ガラガラを作るついでにちょっと楽器を作ってみようかね
子供をあやす道具に、ガラガラってやつが在る。
一般に柄の付いた円筒状の形をしていて、中に球や鈴などが入っていて、柄を持って振ることでがらがら音が鳴るものだ。
日本では室町時代から作られたものらしいが、構造的には難しくないので、ちょっと作ってみようか。
それなりの大きさの竹を切ってきて、一旦輪切りにし、中に石を入れて、蓋と柄を漆で接着してやればいいんじゃないかな?
「うし、できたな」
下の子供達は双子だから2つ作って、双子をあやしてるイアンパヌや、上の娘のところへできたガラガラを持っていく。
「おーい、ちょっと見てくれ」
俺は竹のガラガラを赤ん坊の目の前で逆さにしたり振ったりしてみた。
”じゃらじゃらじゃら”
「きゃはははは」
お、喜んでるか?
「お父さん私にも使わせて」
「おう、いいぞ」
俺は上の娘に作ったガラガラを渡してやる。
「ほーら」
娘がガラガラを降るとやっぱりじゃらじゃら音がして赤ん坊はキャッキャと喜んでる。
「これがあれば、あやすのが楽になりそうね」
イアンパヌが笑顔でそういう。
俺はイアンパヌにもう一つを手渡す。
「おう、どんどん使ってくれ」
俺はそのために作ったんだからな。
「とーしゃん、僕もー」
子供の練習用の小さな弓の弦を指で弾くとビンビン音がするのを面白がっている、息子のためにもなんか作るか。
弓状に曲げた木の穴を増やして、長さの違う糸を何本もはれば、西洋のハープやリラに近い楽器が出来上がる。
「これでどうだ?」
「わーい、ありがとでし」
息子が弦を適当に爪弾くといろいろな音階の音が奏でられる。
「すごいでし、おもしろいでし」
ああ、わかるわかる、ピアノとか適当に鍵盤を叩くだけでも、最初は結構面白かったりするよな。
息子は適当にベベンベンと音を奏でてるが、昔は楽譜とかはなかったから、の使い方を教えたりするのは大変だったらしいな。
まあ、そもそも楽師と言うのは即興で歌などを作ったらしいが。
この時代には、他に四角い木材に弦を張って、指で抑えることで音階を変えて其れを爪弾く縄文琴や、自然の丸い石の真ん中に穴があいて居るものを口にくわえて、其れに息を吹き込むことで音をならす石笛、これはまあラムネ笛みたいなもんだと思えばいいかな、その他にオカリナのような焼いた土に穴を開けて息を吹き込むことで音を奏でる土笛、同じく細い竹に穴を開けて息を吹き込むことで音を奏でる竹笛、木に動物の皮を貼り付けて作る太鼓や鼓、木の棒で軽く叩くことで音を鳴らす打楽器としての土偶、丸く焼いた土器の中に石を入れならず土鈴なども在る。
こういった楽器の一番最初の基礎になったのは、おそらく手をたたくこと、手拍子だな
カラオケなんかでも盛り上がると手拍子を打ったりするだろ。
打楽器は、おそらく全ての楽器の中で一番古い歴史をもっていて、木の枝でものをたたいたり、石と石を打ちあわせることで音を作り出した。
道具がない場合には、足ぶみしたり、胸や腹、尻や腕、脚などを手や拳で打つことで音を出したりした。
ニコニコのケツドラムなんかも、もともと原始時代では立派な楽器扱いだったというわけだな。
笛のような管楽器と弦楽器がどちらが古いかというとおそらく笛だ。
口笛や石笛のような音を変えないで良い楽器であれば、打楽器より古い可能性もあるしな。
それが西洋では芦や東洋では竹や土器が使われ、ほら貝なども後には使われるようになった。
笛というのは楽器というよりも、狩猟の時の合図として使われた側面が強いけどな。
弦楽器の元はやはり弓らしい。
打楽器や管楽器は、合図用から発展した楽器だけども、動物を追う時に周りを囲んで、弓のつるを一勢にならして、落とし穴に誘導したりするのにも使ったらしい。
縄文の人間にとっては祭で踊る時に使う楽器は重要だから、なんだかんだで色々在るわけだ。
無論、金属器はないから、みんなそれなりのものでは在るけどな。
おそらく最初は踊りに合わせて手拍子などを打ってるうちに、石を叩いて調子を取る人間が出てきて、いろいろな楽器ができるようになったのだろう。
残念ながら縄文の楽器は、その後大陸から渡ってきた楽器が広まることによって消滅してしまった
だが、それは当分先の話だし、まあ素朴でもそれなりに楽器が在るのはいいことじゃないかな。




