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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
4章 悪魔との戯れ編

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65話目 白馬ヘッドと愉快な仲間たち

「さ、完敗のショックを受け流せたわね」


 あたしは再び【開始】すると、地下のサロンまで戻ってきた。

 んー、サボテンがドーナツになっちゃったし、ギャラリーにはボロクソ言われるかも。

 そんな覚悟をしてたケド、どうやら違うみたい。


「うあ~、社長キラーのシャボンさんでもダメか~」

「杖でタコ殴りは、決まると思ったんだけどな~……」

「芝の女王、強すぎるぜ」


 むう。女王様が無類の強さを誇ってるのね。まったく言われないのも、それはそれでショック。

 イシュタール女王陛下は、あれからもドンドン勝ち星を積み上げてたみたい。それも、「強い」って話題の人を呼んでは倒してるあたり、本当に盤石だわ。


「ヒヒーン、シャボンさーん」


 おっと、白馬ヘッドな紳士さんが手を振ってくれた。紛う事なき馬ヘッドだし、被害者友の会で見た顔ね。名前は、えーっと……。


「ペガススさん!」

「あははは、忘れてましたね? いま、データ見たでしょう?」

「い、いやー、ナンノコトカナ。ハハハ」


 秘技、愛想笑い! ――うん、あのときは何人もいたからね、いっぺんに覚えられるワケないってば。

 美白のペガススさんは、念話で(視線を合わせず鑑定するのがコツですよ)ってアドバイスしてくれた。や、どーもどーも。


「僕らのチームもお呼びが掛かってまして。今から、仲間が戦うんですよ」


 なるほど、大ちゃん戦で映ってたもんねー。4人で1チームでしたか。

 他の2人(蝶さんと虎さん)とも挨拶し、リーダーのペガススさんによって空席に座らせてもらうと、観戦モードに移行した。


『いざ、参る!』


 お、猪サムライの「維の志士」さんね。そこはかとなく猪ヘッドだわ。姫路城をバックに、赤い鎧が映えますな。


『ぬうん!』


 おーっと、猪さん抜刀せず。初手は〖ナイン・エレメンタル〗の召喚です。――って、脱法呪文よね?


「え、アレって有りなんですか?」

「はい、呪文開発はOKですし」

「ほほぉ」


 そっか。脱法呪文って言われてるけど、開発自体は悪じゃないものね。それが悪だと、おっちゃん達も同類だし。脳死を引き起こすとか、ヤバすぎる呪文の存在が問題なダケなんだわ。


「イノは、捨て値で売ってたのを買ったみたいですよ」

「あー」


 どっから売り出されたのか、なーんか予想ついちゃったわ、ぷくく。


 もはや廃棄扱いのユニットを、見事に再活用してあげてるエコロジーな猪武者さん。1発でも女王様を殴れたら勝ちだし、いい狙いかも。


 だけど。


『ホホホ』


 芝の女王は、あっさりと【絶滅】で消してきた。イノさんが何度も〖ナイン・エレメンタル〗を出すけど、そのたびに【絶滅】を撃たれて、合戦場がキレイになる。――うーむ、つわものどもが夢の跡。


