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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
4章 悪魔との戯れ編

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70話目 迷宮「あばよ」アリアドネ「よろしく」

 いや~、なんかもう、ただのサボテンがすっかり祭り上げられちゃったわ。


「おう、シャボン新女王だな」

「ふふふ……ハチを統べる女王よ」


 あたしとアイスは、喫茶「サラマンダーの夜」に戻ってきてた。

 もちろん、銀ちゃんもホクホク顔で地下の作業場で編集中ね。【衛星球】に戦闘シーンの映像を入れて、すぐさまアフレコ。


『いやあ、大量に撮れたから、次々アップするよー』


 ――コレ、連絡入れてなかったらヤバかったわね、ええ。


「はぁ~。でも、マサカって感じだったわ~」


 あたしは、マホガニーの丸机にノベ~ッとした。


「あんな事になるなんて」

「いや、ゲーセンなら当たり前なんだが」

「だって、そういう発想が無かったのよ」


 ――ええ。あたしが芝の女王・イシュタールを倒したあと、みんなにワーッと讃えられた。で、「どーもどーも」って挨拶しようとしたら。


『んじゃ、中へどうぞ!』


 戻されたの。


「で! そっからは、あたしがチャンピオンとかね! 挑戦者と延々相手するなんて初耳よ!」

「ノリノリだったじゃねえか」

「うふふ……そりゃ、最初はね。だって、女王様対策の人たちばっかりで、楽勝だったから」


 でも、次第にあたしシフトに変わってくるの。おぉぉ……なんというホラー!


「いや~、精神的にキツかったわ~……」

「それなら、ワザと負けりゃ良かったじゃねえか」

「負けるのはもっとイヤ」


 キッパリ答えたら、おっちゃんは苦笑してた。えー、でもここは譲れないわ。


 ――にしても。


「まー、色んな相手が来てくれちゃったわね」


 そんな中には、おバカトリオもちゃっかり紛れ込んでた。


『やい、サボテン!』


 はーい、どっかの熊ですね。


『お前、よくもすっぽかしたな!?』


 スゴイ剣幕だけど、あたしはヨソ行きモードで可愛く小首を傾げてみせる。


『えっと……何を仰ってるんですか、ベアクローさん? あなたとは、とくに待ち合わせをしてませんけど』

『とぼけるなサボテン! お前、おととい千葉の……!』


 そこでベアクローは耳を押さえた。時折うなずきつつ、顔をしかめたのち、悔しそうにあたしを睨む。


『う、うぐぐ……! お、覚えてろよ!』

『はあ』


 トボけた顔で答えるけど、内心は大笑いですわ。――ええ、そうよねー、それを言っちゃあオシマイよ。自分たちの悪事がバレるだけだモン。今のは、ウマシカたちに念話で止められたのね。

 あ、さすがに自分たちからバラすようだったら、さっさと追放処分にしてもらうから。そこんとこヨロシク。


『くそっ! 死ねぇ、サボテン!』


 戦闘開始とともに、熊は〖ナイン・エレメンタル〗で攻撃してきた。けど、あっさり殴ってユニット4体を退治。


『なっ……!』

『はい、お返し』


 シグマちゃん、タウちゃん、ウーちゃん、ファイちゃんで一斉に四肢をプスリ。ばったり倒れた所をあたしがボコスカしてKO。


『はぁ……癒やしの存在だわ……』


 息抜きできる対戦相手って貴重よね、ええ。

 ちなみに、次はウマシカコンビが並んでたらしいけど、すごすご帰ってたって。ぷ、そりゃ賢明だわ。


 だけど、他の人たちは「あたしへの対策」をしっかり練ってきてた。中でもキビシかったのが、羽を落とす手段ね。【忘却】と、さらにもうひとつ。


『【イカロス】!』


 あー、また墜ちる!!


 何度も何度も何度も何度も、《天使の羽》がもがれた。――あんた達、そんなに飛べるのが羨ましいの!? ムキーッ!

