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平凡王子は今日も密かに悪役令嬢の『ざまぁ』を志す……けど、愛がヘビー級の悪役令嬢に溺愛されている平凡王子はもう、まな板の上の鯉状態ですが、なにか?  作者: 綜奈 勝馬


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第百六十話 はーい、皆、集まって~


 メアリの『レッツ・ハグ!』の翌日の朝十時。ルディは学園の中庭にリュックを背負って立っていた。そんなルディの背中を自家の馬車を降りた所で見つけたディアは、嬉しそうにトトトと小走りにルディの元に向かう。


「ルディ!」


「ん? ああ、ディア。おはよう」


「はい、おはようございます! 今日から三日間、一つ屋根の下でよろしくお願いしますね!!」


「……宿舎に泊まるのを一つ屋根の下というのはちょっと無理がない?」


 まるで花の咲いた様な笑顔を見せるディアに、ルディは苦笑を浮かべて見せる。本当に言葉通りの……まあ、部活の合宿で使う様な、全員雑魚寝みたいな展開なら一つ屋根の下でも問題ないだろうが、なんといっても全員個室、コンシェルジュまで付いている高級ホテルみたいな宿舎で『一つ屋根の下』はちょっと無理があるだろう。


「もう! ルディはまたそんな事を……良いじゃありませんか。雰囲気、大事ですよ?」


 そんなルディの雰囲気も何にもない言葉にもディアは別段気にした風もなく、笑顔を継続中。なんと言っても、エディという『コブ』の付いていない状態でのルディとのお出かけ、しかも泊りがけなんて初めての経験だ。そら、恋する乙女的にはテンションも上がる。


「おはようございます、ルディ、クララ。今日からよろしく……ふわぁ」


 そんなルディとディアに話しかける姿があった。クリスティーナだ。少しばかり眠そうに欠伸を噛み殺しながら、しぱしぱする目を擦っている。


「おはよう、クリス。なに? 寝不足?」


「ええ……今日は何時もより登校時間がゆっくりでしょう? ついつい、『まだ大丈夫か』と夜更かししてしまいました……くわぁ」


「……はしたないですよ、クリス。ほら、しゃんとしなさい」


「んんん……今更じゃないですか。私だってクララだって、ルディには欠伸どころかもっと恥ずかしい姿を見られているのに」


 一応、断っておくが十八歳未満お断りなムフフな話ではない。幼馴染である三人、普通に御昼寝時間なんかもあり、その時には腹出して寝ていたり、涎を垂らしていたりしているのだ。欠伸くらいは今更なのである。ディアに至っては、寝ているルディの頭を蹴っ飛ばした事もある。


「……幼馴染であることは幸せな事ですが、恥ずかしい姿を全部知られているのは少しばかり厄介ですね。格好が付かないじゃありませんか」


「それも今更でしょう?」


 額に手を当てて首を左右に振って見せるディアに、何でもない様にそういうクリスティーナ。そんなクリスティーナにため息を吐き、ビッとクリスティーナを指差すディア。


「ともかく! 昔はそうだとしても、今はもうちょっと『しゃん』としなさい! 流石に淑女としてどうかと思いますよ?」


 ディアの言葉に『はーい』と言って、心持背筋を伸ばすクリスティーナ。が、それも一瞬、今度はその笑顔を苦笑に変えて見せる。


「……淑女というなら、彼女をなんとかしないと行けませんね? いえ……とてもよくお似合いですが」


 クリスティーナの視線の先に、ディアもその視線を飛ばす。と、その視線で捉えたものに、先程よりも大きなため息と――そして、声を出す。



「クレアちゃん!!」



「? あ、クララちゃん、クリスちゃん!! おはよーございまーす!!」


 声に気付いたか、こちらを振り返ってぶんぶんと手を振る少女、クレア。そんなクレアに、淑女らしからぬ大声を出すディア。


「なんですか、その恰好は!!」


 たったと音が鳴りそうな勢いでディアの側まで駆け寄るクレアが首を傾げて見せる。そんなクレアの格好を上から下まで見て、ディアは大きなため息を吐く。


「何考えているんですか、クレアちゃん!! なんですか、その恰好は!!」


「え? だって運動しやすい恰好って……」


「それにしてもです!! 嫁入り前の娘が、そんなに肌を露出して……」


「……いう程露出していますか、これ?」


 クレアの格好は上は半袖で、左右の胸にポケットが付いているカーキ色のシャツと、同じ色のハーフパンツ、頭にはつばの付いた帽子を被った……まあ、俗にイメージされる『探検家』みたいなスタイルだった。


「露出しています! 特に、なんですかそのハーフパンツは!! そ、そんなに足を露出して……」


 この世界、女性の足の露出は褒められた事ではない。まあ、中世ヨーロッパをイメージして貰えば分かりやすいだろうが、足首を見せるのだって『はしたない』と言われるのに、クレアの格好は足首どころでは無いのである。そんな姿を美少女のクレアがしていると、さて、どうなるかというと。


「――おはよう、クレ――クレア!? だ、ダメだよ、そんな刺激の強い恰好しちゃ!! こ、これ!! これを腰に巻いて!!」


「おはよう、クレア。今日は――お、おい、クレア!! そ、そんなはしたない恰好をしちゃ……しちゃ……し……だ、ダメだ!! ほら! これも羽織れ!!」


 真っ赤になっちゃうのである、エディとかエドガーの、クレアガチ恋勢は。





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