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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
5章 マネーマネーマネー編

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88/93

84話目 しめて84点

 ボスのラブちゃん戦でも、マングースさんとお話ししてた。


(マングースさんは、鬼六先生みたいにアバターを変えたりするんですか?)

(僕は、ちょっと名前を変えるぐらいですね。冒険者は品格も求められるらしくて、あくまでも別人って言い張れる程度です)

(え? それなら、アバターも変えられた方がいいのでは?)


 同じキャラで同じ動きとか、バレやすいでしょうし。


 だけど、猫少年は首を振った。


(魂が、この姿にしっくりきたんです)

(――お気に入りなんですね)


 猫少年がしみじみと念話してくれた。あ、ラブちゃんの削りはガシガシやってくれてます、ハイ。


(あたしも、この天使ちゃんアバターと出会って、1発で「この子だ」と思いましたよ)

(それは良かったです。とっても伸びやかに動いてるし、シャボンさんの魂がフィットしたんですね)

(ありがとうございます)


 鉄クズの嵐もヨユーでかわして、隅の魔法陣に叩き込むと、素早く中央へ。再度鉄クズをかわして槍をお見舞いすると、難なく【瓦礫の竜】を撃破。


(あたしが見た中で、マングースさんが1番手際が良かったです)

(嬉しいですね。――うん、やっぱりみんなで来たかったかな)

(あー)


 記録更新は確実だったわね、こりゃ。


 【瓦礫の竜】のカードを回収したあたしとマングースさんは、談笑しながらダンジョンの外へ戻ってきた。


「あらま」


 敵は、蛇100人。


「あんた達……。なんか、ムキになってない?」

「うるさいぞ、サボテン!」


 あたしを一瞥したカナヘビは、マングースさんを見た。


「マン偶数……いや。お前、マホロバ・リアルの『マンクス』だろ」


 ああ、ちょっとだけ名前変えてるって言ってたわね。――うん、本当に「ちょっと」だわ。


 対するマングースさんは、猫耳をポリポリかいてた。


「さあ、他人の空似かな」

「トボけるな! あんなに動けるヤツがそうそういるワケないだろ。――なあ、ざまぁ団・第4支部の『マンチカン』さんよお」


 え? そっちは初耳。


(マングースさん。もしかして、ざまぁ団だったんですか?)

(はい。「元」、ですけどね)


 ぐはあ。転向組だったの。


 マングースさんは、カナヘビ達に肩をすくめてみせた。


「で? 君らは、僕が仮にその人だったとして、どうしたいの?」

「こうするんだよ」


 カナヘビは、両手を組んでお祈りするような形を作った。スグさま、両手が銀色に輝きだす。


 なになに……〖ラッキー7〗? 脱法呪文ね。


 カナヘビが不敵に笑った。


「食らえ!」


 パッと開いた両手からは、たくさんのサイコロが。


 ジャラジャラジャラジャラ。


 総勢7つだった。出目は、3、5、2、3、1、6、2。




 ボグオオオォォォー!




「――えっ!?」


 一瞬でマングースさんが吹っ飛ばされていった。思わずソッチに目をやると、再びカナヘビの方からジャラジャラと音が。


 ――まさか!?


「今度は【祝福】つき。42点だぜ!」


 6、6、6、6、6、6、6!




 ボッグオオオオォォォォーーー!!




 再びマングースさんがモロに食らった。そのまま姿が薄れていく。


(新宿・本社ビルで)

(あ……ハイ!)


 スッゴイ落ち着いた念話に、あたしの方がうろたえちゃってた事に気付かされた。


 ――そうよ、こっちは「マホロバ・ライト」なんだし。死ぬのも経験だわ!

 今までメチャクチャ軽やかだったマングースさんが、この脱法呪文だけ棒立ちってアリエナイでしょ!

 つまり……ワザと食らったのよ。どんな魔法か知るためにね!


「へへへ……ぴったり64点だ。英雄チームの1人もアッサリ葬れる新呪文が出来たぜ、サボテン?」

「――えーっと、ねえ」


 ショックから立ち直ったあたしは、ゆっくりと金髪をかきあげてみせた。


「その〖ラッキー7〗、だっけ? 銀魔法の、レベル7でしょ」

「ああ、そうだ」

「芝の女王の〖オーメン〗がレベル6だったもんね。それより大きいって考えたら、あんた達なら7にするわ」


 ま、名前で自白してるよーなモンよね。


「でもね~……正直、ダサッ! 『7』をうたった呪文のクセに、サイコロは『6』とかね。パクリの上にご都合を全部乗せしちゃってるから、センスが欠片も無くなっちゃうのよ」

「フン。言いたいことはそれだけか、ザコいサボテン」


 組んだ両手が銀色に光った。パッと離してサイコロ7つが地面に落ちる。はいはい、42点ね。




 ボッグオオオオォォォォーーー!!




 赤魔法の【パラメデス】じゃ無いから、【防火】の軽減も無し。んじゃ、【魔力の盾】でも張りましょっか。


「ダメだ」


 あーらま、アオダイショウが【中止呪文】ですって~。ははぁ、青服だから青呪文? わっかりやすーい、盾は効果あるのねー。


 あたしは、もういっぺん【祝福】された〖ラッキー7〗を食らった。しめて84点。はいはい、オーバーキルでございますねーだ。




「さて、と」


 プライベートルームから即座に新宿西口へと出たあたしは、約束の地・カルイザワ本社ビルまでやってきた。


「お待たせしました」

「いいえ、こっちも今来たところです」


 なんかデートの待ち合わせみたいね、あはは。


 ――だけど、来た理由は脱法呪文。

 さっそく、対策をしないとね。


 あたし達は、2階のトレーディングルームへと歩き出した。


(マングースさん。あの〖ラッキー7〗ですけど、あたしが盾を張ろうとしたら、アオダイショウに【中止呪文】されました。多分、ダイス7つってダケで、普通の呪文ですね)

(ええ。僕も【パンドラ】を張ったら消されました。単純に、サイコロを多く振るだけの銀魔法でしょう)


 よし、一流冒険者さんと同じ結論だわ。


 でも……厄介よね。呪文のセンスは壊滅的だけど、威力は絶大。タイガさんが言ったみたいに、「サイコロたくさん振れば勝つ」ってクソゲーになっちゃう。


 ま、こんな時はアレよ。


(イーちゃんを呼びましょう)

(……? 誰です、シャボンさん?)

(ああ、イシュタール女王のことです)


 〖オーメン〗の作り手だし、マホロバ・リアルで悪用されるのを恐れてたものね。


(サイコロについては、誰より適任ですよ)

(――ですね)


 あら? マングースさんがクスクス笑ってる。


(え、あたしの案って、そんなにヘンでしたか?)

(いえ、失礼。ただ、発想が似てるなあと思いまして)

(ん?)


 魔法陣に乗って2階へ。


(あの~……もしやマングースさん)

(はい)


 猫少年の後をついて、サロンのようなトレーディングルームへ入ると、その奥まった席には。


「ホホホ……。待っておったぞ、マングース。そして、シャボンよ」


 豪奢なソファに座った芝の女王が、グラスを傾けていた。

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