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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
4章 悪魔との戯れ編

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57話目 助けるのはプロにお任せ(なお、その後は)

 1秒でラビちゃんが殺されるって……何よ、その反則攻撃! チートもチート、冗談じゃないっての!


 ――あ。


「ヤバいわ! ミカエル園長が、うっかり電源を切っちゃったら!」

「大丈夫だ。すでに俺たちから連絡を入れてる」


 おっちゃんは冷静だった。


「向こうもプロだからな。ヘタに弄ることはない」

「ふぅ……良かった」


 大きく息を吐いたけど、すぐまた「あれ?」と首を傾げた。


「それなら、なんで連絡したの?」

「アバターナンバーの確認だな。ウサギ少女のそれが分かれば、どんなに似たダミーを置かれても、彼女を特定できる」

「おー」


 そりゃ大事だわ。

 だけどね、おっちゃん……あたしの真の疑問って、ソコじゃないのよ。


 1度フシギに思ったら、芋づる式にスルスルと疑問が出てくる。――ん、やっぱり重要だわ。聞いときましょ。


「ねえ、アイス」

「何だ?」

「あたしね、このマホロバ・ライトって、ゲームだと思ってたわ」


 おっちゃんは、マップから視線を上げた。


「まあ、『ゲームも出来る世界』だよな」

「だけど、こっちですら、脳死が起きるかもしれないのよね?」

「――ああ」


 あたしは、ぐっとアイスに顔を近付けた。


「この案件……。マホロバ・リアルの冒険者さんたちが、とっくに介入してるでしょ」


 そう。

 人が死なないことを売りにしてたマホロバ・ライト。

 そこで、〖迷宮2〗と〖強制終了〗のコンボが脳死を引き起こす恐れがあるって分かったら。


「――うぅん。むしろ、リアルの方以上に、本腰入れてやってるわよね?」


 おっちゃんは、天井を見てフーッと息を吐いた。


「今は言えない」


 すぐさま念話を飛ばした。


(脳ミソでのおしゃべりもダメ?)

(ダメだ)


 機密関係は本当にお口チャックね、おっちゃん。

 もっとも、その姿勢こそ、ビンゴって言ってるようなモンだけど。


「じゃあ、勝手に喋るから聞いてて。――あのね、あたしは自分で助けたいのは山々だけど、そりゃあ、プロが解決してくれるなら、その人たちにお任せするわ」

「……」

「おっちゃんは、あたしが助けに行くよりも、その人たちの方が成功率が高いって信じてるんでしょ?」


 あたしを一瞥したおっちゃんは、かすかにうなずいた。――十分よ、それで。


「なら、あたしも信じる。ラビちゃんの命がかかってるから」


 あたしは、おっちゃんの両肩を押さえた。


「だけど、助けたあとの〈悪魔〉は、あたしに倒させて。だってね、『あたしがターゲットになって、ラビちゃんを巻き添えにした』んだもの。これから先、傍観者として助けてもらうダケってのはイヤなのよ。――あ、でも敵は〖強制終了〗を使うんだっけ。それって『現実オンリー』なの? 『プライベートルーム』への2択じゃなくて」


 おっちゃんは、静かに息を吐いた。


「〖強制終了〗についてなら、YESだ。絶対にマホロバから追い出される」

「あー……それはちょっとマズいわね」


 脳のサボテン化がこれ以上進行したら、多分2度とマホロバに戻ってこれないわ。


「実はあたし、『ずっとマホロバに入ってる』って条件でゲームをやってるの。だから、〖強制終了〗を食らったらアウトね」

「――なるほど。体調か」


 おっちゃんは、すんなり納得してくれた。あたしが動けないって事情と合わせて、詮索しないでくれたみたい。


「だが、それなら尚更、待ってた方がいいだろう。――いや、この事件が解決したあとも、当分の間は人目を避けるべきだな。〖強制終了〗1発で退場はキビしいぞ」

「ん~」


 たしかに、そんな脱法呪文なら、フツーに使ってる人も多いだろうしね。ヘタしたら、善意で「速くログアウト出来るよ」って使われちゃうわ。それで人生終了ね。(そしてサボテンライフが本格始動)


 あー、とんでもない皮肉だわ。ラビちゃんは現実へ返したいのに、あたしは現実送りを断固拒否とか。


「くっそぉ~、〖迷宮2〗めぇ……」


 肝心な〖強制終了〗には無力とか、どーしてポンコツなのよ~……。


「――あ」


 あたしは手を叩いた。


「おっちゃん。〖迷宮〗の脱法呪文って持ってる?」

「ああ、研究用にな。どうした?」

「それって、もしかして……」


 疑問を尋ねたら、おっちゃんはいい返事をよこしてくれた。


 ――やった! それならいける!


 早速あたしは、対社長用デッキにスロットを入れ替えた。

 しばらくしたのち、おっちゃんが言葉少なに誰かと念話する。


「――よし、待たせたな」


 おっちゃんが親指を立てた。


「冒険者たちが少女を確保したそうだ。彼女は、無事に【終了】したとよ」

「よかった……!」


 緊張の糸が切れて、肩への重みをずっしりと感じたけど、こんな疲労ならジャンジャン来なさい、大歓迎よ。


 すぐに園長へと念話した。


(ミカエル園長、ラビちゃんが戻ったそうですね)

(あ! はい、シャボンさん! ええ、ついさっき現実に戻ってきました!)


 それから少しの間、「シャボンさんにはお騒がせを……」とか、「いえいえ、あたしの方こそ実は……」と謝罪合戦を繰り広げたのち、明日改めて伺うことにした。

 あ、ラビちゃんとのやりとりも明日ね。すっごく怖かっただろうし、マホロバに今すぐ来てなんて言えないわ。ミッちゃんや他の先生たちに存分に癒やしてもらってね、うん。


「はぁ……本当に良かった……」


 両手で顔を覆ったら、ちょっと泣いてたわ。


「シャボン」


 アイスが立ち上がった。


「憂いは去ったが、大門に行くか?」

「ええ、もちろんよ」


 ラビちゃんにやってくれたお礼を、たっぷりとお返ししてあげなくっちゃね。


 不敵な表情に切り替えたあたしは、インベントリからレーヴァテインを出した。


「キッチリと、ブチのめすわ」

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