかけてきた。
「なんじゃ」
「この先に何が待ってるのでしょう……。想像がつかなくて」
「怖いか?」
「同然です」
弱々しくも俯いているが、手はワシの袖を握っている。震えている。
実の両親が命懸けでワシに頼み込んだ小さな命。
ワシはそれに興味があったので、気まぐれに助けてやった。
話せば話すほど普通の女と何処も変わらない。……壊れやすそうで壊れない。それが不思議じゃった。
見れば見るほど、知れば知るほど、興味があり、手助けもしたくなる。
ーーこの気持ちはなんというものじゃろうか。
今までに感じたことの無い温かな違和感。
「大丈夫じゃ。ワシがいるんじゃから」
情が写ったようじゃな。人間と深く関わってしまったみたいじゃ。
階段を降りた先には頑丈そうな扉があるので、ゆっくりと押す。
そこには、魔力が充満していて普通の人間には耐えられそうもない有毒ガスが吹き荒れていた。
幸いなことに外に漏れないように結界が張ってあった。
不安定な知識のまま実験を重ねて、魔力と魔力が溶け合い、有毒ガスとなったのじゃろう。そして、その有毒ガスを収めるには……闇と光の力が必要だと結論づけたということじゃろ。
実際にそうなんじゃが……。この状況……どうするか。
中に入るのは危険じゃな。
「毒みたいな色の煙……なんですか??」
「有毒ガスじゃよ。魔力と魔力が合わさった」
「魔力と魔力……?」
「色んな属性の魔術士の子供を犠牲にしたんじゃろ。偏った知識のまま実験した結果じゃな」
「これ、魔力なんですか? 私、魔法を無力化出来ますが、魔力はどうだろう」
無力化……そうか。
「やってみる価値はあるようじゃ」




