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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
5章 マネーマネーマネー編

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80話目 ラブ&ピース強化編

「ぴよー……じゃあ、安全地帯に行くでぴよん」


 へろへろな飛びかたで魔法陣の対角線へと向かう蝶介さん。


「始めの1/3削りは有りでいくぴよん? でないと、ポクはイヤでぴよん」

「あー……僕も、そこは安定が欲しいかなあ」


 ペガススさんがあたしを見た。


「すみません、シャボンさん。最初の削りは有りでいいですか?」

「えーっと……。ちなみに、ナシだとどうなります?」

「数人死ぬのは当たり前ですね。パターン次第では、全滅もありえます」


 ひえっ。マジで?


「ペガススさん。削り有りでいきましょう」

「ありがとうございます」

「いえ、あたしの方こそ。ワガママ言っちゃって、ごめんなさい」


 ペガススさんは、蝶介さんとは別の隅へ向かった。


「あのー、あたしはどうしましょう?」

「シャボンさんは、蝶介の護衛でお願いします」

「はーい……って、アレ? ヒーラーのペガススさん護衛じゃないんですね」

「普通ならそうなんですけど……ここは、本気で迎撃システムが集中しますから」


 えー、そんなに。それで蝶介さんは渋ってたのね。


 前衛2人は中央に待機して、防御魔法を張りまくり。


「うっしゃ! じゃあ、いくぜ!」


 タイガさんが【マザージェリー】のカードを取るや、ゴゴゴゴゴ……と部屋全体が降下していった。中央に鉄クズが集まっていき、瓦礫の竜・爆誕!


「あら?」


 ラブちゃんの脇には、【衛星球】みたいな球体がふわふわ浮かんでた。ただし、色は緑ね。


(ペガススさん。何です、あの緑の玉?)

(防衛システムですよ)

(お~、あれが噂の)


 ペガススさん達との会話は、念話に切り替えてる。


 敵の緑玉が、瓦礫の竜に【このはの盾】を使った。むむっ、盾シリーズね。


(この緑玉は、常に8点分の攻撃を防ぐ盾を張りますね)

(なるほど、そうやってライフを嵩ましする、と)

(はい)


 じっと集中してたタイガさんが、両手の鉤爪で勢いよく瓦礫の竜に切りつけた。


 パリィン、ズバシャー!


『ギャギャー!』


 お、竜の盾を割った! さあ、戦闘開始よ!


 まずは、瓦礫の竜のシッポ攻撃をかわしたタイガさんが、回り込んでガシガシ切っていった。合間に自動人形やらゴーレムやらが湧きまくるけど、それも次々スクラップにしていく。無双モード突入ね。


「ぬうん!」


 対するイノさんも、近くのロボット兵を薙ぎ払ったのち、緑玉を【ヘパイストス】の刀で一閃!


「おおー、やる~!」

(ヒヒーン。もっとも、スグ復活しちゃうんで、イノは緑が出現しだい切る感じですね)

(なんかモグラ叩きみたいですね~……あら?)


 竜の近くに、今度は赤玉が出現した。防衛システム2つめね。赤く光ってる魔法は……【火炎放射】?


「ハッハー! 来やがれ赤!」


 構わず竜を攻撃しまくるタイガさんに、赤玉から大量の炎が襲いかかる。


 シュゴォォオーッ!!!


(うひゃぁ~、怒濤の勢いでブレス食らってますけど、大丈夫ですか?)

(タイガの場合、《炎の虎》のユニークスキルで炎ダメージを1点に軽減できますから。連続で食らっても、10点ほどで収まりますよ)

(おー)


 なるほど、本体を攻撃してたのがタイガさんって事にも、ちゃーんと意味があったのね。


 【火炎放射】が終わるや、ペガススさんはタイガさんに向けて杖を向けた。【治癒】をマックスで撃って、ダメージがほぼ回復。


 あたしはというと、隅っこの方に湧いて出た自動人形をペシペシ叩いてた。蝶介さんは、【雨傘】の魔法をメンバーに掛けてる。


「蝶介さん。なんで【雨傘】なんですか?」

「ぴよよーん、2ラウンド目の頭に効いてくるでぴよーん」

「理由はヒミツですか?」

「そうだぴよん。――ぴよ、そろそろポク達の所にも、迎撃システムが来るでぴよーん」

「何色です?」

「ここはランダムだぴよーん」


 フムフム、対策が取りづらいのね。――おっと。


 鉄クズの中からシュポンッと現れたのは、〈球体〉アバターのような触手を持った黒玉だった。あたしの方に触手を伸ばしつつ、黒く光り出す。


 へぇ~、《石化》ですって?


「お断りよ!」


 レーヴァテインで触手を叩く! アーンド、スグさま飛び掛かって黒玉本体も叩く!!


