60話目 アフターフォローもバッチリ
冒険者の皆さんに、改めてお礼を言っといた。
「本当にありがとうございます。ラビちゃんを助けていただいて」
「いえいえ、仕事ですから」
色黒な猿人のお兄さん(名前はシャバー兄)が、代表で答えてくれた。
気さくで優しそうなのと、彼は今日これで終了って話だったから、お給料の体系とかも聞いてみちゃった。なんでも、1仕事いくらって仕組みで、今回も結構な額が出てたみたい。へ~。
――んでも、命が懸かってるもんね。未知の脱法呪文を真っ先に食らう立場って考えたら、妥当かも。
シャバー兄さんが「あ、そうそう」と、手を叩いた。
「〖迷宮〗を入れてれば大丈夫って、シャボンさんが言ってくれてましたよね。あれ、助かりました」
「えっと、抑止力になるかなあと思いまして。戦いの流れ次第でしたけど、うまくハマってくれて良かったです」
「シャボンさんの動画は視聴者数が多いですからね。あれで当座は、〖迷宮〗シリーズでの被害は出ないと思います」
あぅ、そうだった。被害者が出てたんだったわ。
今回の敵は、全員永久追放だから、あたしがマホロバで出会うことはもうない。
だけど、呪文開発チームにとっては、むしろここからが戦いなのよね。
おっちゃんが苦笑いしてる。
「いつまでも、〖迷宮〗の世話にはなってられんよな」
「ねー」
脱法呪文を防ぐ方法が脱法呪文ってのは、マズいんだっけ。
冒険者さんたちとお別れしたあたしとアイスは、無事に喫茶「サラマンダーの夜」へと帰ってきた。銀ちゃんは……気付いたらどっかへ消えてた。動画はしっかりアップしてたケドね。
「そういえば、おっちゃん。ざまぁ団の33支部って、あれで全部だったの?」
「いや、実はあと3人いたぜ」
「ソイツらも永久追放?」
「その線もあったが、ヒモづけして、次の悪党退治に生かそうって方針になった」
「ふーん。でも、万一こんな事故が再発したらツラいわよ」
「ま、可能性は低いと思うぜ……っと」
おっちゃんはヒレのある耳を押さえた。――ん? あたしの方を見たわね。
「銀狐からだ。見せたいものがあるんだとよ」
おっちゃんはホログラムを操作して、近代的な銀色のデスクを出した。あら、マホガニーじゃない机も出るのね。
その上にあったグレーの電話を押すと、銀ちゃんの声がスピーカーで聞こえる。
『アイス。今から【衛星球】の映像を送るよ』
「おう」
おっちゃんが、デスクの上にある箱を操作したら、壁へと映像が投射された。へ~、タクローちゃんってば、そんな事も出来るのねぇ……あら?
「んーっと、砂浜ね」
それも、夜の海岸だわ。なんで唐突に……って、ズームしていってるわ。中央にいるのは、ラクダに乗った2人の像? ――どこ、ココ?
「くっ、くはははは……!」
え? おっちゃんがイキナリ笑い出したし。
「銀狐、お前……。御宿海岸に行ったのかよ!」
『いやあ、ちょっと月の沙漠を撮影したいなあと思ってね』
あー、ココが元々、あたしの呼ばれた場所だったワケね。は~、月の沙漠って日本にあったの。
「――アラ? 画面に3人が入ってきたわ」
『ああ、シャボン。よく見てて』
「はーい」
銀ちゃんの指示どおり、じーっと見てると、暗がりに目が慣れてきた。――あ、なんか喋り出したわ。
『オイ、ウマの助、鹿次郎。お前らにも連絡来てねえか?』
『はいッス。ストレーションさんからも来てねえッス』
『誰からも音沙汰ないですよ、ベアクローさん』
ぶはっ!
「あーっははははは……!」
ヤバッ、なんでいるのよコイツラ!?
『だが、お前ら。22時って言うからな? もうじきだ。もうじきサボテンが、ココに来る』
『そうッスね!』
『そしたら、俺たちの支部でタコ殴り! あとは編集でストレーションさん1人が倒したことにすれば、ざまぁ、完了! です』
『ああ。ハハハハハ……!』
3バカは大笑いしてる。
う、うぷぷ……ヤバいわ、これ。勝手にドッキリにハマってるじゃないの、コイツら。
『さてと』
銀ちゃんがワザとらしく咳をした。
『以上、ざまぁ団・33支部の残党の様子を、現場の銀狐がお送りしました』
「あははははー!」
銀ちゃん、あたしたちのお腹に大ダメージは止めてってば! よじれるから!




