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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
5章 マネーマネーマネー編

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85話目 【蛇の目】でおむかえ

「ありゃま」


 ちょうど今の時間は誰もおらず、あたし達3人の貸し切り状態だった。


「イーちゃんもマングースさんも、知り合いだったのね」

「ホホホ……その通りじゃ」


 芝の女王様は、グラスを放り投げざまインベントリに仕舞った。――おお、カッコいい。


「もっとも、大々的に猫と交流しておったわけではないがのお」

「そうだね、イシュタール」


 猫少年は、女王様の向かいのソファに座った。


「君は、マホロバ・リアルにほとんど顔を出さなかったから」

「そうじゃの。妾はあくまで、ライトを繁栄させたい派じゃ」

「ふうん。僕はもちろん、リアルをメインにしたい派だよ」


 え。


「イシュタール。ライトみたいなVRなら、他にもゲームはあるよ?」

「それは違うのぉ、子猫や。社長がプロデュースした『何回も殺せるゲーム』は、今やライトだけじゃ」


 うぉっと、まさかの対立。お互い穏やかだから、「それはそれ」なんでしょうけど、リアルVSライトじゃないのよ。


 期せずして、女王様と猫少年があたしを見上げた。えー、意見の表明しろってのー?


 ま、決まってンだけどさ。


「あたしは、ライト優先派ね。少なくとも、消えるのはメチャクチャ困るわ」


 女王様が小さくガッツポーズして、猫少年が軽くしょんぼりしてた。


「まあ、そうだよね。シャボンさんは、ライトで活動してるんだし」

「マングースさん、ごめんなさい」

「いいよ。英雄様はリアル派だから」

「うわー……。マングースさんってば、その方を引き合いに出しますか」

「構わないよね? だって、命を張ってるんだもの」


 お説ごもっとも。――てか、もうマングース=マンクスさんって、隠す気ないでしょ。


 大人びた少年は、包み込むように猫耳をかいた。


「さて、イシュタール。〖ラッキー7〗という脱法呪文が出てきたみたいだけど」

「ホホホ……妾が運営に申請したであろ? その呪文を使うが良いぞ」

「うん、ありがとう」


 え、えぇっ? どういうこと?


「あ……マサカ」


 あたしは、サイコロ好きな悪魔女王を見下ろした。


「ねえ、イーちゃん? ひょっとして、〖オーメン〗が出来た時点で、『ダイス関係の呪文を丸ごと封じるような対策カード』とか、申請してたでしょ?」

「ホホホ……だとしたら、どうする?」

「――ツンデレ」


 あたしの呟きに、イーちゃんはガクッとした。


「な、なぜじゃ、シャボン……?」

「えー? だって、『社長を倒すぞえ、ホホホ』みたいなこと言ってたクセに、この世界はメチャクチャ好きなんじゃなーい。せっかく開発した〖オーメン〗ちゃんなのに、あっさり破れるような対策呪文を献上しちゃうとかさ~?」

「う、うむぅ……」


 たじたじの女王様を見て、マングースさんはくつくつ笑ってる。


「イシュタールは、たしかにライトが合ってるみたいだね」

「フン、うるさい猫じゃのぉ。こまっしゃくれておるわ」


 むくれた女王様は、インベントリからカード群を出すと、あたしに差し出してきた。


「ほれ、シャボン。対策呪文じゃ」

「さっすが女王様」

「ウイルスを作った人間は、ワクチンも持っておるわ。スロットに入れるがよい」

「ラジャッ!」


 あたしは早速、いただいたカードを見てみた。


 【蛇の目】。


「ぶはっ!」

「おや。ウケたかえ、シャボン?」

「だって、イーちゃん! これ、蛇相手って知ってたの!?」

「ホホホ……偶然じゃ。サイコロ2つを振ったとき、1のゾロ目をスネークアイズと呼ぶことから名付けたまでのことよの」

「う~む、オソロしき偶然」


 そんな【蛇の目】の効果・その1は、「サイコロの出目を1にする」だった。――うわー、これは強烈だわ。むしろ、この対策カードなかったら、〖オーメン〗も披露してなかったでしょうね。