 ボシュー……。


「いよっし!」


 黒玉、退治! ――あ、でもスグまた湧いて出るんだっけ。ポンコツ人形も出てくるし、蝶介さんの近くに戻って警戒、ケーカイ。


「ハッハー! オラオラ、来やがれ鉄くずー!」

「タイガ殿、1/3は超えるなでござるよ」

「わーってるって!」


 見ると、タイガさんとイノさんが、少しずつ瓦礫の竜を魔法陣に誘導してた。ペガススさんは【衛星球】を出して、それで2人を確認してるみたい。――うわー、近くのポンコツロボット退治しながらの回復って、めちゃくちゃメンドそうだわー。


(でもまぁ、手間は掛かっても、今のところ楽勝っぽいですね)

(ヒヒーン、まだシステム3つだけですからねー)


 あー、やっぱ増えるのね。


(ぴよーん。みんな、ポクはタイガ以外に【雨傘】張ったでぴよよーん)

(おう、ピヨ介。俺は2ラウンド目の《酸性雨》をどうやって凌ぐんだ?)

(気合いで頑張るぴよよーん)

(フザけろ!)


 漫才コンビのツッコミ担当が、竜を魔法陣へとしばき倒した。――なんという八つ当たり。ラブちゃんカワイソー。




 シュワァァァアアアア……。




『ギャギャー!』


 おっ、よしよし。


(これで1/3削りましたね)

(はい。このあと竜が弾け飛んで、中央で再構築ですね)


 ペガススさんと戦場の端っこ同士でのんびりと念話。はー、荒ぶる鉄クズを必死にかわすタイガさんとイノさんを見てると、安全地帯の重要さが分かるわねー。


 そして、中央の上に出てきたのが青い玉だった。――おやおや、輝き出したわね。


 ファアアアア……。


 青玉の光が鉄クズエリアを照らすや、激しい雨が降ってくる。


 ドザァアアアアー!!


「うおおおお! 減る減る、減りやがる!!」


 あ、コレが《酸性雨》なのね。あたしや蝶介さんのライフは大して減ってないけど……うわ、タイガさんはエゲツナイぐらいに減ってる。


「タイガ、【治癒】行くぞ!」

「おう! じゃんじゃん来い!」


 《酸性雨》のダメージに対抗して、ペガススさんも前進、雨あられのように【治癒】を放つ。すでに5、6回撃ってるから、当然のように【悪魔の契約】4枚入れてたのね。


 そして雨は上がり、2ラウンド目開始! 竜と赤玉の相手はタイガさんで、緑玉と周辺の自動人形の相手はイノさん。そこから少し離れた場所に、前に出たペガススさん。


(ここからは【衛星球】が潰されるんで、僕が直に見ます)


 うひゃー。回復呪文も見なきゃダメとか、ヒーラーへの負荷もハンパないわね。


 ――あら? じゃあ、青の相手は?


 青玉が再びまばゆく輝きだした。――げっ、もういっぺん《酸性雨》!?


「【忘却】ぴよん」


 蝶介さんがロッドを向けた。紫魔法を放って青玉は沈黙。


「おー。お見事、蝶介さん」

「ぴよー……真の地獄はこれからだぴよん」


 え、スッゴイ浮かない顔だけど、なんで?


 理由はスグに分かった。


 シュポンッ、シュポーンと、あたしの目の前に紫玉、茶玉が出てきたから。


「ん?」


 黒玉ともども、すぐに光り出す。順に《石化》、【魔弾】、【地震】。


「ゲゲーッ!!」


 こいつらガチで殺しにきてるわ!

 えーい、まずは飛ぶ! これで【地震】を回避! 黒玉は退治して、《石化》も潰す! 【魔弾】は……!


「食らう!」


 ザクザクザクザク!


「ぐはっ……!」

「ね? ヤバいでぴよん?」

「う、うふふふふ……たしかにね」


 蝶介さんも飛んで回避できたのにコレってのは、本気でヤバいわ。――おっと、周りのポンコツロボットが退治されてるのは嬉しいわね。【地震】もいいトコあるじゃない。


 なーんて、ちょっぴりホメたのがいけなかった。


 次の呪文は、紫が【忘却】、茶が【地震】。


 ――これ、ゼッタイ飛行を忘れさせるヤツー!!


 速攻で紫をタコ殴りして退治した。茶がグラグラ地面を揺らしてるけど、あたし達はセーフ。


「蝶介さん、ヘルプ!」


 1人じゃキツいわ! 向こうの奴らを忘れさせてー!


