表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡王子は今日も密かに悪役令嬢の『ざまぁ』を志す……けど、愛がヘビー級の悪役令嬢に溺愛されている平凡王子はもう、まな板の上の鯉状態ですが、なにか?  作者: 綜奈 勝馬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

253/294

第二百五十二話 百年の恋も醒めるぞ、ありゃ


「貴方達、私の幼馴染でしょう!? 少しくらいは傷心の幼馴染、慰めてあげようという気は無いんですか!?」


 フーフーと肩で息をしながら、アインツとクラウスを睨みつけるクリスティーナ。そんなクリスティーナの姿にアインツとクラウスは視線を合わして――そして、肩を落として同時にため息。


「な、なんですか、その態度!!」


「あんな? そりゃ、俺もアインツから話を聞く前ならお前にも同情するぞ? クリスがルディに猛烈なアタックしてたのだって知っているし。でもな~……」


「その通りだ。流石に一線を超えないだろうと思っていたが……お前のアレは、一線どころか人として超えちゃだめなラインをスキップで超えていただろうが。あんな姿を見せた幼馴染を庇うことなんて出来るか」


「マジ、それだよな。むしろルディに心の傷を負わせたんじゃねーのか? ほら、クリス? ちゃんとルディに謝ったか?」


「そうだな。昨日もまあ、謝ったと言えば謝ったのだろうが……もっと誠心誠意、ルディに謝れ」


 二人の冷たい視線と言葉に、クリスティーナは『うぐぅ』と息を呑む。何かを反論しようと思い、口を開きかけ、それでも何も言う事は無いのかパクパクと口を開閉させて。




「う、うぐ……そ、その……る、ルディ? 昨日は……すみませんでした」




 出て来たのは謝罪の言葉だった。そんな言葉に、ルディも笑顔を浮かべて見せる。


「……うん、許すよ、クリス。その……ちょっと……だいぶ……とてもびっくりはしたけど……わ、悪気は無いんだよね、クリスも」


「も、勿論です!! 決して、ルディを害す気はありません!!」


「……貞操狙うのって、害す気満々じゃね?」


「クラウス、うるっさい!! そういう意味ではなくて!!」


「ああ、ああ、分かってる。わかってるから、そんなに興奮しないで。ね?」


 クリスティーナの側まで歩き、ポンポンとクリスティーナの頭を軽く撫でる。そんなルディの仕草に、徐々に落ち着いてきたのか、クリスティーナは口を開く。


「……ありがとうございます、ルディ。それに……ごめんなさい」


「何に対する謝罪? もう、謝罪は受け取ったよ?」


「その……寝不足について、です。ルディは悪くなかったですね。ただの八つ当たりでした」


 ぺこりと頭を下げるクリスティーナのつむじに、ルディは苦笑を浮かべて。


「でも……まあ、ディアがこう……クリスに惚気たのって、僕とのその……お、お付き合いが嬉しかったからでしょう? だったら、まあ……責任の一端は僕にあるかなって思うから……うん、原因の半分くらいは僕のせいかな~とは思うし……」


 照れたような表情を浮かべるルディに、クリスティーナは下げていた頭を上げて、見惚れる様な笑みで。




「リア充、爆発しろ」




「え? 今、なんて?」


「コホン。なんでもありません。というか、クララの惚気話だけでもう十分お腹いっぱいなんですよ。これ以上、ルディからも惚気話なんて聞かされたら溜まったものじゃありませんし」


「それは……うん、ごめん」


「いいえ。私も少し、拗ねただけですから」


 そう言ってクリスティーナは優しい笑みを浮かべて。




「――良かったですね、ルディ。心から、祝福しますよ」




「……ありがとう」


 クリスティーナの笑顔に、こちらも笑顔を返そうとして、失敗。変な表情になるルディに、クリスティーナはクスクスと笑って見せる。


「……その様な顔を為されないでください、ルディ。私の言葉に嘘偽りはありません。それは、少しばかり悔しい気持ちもありますよ? ありますが……」



 私とクララだって、幼馴染なんだから、と。



「……クララがどれだけルディの事を慕っていたか、それを知っていますからね。それなのにクララはルディと結ばれることは無いと……まあ、そう思っていました。そしてそれは、あの子にとって、とっても不幸な事だから」


「……」


「だから、やっぱり私は嬉しいんです。それに……一晩、ルディとの惚気話だけを聞いていたわけじゃありません。クララは話してくれました」


 これからのこと、と。


「……クリスはそれで良いの? その……言い方アレだけど、僕結構最低って言うか……」


「重婚自体が忌避されない世界で何を言っているんですか。私は嬉しいですよ? それに……ルディのお側に居ればまだまだチャンスはありますから」


「チャンスって」


「ルディの一番になれる、そのチャンスです」


 にっこりと微笑んで。


「……少なくとも、あそこでエディに『ざまぁ! ざまぁああああ!!』とか言っている女よりは私の方がイイと思えるのでは無いのですか? 見て下さい、あの顔。まるで鬼の首を取った様な……百年の恋も醒めますよね、ルディ?」


「……ノーコメントで」


 まあ、物凄く高笑いしながら、『ざまぁ!』と楽しそうにエディを罵るディアの姿は……まあ、うん、端的に言って、ちょっと醜い。いや、別に嫌いにはならないんだけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