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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
4章 悪魔との戯れ編

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56話目 〖迷宮〗の悪魔

 あたしの手紙を見たおっちゃんは、ツヤのある銀髪をガシガシかいた。


「くそっ。〖迷宮2・倒れた冒険者〗……正式名称だ。ハッタリじゃねえな」

「ヤバいの?」

「軽はずみなコトは出来ん」


 白魚のような指で口を拭う。


「そもそも、〖迷宮〗という脱法呪文は、【終了】させない効力を持つ常動魔法だったんだが……。ムリヤリ外部から電源を落として、強引に起こすワザが使えた」

「え?」


 ちょ、ちょっと待って。


「それじゃあ……この〖迷宮2〗は?」

「――マホロバ・リアルの方では、脳死した。ついさっき起きた事件だ」


 何よソレ、メチャクチャ凶悪じゃない!


「ちょっと! こっちはライトでしょ!? ――大丈夫よね?」


 おっちゃんは、肯定も否定もせず、テーブルの上に出した新宿の地図をじっと見つめてた。


 ――あ。


「ご、ごめん……アイス。あなたに当たるなんて……」

「いや、いいぜ。いくらでも聞いてやる」


 落ち着いて答えてくれたことで、あたしも冷静さを取り戻せた。


 ラビちゃんを助けることが大事。今は、敵の行方を注視しましょう。


 マップ上には赤い点が表示されていて、ゆっくりと動いてる。――あ。


「西口の魔法陣に乗ったら、点がワープしたわね」

「代々木に飛んだか……」


 縮尺を変えて、広域が映し出される。


「ヤマノテか、あるいはチューOか」

「ねえ、アイス。これって正規呪文?」

「ああ、銀魔法の【追跡】だ。ちとイジってるがな。――む?」


 また赤点がワープした。今度は国立競技場の北東。


「なるほど……Oエド・ラインだったか」


 おっちゃんはスグさま該当路線を脇に表示させた。青山一丁目、六本木、麻布十番と、次々に赤点が瞬間移動する。

 そして、ついに点がゆっくりと北へ動き始めた。


「おっちゃん。敵が電車から降りたわね」

「だな」


 浜松町に程近い駅だった。名前は「大門だいもん」。


「この辺りは、〈悪魔〉のアバターが根城にしてるんだ」

「名前つながりで?」

「ああ。東京タワー近くのダンジョンにも潜りやすいから、利便性も高い」


 赤い点は、じれったいほどノロノロと北上したのち、動きを止めた。


「おっちゃん。ここがアジトでしょ? スグに行ってブチのめしましょう」

「待て、シャボン。捕まった少女の居場所が特定できてない。ここにいなかったら最悪だ」

「ぐっ……」


 あたしは歯を食い縛った。

 今もラビちゃんは心細い思いをしてるハズ。60秒を60日ぐらいの体感で震えてるかもしれない。


 ――自分の無力さをこんな形で感じるなんてね。


 おっちゃんは、誰かと通話していた。


「うむ、『ざまぁ団・第33支部』か……。分かった、引き続き見張っててくれ」


 あたしの方を向いて、ゆっくりとOKサインを見せる。――いよっし!


「ブッ潰せるわ」

「まだだ」


 おっちゃんが手を広げて制した。


「ここの支部長は、ストレーションって名前の〈悪魔〉でな。格上の相手にケンカを吹っかけちゃあ、脱法呪文で追い払った挙げ句、編集マジックで勝利動画を投稿する外道だ」

「うへぇ~……って、正体まで分かってるの?」

「2体目以降のアバターはカネが掛かるからな。代金をケチる『ざまぁ団』は多いんだ」

「なーるほど」


 泳がせてたってワケね。


「んじゃまぁ、小者のザコっぽいし、サクッと倒してラビちゃんを助けられるわね」

「問題は、ヤツのよく使ってる脱法呪文なんだ」

「え? どうして?」


 おっちゃんは顔をしかめた。


「〖強制終了〗って呪文でな。どんな相手も、1秒でマホロバから現実に戻しちまう効果がある」

「へー」


 便利ね。【終了】には5秒かかるから、逃げるときも相手を追い払うときも使えるわ。


 ――あれ?


「ねえ……。〖迷宮〗って、【終了】が出来ないけど、〖強制終了〗なら出来るってオチ?」

「そうだ」

「んでもって……。〖迷宮2〗は、強引に起こすと脳死?」

「ああ」

「――〖強制終了〗で起こしても?」


 おっちゃんは、マジな顔のままゆっくりとうなずく。




 ヤバいじゃん!!

〖迷宮〗は、各色に亜種が作られてます。

以下はオーソドックスなタイプです。


〖迷宮/Labyrinth〗

特技/『脱法ですが何か?』

分類:常動

範囲:半径100m

効果:【終了】を使用不可にする。

条件:スロットに入れた者はマホロバから脱出できない。

「まァ、ゆっくりしていけや。ゆっくり……な」

    ――カルイザワ、OK社社長

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