『ホホ、打ち止めか? ならばコチラから行くぞえ?』

『むぅん……かくなる上は!』


 イノさん、刀を抜いてダッシュ。まさに猪突猛進して襲いかかったけど、イシュタール女王の右手が早かった。ゴロリンチョが炸裂して、あえなく終了。


「ぬぅ……無念! 拙者の策では駄目でござった」


 ドンマイ、イノさん。


 お次は、チョウチョの羽根を持った「蝶介」さんだった。この人は女顔の美少年で、昆虫の複眼とかじゃないわね。


『ぴよよ~ん、ポクの【パンドラ】を食らうんだぴよよーん』

『ホホホ……面白いキャラじゃのぉ』


 戦場はジャングルで、射線も通りづらい。蝶介さん、上手いチョイス。

 けど、そんな中でも、女王は狙い過たず【魔法霧散】を通してた。蝶介さんが【パンドラ】を張り直しても、丁寧に【魔法霧散】。


『ぴよよ~ん、マズいぴよーん』


 蝶介さんは、巨大なバクも出して攻撃させてたけど、女王は構うことなくダイス3つをゴロリンチョ。大ダメージによる豪快な削り合いは、女王様に軍配が上がった。


「ぴよよ……ポク、負けちゃったでぴよよーん」


 ――うーむ、正規ユニットの突進なら、ダイスの方が早く勝つのね。ナイスファイトだったわ、蝶介さん。


 お次は、虎人間の「GATTIRI・止めタイガー」さんだった。


『ハッハー! イシュタールさんよお、俺は盾張り職人でなあ! 全部止めてやるぜ!』


 そう言って、毛むくじゃらの胸板をドンと叩く。――おお、お顔が虎だし、なんかプロレス技強そう。舞台もコロッセオにしてるし。


『ホホホ、盾か……それは少し厄介じゃのぉ』


 女王様は指をほぐしていた。


『妾は、全ダメージをサイコロで与えるゆえな』


 え? ――あぁ、そう言えばそうだわ。ダメージ源は、全部黒い〖オーメン〗か、赤い【エコー】だった。女王様ってば、実は縛りプレイしてたのね。


 ペガススさんも身を乗り出してた。


「ふむ……それなら、タイガに勝ち目があるぞ」


 たしかに。直接攻撃がないなら、盾は相手の呪文と相殺だもんね。ジリ貧にならないわ。――あ、コレ、本当に勝てるんじゃない?


 そして試合が始まったんだけど、まさかまさかの展開だった。


 って言うのもね、タイガさんが【巨大な盾】を張るんだけど、女王様ってば、市販のサイコロを、消してたの。――うは~、たしかにサイコロ使ってるわ。トンチで虎退治とか、悪魔界の一休さんね!


『ガァッ! くそっ!』


 鉤爪装備のタイガさんが必死に迫るけど、女王様は【中和】と【敏速】を巧みに使って、常に距離を取ってる。で、追いつきそうになったら、〖オーメン〗で牽制。それを【巨大な盾】で辛うじてしのぐタイガさん。――ぐあー、張りっぱなしだと市販ダイスの餌食だもんね。う~、じれる展開!

 タイガさんは、紫の盾も張ってた。【魔力の盾】ね。


『ホホホ』


 んでも、そっちは女王の【魔法霧散】でスグに消されちゃう。ぬむぅ~、対応が速い!

 ほどなく、タイガさんは全ての盾を撃ち尽くしちゃってた。


『ホホ、良いかの? では、悪魔の数字を刻みつけようぞ』


 女王が、悠然と〖オーメン〗&【闇の衝撃】を炸裂させた。炎の虎、雄叫びを上げつつコロッセオに斃れる。

 うぅ~む……本当にスキがないわ。


「くそお、近付けなかったぜ」


 いやいや、ナイスガッツだったわ、タイガさん。


 あたしは、リーダーを見た。


「さて、いよいよペガススさんの番よ」


 ぐっと手を握る。


「みんなの仇を討ってちょうだい!」

「え? ――ヒ、ヒヒーン」


 アラ? ペガススさんが、困った感じでヨソを向いちゃった。

 対して、チームのみんなは笑ってる。ん、なんで?


 イノさんが答えてくれた。


「シャボン殿。リーダーは、すでに戦い終えたでござる」

「あ、そうだったんですか」

「ぴよよ~ん、ちょっと情けなかったでぴよーん」

「え~? なになに、ソレ見たいんですけど!」

「ちょっ、シャボンさん!?」


 取り乱すリーダーをタイガさんが見事に止めて、蝶介さんが【雄蜂の斥候】の映像を壁に投射。うわ~、なんて麗しきチームプレイ。


 映像内のペガススさんは、それはもうビシッと女王様を指差してた。


『芝の女王、イシュタールよ! 僕にはお前の攻撃など効かない!』


 おー、馬ヘッドでも格好いいわ。人の顔だったら惚れちゃいそうよ。


 蝶介さんがコソッと喋った。


「ぴよよ~ん、その白馬は、領土呪文に【島】を仕込んでたぴよーん」

「――え」


 それって……惨劇の予感がするわ。


『ははは! ダイス攻撃は完全にシャットアウトだ! 運命を弄ぶ芝の女王よ、お遊びはこれまでだな!』


 女王様は、珍しく真顔で、白馬ヘッドに向かって目をパチパチしてた。小首を傾げたのち、〈悪魔の翼〉でほんのりとフワリ。


 ――うん。飛んだら攻撃できるよね。


『お主……えーっと……。良いかの?』

『――あっ、ハイ。もう……すんません。本当すんません。このスットコドッコイに、遠慮なくブチ込んでください』


 そしてペガススさんは、お空の星になった。無茶しやがって……。あ、ネタとしては最高だったわ、あはははは。


「シャボンさん!? そこまで笑わなくてもいーですよね!?」


 いやいや、笑ってネタとして昇華するのがいいのよ、残念リーダーちゃん。――ぷくく。


「うあー!」

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