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サボ天使、ガチャVRに人生極振り! ~デッキを組んで強くなる世界で、魔法カード0枚からの成り上がり!~  作者: ラボアジA
2章 〖デス・エレメンタル〗編

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19話目 トカゲ「コモンです」

 クマのベアクローは、怪訝な顔をした。


「はぁ? ――って、なんだ、NPCか」


 あらら、いきなりデメリットが前面に出たわね。


 手でプイプイと否定する。


「いいえ。あたしはプレイヤーです」

「え?」


 ベアクローは、ますます眉間にシワをよせた。


「なんの……用ですか」

「ええっと、そのカードですけど~」


 【地震】を指差してやる。


「これって、少年クンが持ってたカードですよね? ――そうでしょ、えーっと、E-MIXエミックスくん?」

「は、はい」


 首振り人形のようにブンブン振る美少年。艶やかな黒髪がぴょんぴょんハネてる。


「僕が、ベアクローさんと、トレードしようって出してたカードです」

「ま~あ」


 ワザとらしく、口を覆ってみせる。


「それで、E-MIXクンの変えてもらったのは、【巨大トカゲ】だけなのぉ?」

「え……えっと、1対1交換だし、いいと思ったんです、けど……」


 戸惑う少年から視線をズラしてやると、クマのおっさんは明らかにキョドってた。


「お互い、納得してトレードしてたんだぞ? 大体、外野が口出すんじゃねえぜ」


 ま、本来はそうだけどね。


「え~、でもでもぉ、【巨大トカゲ】ってコモンですよ~? こっちの【地震】って……あ、ほら、レアじゃないですか~」


 カードにバッチリ書いてあったわ。

 タダ同然のコモンと、1枚1000円のトレードとか。

 限度があるわよ、おっさん。


 おっさんは、明らかにイライラしてた。


「シャボンって言うのか? コイツも……いや、彼も、嬉しそうだったし、いいだろ?」


 ほほぉ、謝罪なしですか。

 フザけないで。


「まだ、トレードは成立してませんよね?」

「はぁ?」

「あたしが代わりに持ちかけます」


 有無を言わさず【地震】を回収し、E-MIXクンの持ってた【巨大トカゲ】と取り替えた。


「ねえ、E-MIXクン。あたしなら、【巨大トカゲ】を2枚出せるわ」

「え?」

「あー、それに、【エロス】2枚に【蜘蛛の糸】2枚……ううん、緑のコモンを2枚ずつ出せる。合計40枚!」

「そ、そんなに!?」

「そうよ。だってコッチの元手はタダだったもの」


 E-MIXクンの動きが止まった。


「え? ――タダ、なんですか?」

「そうよ。コモン同士で変えてもらったわ。別の、いいおっちゃんとね」


 クマさん、あなたとは違うんです。


 ベアクローは、舌打ちして席を立った。おー、2mぐらいあるわ。


「言っとくが、俺はオドしてねえぞ」

「ええ。だけど、『語るべきことも語ってない』わよね」


 情報の非対称性ってヤツ? たいてい、売り手側が詳しくて、買い手側はよく知らないのよ。

 順調な業績ってコトを電話で確認しても、虚偽記載で一発KO……あー、イヤなこと思い出したわ。


 あたしは周りを見回した。依然としてガヤガヤしてる。


「もっと大っぴらに騒いでも良かったんだけど、それは止めておくわ。意外にあなたが冷静だったのと、E-MIXクン本人も応じてたからね」

「――そりゃ、どーも」


 クマのおっさんは、あたしをニラみつけたのち、のっしのっしと部屋から出て行った。


 席についてるE-MIXクンが、あたしを見上げる。


「え、えっと……シャボンさん?」

「なあに?」

「その……【地震】のカードって、価値があったりしますか?」

「ん~、分かんない。ちゃんと、自分で調べて」


 E-MIXクンは、ステータス画面を色々と操作したのち。


「あ」


 思わずって感じの声を漏らしたあと、立ち上がった。およ、あたしよりもちょっぴり背が高い。


「シャボンさん、ごめんなさい」


 ペコリと頭を下げられる。


「【地震】のトレード、無しにしてもらっていいですか?」

「ええ、いいわよ」

「ありがとうございます」


 ペコペコ。


「それと、さっきベアクローさんとのトレードを止めてくれたのも……」

「あれは気まぐれ。カードの価値は、ちゃんと調べてからの方がいいわよ?」

「ありがとうございます」


 握手を求められたので応じると、やっぱりフレンド登録が出た。とりあえずYESにしときましょ。


「シャボンさん。ご恩は忘れません」

「重く考えなくていいわよ。じゃあね」


 は~。トレードに来たのに、なんかそんな気分じゃなくなっちゃったわ。


 あたしはクールに部屋から去ることにしたのでした。






「さてと、しばらくブラついてみましょっか」


 新宿西口から南のほうへ向かってみた。もちろん、バサリと空を飛んでね。


「おお~……絶景かな」


 自分自身がドローンになった感じって言うの? 今までダンジョンだったから、開放感がスゴいわ。

 スグ手前に甲州街道があって、角にはファーストフード店。バスターミナルの建物に、タイムズスクエアまで見える。


「おい」


 突然、声を掛けられた。


 振り向くと、クマのおっさんも天使の羽を生やして飛んでる。


「お前な、エモノを横取りすんなよ」


 うわあ……何様のつもりなんだか。


「ベアクローさん。あなたがやってたのは、相手を泣かせるトレードよ」


 クマは忌々しそうに舌打ちした。


「フザけんなよ……サボテン?」

「!」

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