 あたしは、今もらった【蛇の目】4枚を、スロットの【機動】4枚と入れ替えた。


「アラ? そういえばマングースさんは、【蛇の目】入れてるんですか?」

「僕には不要だよ。何より、イシュタールが始末をつけたいでしょ?」

「ホ。大した心づかいじゃの」


 苦笑する女王様。なんだかんだ言って、認め合ってるみたいね。

 ――おっと、忘れるトコだった。重要ミッションをこなしときましょ。


 あたしは、入れ替えカードを使うための30分待機中に、1000円で買った【パラメデス】をせっせこ売りさばき始めた。


「うわー、シャボンさん?」


 マングースさんがヒョコッと覗いてくる。


「値崩れするからって、そういうことしちゃうんだー」

「そりゃーもう、せっかく知った情報ですから」


 【蛇の目】とか、サイコロデッキにトドメ刺しちゃうものね。大暴落が目に見えてるわ。


 エイホウさんもフル活用して、直近10回の【パラメデス】がいくらで売れたかもリサーチ。その値段よりも割安に提供することで、手早く全てを売却した。


「シャボンさん? あんまりやり過ぎると、睨まれるよ」

「ざまぁ団にですか?」

「いや、税務署に」

「おおぅ……そりゃー強敵ですわ」


 あー、株式の利益は20%持ってかれるとか思い出したわ……。うっ、頭が。ガガガガガ。




 んで。

 強者2人を連れたあたしは、上野の公園へと舞い戻ってきた。


「カナヘビちゃん達ー、またまたハロー。あ、グッドイヴニングー?」

「――サボテン、と、猫と女王か」


 わあい、あたし達ってばとっても有名人。サインはしないわよー。


 蛇達100人が、まーたゾロゾロとあたし達を囲んでくれる。

 カナヘビがイーちゃんを指差した。


「芝の女王とか言ってたな。ありがとうよ、おかげで〖ラッキー7〗って魔法を作れた。ちょっとアレンジするだけでな」

「ホホホ……左様か」

「お礼に、その魔法で葬ってやるぜ」


 カナヘビは、モブに【祝福】をかけさせてから、両手を組んで〖ラッキー7〗の態勢に入った。あの手が開けば42点が確定する。


 ――ええ、【蛇の目】が無ければね。


「食らえ!」


 カナヘビは、両手を勢いよく開いた。ダイス7つが転がり出てくる……ハズもない。


「えっ……? な、なんでだ? ドコに消えた?」


 金ピカ服がオタオタ。モブ蛇もざわざわ。


 うふふふふ、ズヮンネンでした。【蛇の目】の効果・その2が、オート発動よ。


「ホホホ……のお、蛇よ?」


 今度は、女王様が指を差した。


「妾が、そんな芸のないサイコロ呪文を、許すと思うたかえ?」

「うぅっ……」

「『正規呪文でないカードによるサイコロは、効果を発揮しない』――妾が作った範囲呪文、【蛇の目】の常動の効果じゃ。覚えておくがよいぞ」


 そう。コレこそが【蛇の目】必殺の効果。

 センスのない呪文を嫌う女王様だものねえ。単に増やした〖ラッキー7〗とか、メッチャ怒ってるわ。


 カナヘビは、【三連撃】を唱えた。


「じゃ、じゃあ【パラメデス】だ! お前ら3人とも、削り殺してやる!」

「ホホホ……シャボンにマングース、存分に暴れるが良いぞ」


 あら、そこは女王様ご自身じゃないのね。高貴な身分は自ら動かないと。


「でもま、オッケー!」


 【メリッサ】を操りながら、ブンブンと量産型レーヴァをぶん投げていく。接近戦はマングースさんが相変わらずバッタバッタと槍で切り裂いていくし、女王様は盾と【中止呪文】のサポートを入れてくれる。


「ホホホ。サイコロを振るだけなどと考える輩には、負ける気がせぬぞえ」


 ――うわー、安定感が違うわ。


 かくして、「3対100」の変則マッチは、「3」に軍配が上がったのでした。イエーイ!

芝の女王による対策カードです。


【蛇の目/Snake Eyes】

レベル2・緑魔法/コモン

分類:フィールド

範囲:半径100m

効果:サイコロの出目を1にする。

効果:正規呪文でないカードによるサイコロは、効果を発揮しない。この効果はレベル0、常動である。

「お前ら三下にゃ、これがお似合いだよ」  ――イカサマ師

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