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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
2章 〖デス・エレメンタル〗編

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35話目 そして電脳天使へ

 その後、続々と戻ってきた被害者の会のみんなに、アイテムを返していった。


「正直、無くなってると思いましたよ。それでも、竜退治に参加できるとか嬉しいじゃないですか」


 とりわけ、白馬ヘッドさんからは嬉しがられた。えへへ、コッチも嬉しいわ。

 ――そうそう、【大地の竜】もみんなでゲットしたものだけど、MVPだからって、みんなあたしが持つようにって言ってくれた。んー、大人だわー。

 あ、その代わり、倒してた【嵐の翼竜】は、みんなに分配したわよ。多分だけど、実用的なのはこっちね。


 【魔力視覚】って魔法をかけてもらって、あたしたちは更に入念に忘れ物チェックをやった。




 ゴゴゴゴ……。


「あ、ビルだ!」


 誰かが気付いて、あたしも見上げた。


 巨大なカルイザワビルは、ゆっくりと着地して、元通りの位置に収まる。


 んーむ……悔しいけど、サプライズの企画としては上々よね。被害者が増えてるけど、あの社長は大笑いしてそう。


 あたしたちは、ビルの前で「社長のバカヤロー!」コールをしたあと、ビルの1階受付で、残りのアイテムを預かってることを伝えた。それと、映像も投稿してね。この辺は、おっちゃんと銀ちゃんが手慣れてたんでお任せモードよ。




 ンで。

 被害者の会のみんなと別れたあたしたち3人は、喫茶「サラマンダーの夜」にやってきた。

 アイスが椅子に座ると、指を弾いてコーヒーカップを出す。


「シャボン、1円うんぬんってのは何だ?」

「それはね……」


 丁寧に答えてあげると、大笑いしてた。

 その後、おっちゃんはちょっぴり居住まいを正す。


「シャボン、お前を巻き込んじまったな。スマン」

「ううん、おっちゃんたちこそ、あたしを助けるためにカード開発のことをバラしちゃって良かったの?」

「ああ、どうせ俺たちが対策カードを作ってるのは、奴らの上の連中も知ってるだろうしな」


 銀ちゃんも、映像にアフレコを入れつつうなずいた。


『あ~っと、天使危ない! ――いや、セーフ、セェーーフ。【巨大な盾】発動! これで5枚目! ギリギリうちの人魚が、【悪魔の契約】でクールタイムを解いてました。いやはや、憎いね~!』


 あらま、ノリノリね。ちょっとキャラも変えてるし。


 あたしはアイスにほほ笑んだ。


「おっちゃんたちと関われてよかったわ。対策カードを作ってる側とか、メチャクチャすごいじゃない」

「大したもんじゃないぞ」

「けっこう大規模だと思うけど、会社ぐるみ?」

「んー、ダメな大人どもが勝手に集まってるダケと思ってくれ」


 お、ちょっと含みがあるわね。おっちゃん、こういう質問にはYESかNOかハッキリ言いそうだから、ぼかすってことはYESだわ。だけど、それを言えない立場と。


「おっちゃんたちは、このVRがうまく存続してほしい?」

「そりゃ無論な」


 アイスはうなずいた。――あ、銀ちゃんも。どっちも銀髪だけど、銀ちゃんは黒っぽくて、アイスはちょいブルー入ってるわね。


「俺は、善人が泣きを見るようなシステムは良くないと思ってる。だから、みんなが安心して利用できるような仕組みを構築したい。そのために、オリジナルカードを作ってるんだ」


 おおう、理念がまぶしいわ。なんてゆーか、少年社長よりもよっぽどゲーム会社の社員っぽいわね。 


 ンでも……良かった。方向は同じみたい。


「あたし、ここの喫茶にちょくちょくお邪魔していい?」

「ああ、いいぜ」


 アイスは銀ちゃんを指差した。


「だが、銀には気を付けろ」

「なんで?」

「コイツ、しれっと動画投稿してるからな。お前も無許可で撮られてるぞ」

「えぇ~。出演料もらおうかしら」

「おお、もらっとけもらっとけ」


 銀ちゃんは苦笑しつつも、作業の手は止めなかった。――あ、コッチ見たわ。


「私は、シャボンが本気で望むのなら、キチンと契約を交わすよ?」

「アハハ、ないない」


 手をプイプイする。


「お金は取引を円滑にするためのものであって、ギクシャクさせるものじゃないわ。もし、銀ちゃんが動画で大儲けするようなら、あたしに還元してくれるでしょ」

「信じてくれて嬉しいね」

「それに」


 あたしはアイスに視線を向けた。


「銀ちゃんがあくどいコトしたら、おっちゃんが教えてくれそう」


 みんなして笑った。


「あ、そうそうおっちゃん。【眠りの竜】、無事倒せたわ」

「マジか。お前、コレで3匹目か? ハイペースだな」

「ふっふっふ……順調にドラゴンバスターの道を歩いてます」

「【緋色の竜】のカードはどうする?」

「う~ん。できれば、交換したままでお願いしたいかな~って。好きに処分してくれて構わないから」

「分かった。じゃあ、預かっとく」

「――ん、ありがとう」


 甘えちゃってるわね~、あたし。おっちゃんには、いずれキチンとお礼しないと。


「ンじゃ、おっちゃんからもらった緑のレア4枚と、杖のレーヴァテインは、そのまま使うわね」

「ああ」


 あたしはお別れを言ったのち【終了】して、小部屋へと戻った。


「エイホウさん。現実のサボテンってどうなってる?」

『栄養入りの水分を、適切に自動で補充しております』

「ありがとう」


 サボテンとしての生命は続くっぽいわね。大富豪さんに見つかって、あっさり終わってもおかしくないケド。


 いつまで出来るか分からない。

 でも、だからこそ、いつ終わってもいいように全力で生きる。


 その瞬間まで、電脳天使として頑張ろう、うん。

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