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平凡王子は今日も密かに悪役令嬢の『ざまぁ』を志す……けど、愛がヘビー級の悪役令嬢に溺愛されている平凡王子はもう、まな板の上の鯉状態ですが、なにか?  作者: 綜奈 勝馬


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第二百八十五話 圧倒的な戦力差


「ちょ、ちょっと待って下さい!! る、ルディにそんな……せ、性の目覚めがあるのですか!?」


 メアリの発言に、思わずといった感じでディアが突っ込む。その突っ込みにメアリは呆れた様に首を左右に振って見せた。


「……何を言っているのですか、クラウディア様。ルディ様だって健康な十五歳の男の子ですよ? 興味がない訳無いでしょう? そう思いませんか?」


「お、思いませんかって……だ、だってルディですよ? ルドルフ・ラージナルですよ!? 五歳の時から大人に混じっても違和感の無かったルディですよ!? 既に枯れていても可笑しくないじゃないですか!!」


「……いや、クラウディア様? 貴方、ルディ様を押し倒すとか言っていませんでしたか? ルディ様が枯れているのであれば押し倒しても意味が無いのでは?」


「そうじゃありませんよ、メアリさん! 何言ってるんですか!! ルディだって健康な男の子ですよ!! 押し倒せばムラムラくらいはするでしょう!!」


「……あの……本当に何を言っているのですか、クラウディア様?」


 マジで意味が分からない。そんな表情を浮かべるメアリに、ディアはその薄い胸を張って。



「――あのルディが、能動的に『そういう』行動をするとは思えません! ルディは押し倒したり、無駄に多いボディタッチをしたりして初めてムラムラするタイプの筈です!!」



 酷い事を言っていた。言葉もさることながら、要は『あのヘタレのルディが、そんな度胸あるはずねーよ!』と言っているのと同義である。まあ、ヘタレのルディだからこそチラチラ見る事しか出来ないという感じ方もあるにはあるが。


「……クララの言葉はともかく……私もある意味では意外ですね」


 クリスティーナのその言葉に、メアリは視線をクリスティーナに固定して口を開く。


「意外、ですか? クリスティーナ様も、ルディ様はその様な事をする人間ではない……枯れている、と?」


「ああいえ、そういう訳ではありません。ルディだって健康な男のですし? そういう事に興味があるとは思っていますよ? 思っていますが……」


 そう言って首捻り。



「ルディって、かなり紳士じゃないですか? メアリさんが見目麗しいのは認めますし、夏の侍女服が扇情的な……扇情的? まあ、魅力のある恰好なのは認めますが……その様にじろじろと見るとは思えないのですが?」



 ヘタレではなく、紳士。そんなクリスティーナの言葉に、メアリはにこやかに笑んで見せる。


「そうですね。少しばかり言い方が悪かったです。確かにルディ様は私の事をじろじろと見ている訳ではありません。ありませんが」


 一息。



「クリスティーナ様も心当たりがありませんか? ドレスを着た時……特に、少しだけ胸元の開いたドレスを着た時に、殿方の視線がそちらに集まってきているのを感じたこと」



「……ありますね。物凄く気持ち悪い視線です」


 メアリの言葉にイヤそうに顔を顰めるクリスティーナ。そんなクリスティーナに苦笑を浮かべて、メアリは口を開く。


「ルディ様の場合、その様な不躾な視線ではありません。言うならば……そうですね、私がしゃがんだ時にちらっと視線をスカートに向けて、慌てて逸らすと言いましょうか……反射で視線が行ってしまった、不味い、逸らさなきゃといった視線で……」


 はぅ、と艶めかしい息を吐いてメアリがペロッと唇を舐める。




「――正直、たまりません」




 もう、完全に童貞を揶揄う色っぽいお姉さんムーブである。惜しむらくは、メアリは耳年増なだけで完全に役者が足らないということくらいだろうか。


「……ルディならどれくらい見て頂いても構いませんが?」


「私も同じに御座いますね。他の男性なら死んでも御免ですが。ですが……あのルディ様の態度もまた、可愛らしいものに御座いますよ? いつもはどちらかと言えば年齢よりも大人びているルディ様が、私の肢体に興味を抱きつつも目を逸らす姿は」


「……そうですか。それは……ちょっと羨ましいですね」


「ええ。そうです! もし、クリスティーナ様がご不快でなければ、クリスティーナ様の侍女服もご用意いたしましょうか? 勿論、王女であるクリスティーナ様が侍女服なんて着られるかというなら――」


「是非、お願いします! 私もルディを悩殺したいですっ!!」


「――食い気味に来ましたね。分かりました。それではご用意しておきますね?」


 鼻息荒いクリスティーナに若干引きながら、それでも笑顔でそういうメアリ。そんなメアリの視線の端で、顎に手を当ててブツブツ何かを言っているディアの姿が映った。


「どうされました、クラウディア様? ああ、クラウディア様も必要でしょうか、侍女服? それならばご用意しますが……」


「是非、お願いします、お願いしますなのですが……」


 そう言ってディアは視線を――ハイライトの消えた目で、メアリを見つめて。




「――私、どれだけ胸元開いたドレスを着ても視線を感じた事無いんですが……なんでですかね?」




 圧倒的な戦力差です、ハイ。



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