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夏の小川での水遊びは遊びの定番だよな

 さて、ことしも暑い夏になった。


 夏といえば”海”というイメージではあるが、こういう時期は名前もないような小さな小川で水遊びをするのも冷たくて気持ちいいしとても楽しい。


 今日は魚や川エビをつかまえるついでに、川で水遊びを楽しむことにした。


 双子は早速川を覗き込んでいる。


「おしゃかな、いたー」

「おしゃかな、いたー」


 素っ裸ではしゃいでる双子。


「おう、おまえら脚を滑らせないように気をつけろー」


 俺の言葉がわかってるのかわかってないのか微妙だが双子は元気に答える。


「わかったー」

「わかったー」


 双子は小川のなかをはしゃぎながらあるき回り、魚が居た、海老が居た、貝がいたといろいろ見つけてははしゃいでいる。


 ちなみにイアンパヌや上の娘はビキニぽい麻の水着、俺と息子はふんどしだ。


「とーしゃ、かいー」

「とーしゃ、かいー」


 双子たちがつかまえたタニシを手にして俺のとこに来た。


「おお、タニシをつかまえたか、偉いぞ」


 俺は双子の頭をワシワシ撫でる。


「えらーい」

「えらーい」


 タニシやホタルの餌になるカワニナなどの淡水の巻き貝も、しっかり真水につけて泥抜きとクソ抜きをした上で、煮てアク抜きもすれば案外うまく食える。


 醤油とか酢味噌があればもっといいんだがな。


 しかし、こいつらにも寄生虫がいるので、しっかり加熱しないと危険だったりする。


 まあ泥抜きにかかる時間が綺麗な水で2~3日、水をこまめに水換えしながら泥や糞をとらないといけないので結構時間が掛かるのが欠点だ。


 しかしタニシなどは泥ごと苔を食べているので、糞出しを全くしないで茹でると泥臭い仕上がりになってしまうのだが、ちゃんと泥抜きすると意外とうまい。


 双子たちが俺と一緒に水で遊んでいる横で、イアンパヌや上の娘、息子は網で大きめの鮒や泥鰌などを捕まえている。


 この時代は川や海でデカイ魚が取れるのも有って、タニシや泥鰌のような小さめで泥抜きが面倒くさい物を食べることはあんまりないんだが、まあたまにはのんびり泥抜きして煮たり串にさして食べるのもいいんじゃないかな。


「まあ、蜆や浅蜊ばかりでも飽きるしな」


「あきるー」

「あきるー」


「おまえら飽きるって意味わかっていってるか?」


 双子は顔を見合わせた。


「わかんなーい」

「わかんなーい」


 俺は苦笑しながら双子に答えた。


「同じものをずっと食べて、もう食べたくないなーって思うのが飽きるだ」


 双子はコクコク頷いた。


「わかったー」

「わかったー」


 まあ、縄文時代は毎日の行動も食事も似たようなものになりがちだが、調味料とかが殆ど無いのでしょうがない、贅沢は言えんのだよな。


「よしお前たち葉っぱで船を作ってみようか」


 双子はコクコク頷く。


「つくるー」

「つくるー」


 俺は葉っぱを双子に手渡して、まず俺が作ってみせた。


「まずは両端を折り曲げるだろ」


 双子はコクコク頷きながら葉を折る。


「おるー」

「おるー」


「で両端の2カ所ずつちぎる」


「ちぎるー」

「ちぎるー」


「で、右と左を通して組み合わせたら船の出来上がりだ」


「できたー」

「できたー」


 双子は嬉しそうに笹舟を掲げてみせた。


「じゃあ流してみるか」


 ウンウン頷く双子。


「ながすー」

「ながすー」


 俺と双子は作った笹舟を水に浮かべて、流してみた。


「おお、うまく流れてくぞ」


「うまー」

「うまー」


 そんなことをしていたら日もくれてきたので、皆で家に帰った。


 双子は鮒の白身をよくすりつぶしたものを食べてすぐに寝てしまった。


「まあ、毎日が休みでもあり仕事でもあるもんなこの時代は」


 イアンパヌが不思議そうな顔をしていたが、意味がわからなかったか。


「簡単に言えば毎日が楽しいってことさ」


 イアンパヌが頷く。


「そうね、いろいろあって大変だけど楽しいわよね」


 娯楽の数が多ければそれだけ楽しいってこともないよな。

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