 初見で30点ぐらい食らったから、次からは5点ぐらいで済むようにって、5mダケ飛ぶよう心がけた。落下ダメージは1mごとに1点っていうから、高く飛んでたら頓死してたわ。うう……自由に大空も飛べない世の中よね、ヨヨヨ……。


 そして、女王バチにもついに陥落のときが来た。


(【大海嘯】!)


 丸くて白い岩さんに、ゴロゴロ~っと回られた挙げ句、大波を食らってあたしは死亡したのでした。悲劇、シャボン! イースター島に散る!


「ってか、あんだけ縦横無尽にローリングしといて、名前が『』さんとかさあ! 姿といい名前といい、めちゃくちゃネタっぽいから油断したわ!」

「岩で動けるヤツは、それだけで強いぞ」

「ええ、もう身にしみたわ。笑っちゃうぐらいに完敗だったものね」


 何せ、こっちの魔法は【中止呪文】で消されちゃうし、何とか出せたメリッサでお岩さんを刺しても、《麻痺》が効きませんでしたから。


「てか、関節ないしね!」


 ヘーンだ、鍼マッサージも効果なしよ!


「くそぉ、肩こりで苦しむがいいわ……」

「ないだろ、岩だから」


 ぐはぁ。


「まあ、シャボン。30勝はしたじゃないか」

「はーい、ありがとおっちゃん……ん?」


 奥の扉から上ってくる足音が。アラま、銀ちゃんってば、もう編集作業終わったの?


「速いわね、銀ちゃん……じゃない!?」


 開いた扉から出てきたのは、影さんだった。マホロバを始めた直後の影法師ね。


「あ、どーもどーもシャボンさん。ボクは喫茶のマスターですカゲ」

「あー、あなたが」


 そう言えば、銀ちゃんもマスターがいるって言ってたわね。

 握手して、フレンド登録しながら注視すると、名前は「喫茶マスター・カゲ」ってなってた。


「えーっと……カゲ、さん?」

「いや、マスターでお願いしますカゲ」

「あ、じゃああたしもシャボンで」

「分かりましたカゲ」


 ――なんという語尾。ロコツに〈影人〉ってアピールする態度、嫌いじゃないわ。


「実は、シャボンにお渡しするものがあって、きたですカゲ」


 インベントリから1枚の呪文カードを出す。


「〖迷宮〗シリーズの【終了】不可を無効にする、【アリアドネ】だカゲ」

「おー! 仕事速い! てか、黒枠!?」

「ふふふだカゲ。許可も取ったカゲよ」


 そっか。みんなにも、安心して使ってもらうためね。


 手渡されたので、文面を読んでみた。――ふむふむ、緑2の呪文で、ロープを出すって効果もあるみたいね。


「マスター、これ1枚で〖迷宮2〗&〖強制終了〗が防げるんですか?」

「そうですカゲ。無効のエリアは半径200mで、スロットに入れた直後に発動しますカゲ」


 早速スロットに入れてみた。今のあたしは〖迷宮〗が入ってるから、今までだったら【終了】できないハズだけど。


「【終了】!」


 すると終了画面が出た。


「おおー!」


 さくっとプライベートルームを選択。空間がワープして、あたしの部屋へ。


「いやー、これは便利だわ」


(どうですカゲ?)

(あ、マスター。――はい、使い勝手いいです)

(良かったですカゲ)


 ふふふ、実際〖迷宮〗の付け外しは面倒だったからね。【アリアドネ】……素晴らしい脱出呪文だわ。


 またも念話がきた。はいはい、マスターかおっちゃんかな……アラ?


(ホホホ……お疲れさまじゃの、シャボン)


 女王様だった。

〖迷宮〗から脱出できるカードを載せておきます。

(本編では、表記を【アリアドネ】で統一します)


【導きの糸巻/Ariadne】

レベル2・緑魔法/アンコモン

分類:道具

効果:ロープを出す。

効果:脱法呪文によって【終了】不可能となった効果を無視できる。この効果はレベル0、常動である。

「か細い糸が、未来への道に続いているのだ」

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