 あたしが振り返ると、蝶介さんは青玉にずっとロッドを向けてた。今までで一番真剣な表情。


「え?」


 見ると、青玉がしきりに【大海嘯】とか《絶対零度》とか光ってるのを、蝶介さんがそのたびに止めてた。――うわっ、たまに青玉も【中止呪文】撃ってくるし! それをさらに蝶介さんがキャンセルしてる! うぐあ~、すでにそっちに掛かりきりだったのね~。


「――おっと!」


 茶が【石つぶて】を唱えてきた! 殴り倒さなくっちゃ!


「あっ、ダメぴよ。3体全部倒すと、一度に復活するぴよ」

「え、じゃあよけ続けろってこと!? ――ギヤアー!!」


 岩石みたいな【石つぶて】をスレスレでかわす。そうこうしてるうちに黒玉復活。そして《石化》!


「甘いわ!」


 ボコスカ殴って黒玉を退治! レーヴァテイン(with【怪力】)をナメんじゃないわよ!


「前衛さん! 早く倒してー!」

「ウォッケー!」


 タイガさんの頼もしい返事とともに、再び瓦礫の竜は魔法陣へと叩き込まれていた。




 シュワァァァアアアア……。




『ギャギャー!』


 やった、これで更に1/3削ったわ! もう、あとわずかなハズ!


 シュポン、シュポーン。


「――え」


 ウソ。この擬音……ちょっとヤダ、もう止めて。


 音のした方を、おそるおそる向くと。


「イヤァー!!」


 白玉と銀玉も出てきたー! しかも……!


「ぜんぶ光ってるー!」


 《石化》、【忘却】、【地震】、【閃光】、【のろま】!


「うぐわー!」


 一番ヤバそうな黒玉を退治して、目をつぶる! あとは祈る!!


 羽が取れて地震に巻き込まれた。体が重くなったから、トロくもなってる。


「う、うぐぐ……」


 立て直す間もなく、お次は【魔弾】、【地震】、《日食》、《磁石》。


 茶玉を倒す……じゃない!


「銀を倒す!」


 あっぶなー! 見落としてたら、そこら中にある鉄クズにツブされてたわ!


 体が重いのは、投げレーヴァと戻りレーヴァでカバーして、なんとか銀玉を退治した。他は、甘んじて食らう!


「ぴよ……魔力が消えたぴよ」

「え」


 あ、そういえば日食って、範囲内にいるキャラのマナが0になるんだっけ。


「――ヤバい!」


 蝶介さんが青玉の魔法をキャンセルできない! うわー、また玉が光り始めたー!


「ぬうん! とどめでござる!」


 ズバシャアッ!


 お! これってイノさんの刀の音。


『ギャギャー……!』


 中央から、瓦礫の竜の断末魔が聞こえてきた。


 防衛システムと迎撃システムは、輝きを急速に失っていく。


 ――あ、これってもしかして。


 各色の玉は、少しずつ薄れていき、やがて見えなくなった。






「はぁ~……キツかったわ~……」

「ヒヒーン、お疲れ様です、シャボンさん」

「あ、どうもペガススさん……。ラストは、本当にキツかったです」

「削り有りにしといて、良かったでしょう?」

「はい。まったくその通りでございます」


 深々とおじぎした。――うわ~、ここまで苛烈とは思わなかったわ。最後は8色分の玉が全部出てきて攻撃してくるなんてね。


「ぴよん。でも、シャボンさんがガッチリガードしてくれたおかげで、ポクも青玉封じに専念できたぴよん」

「拙者も、竜に攻撃する余裕が生まれたでござる」

「ひいては、俺らが竜を速く倒せたってことだな」


 タイガさんが、回収した【瓦礫の竜】のカードをひらひらしてみせた。

 ペガススさんが馬ヘッドの目を指差した。


「僕も見てましたよ、シャボンさん。危なくなったらサポートしようと思ってましたが、最後以外は何とかしちゃうのがスゴいですね」

「え、途中からは前に出てましたよね? 見えてたんですか?」

「はい。人間の水平視野はおよそ200度ですが、馬は350度なんで」

「ああ~」


 ――そっか。そのために、人間の頭じゃなくて馬ヘッドだったのね。


「伊達や酔狂じゃなかったんですね」

「いえいえ。最大の理由は、もちろん『面白いから』ですよ!」


 あっけらかんと答えるペガススさんに、笑うパーティメンバー。


「ぷっ」


 強いエンジョイ勢だわー、ペガススさん達ってば。

強烈な雨を防いだ呪文です。


【雨傘/Umbrella】

レベル1・青魔法/コモン

分類:防御

効果:飛来ダメージを半分(端数切り捨て)にする。

「晴れた日には傘を差してやり、雨が降ったらスグさま取り上げる。――はてさて、こいつの正体は何でしょうねえ?」

    ――“ハゲタカ”のヴァルダン

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