イヌは友達だが狩りの際にはこちらがリーダーとわからせないといけない
さて、縄文人は縄文イヌをパートナーとして、一緒に暮らしている。
いまは集落の子どもたちと子犬がかけっこをしたり、イヌとじゃれ合って遊んでいるが、子供にとってイヌは大切な遊び相手でもある。
「わんわん、いくでしゅよ」
”わんわん”
息子も一緒になって遊んでるな。
一緒に草原を走り回ったり、じゃれ合ったりするだけでも、心の子供が癒やされるんだが、イヌなどは、人間が悲しんでいたり苦しんでいたりすると、慰めて癒やしてくれるからイヌというのは本当に素敵な存在だ。
そして、この時代にはドッグフードはないから、犬のご飯は基本は人間の食べ残したものだ。
別に紐でくくりつけてるわけではないので、偶に自分たちでウサギなどを狩ってきて食べたりもしてるようだけどな。
そして本当は人間の食べるものは、イヌにとっては塩分が多すぎて良くないんだ。
まあ、この時代はそこまで製塩技術が進んでいないので、そこまで塩分が濃くなることもないが。
そしてこの時代における人間は、主に秋は木の実や穀物なども食べている。
石器時代のように、人間が狩猟で動物の肉だけ食べている時代なら、肉食の狼であったイヌの方も問題はないわけだが、人間が木の実や穀物も食べるようになって、イヌはけっこう困ったはずだ。
最初は自分たちが生きるために腹が減ったら、こまめに動物を狩っていたのかもしれない
木の実や穀物のデンプンを消化する酵素や細菌を、狼はもっていなかったからな。
多分人間の食生活が変わった時、イヌもかなり大変だったはずだ。
それでもいつしか、イヌはデンプンの消化酵素を手に入れることで、人間の食べ残しを食べて生きることができた。
そんな大事なパートナーであり、仲間であり家族でも在るイヌだが、狩猟の際にはあくまでも人間が指示を出し、イヌが其れに従うという関係を構築しないといけない
その他にもトリカブトなどの毒を使って獲物を倒した時に、矢毒が回ってる肉などを食べてはいけないことなど、いくつかはちゃんとしつけないといけない。
基本的には子犬同士が一緒に生活していくうちに、ある程度のルールは学ぶんだけどな。
ルールを覚えさせるのはちゃんとした行動ができたら、基本はとにかく褒めることだな。
そしてよくない行動をしたらすぐに叱る。
人間も犬に対して愛情を持って接し、イヌも主に忠誠心と愛情を持つこと。
つまりは信頼関係の構築だ、これがまず大事。
「ほれ、とってこい」
俺は骨を投げ、其れをくわえて戻ってくるように、イヌに教えている。
これは狩りの際に、狩った獲物をイヌが勝手に食べたりしないように、させるためにも必要なことだ。
”わんわん”
子犬が走り出して、骨をくわえる。
しばらく何か考えていたが、やがてってこ走って戻ってきた。
「よし、偉いぞ」
俺は子犬をなでて、干し肉を与える。
こういう事をすればご褒美が貰えると、犬が覚えてくれる。
やがて干し肉を与える場合と与えないで褒めるだけの場合もやって、褒められると嬉しい事も覚えさせる。
なんだかんだでイヌは賢いからな、ただいっぺんに複数のことを覚えることはできないから、一つ一つじっくり覚えさせていく。
何回か其れを繰り返し、やがて切り上げる。
イヌがもっと遊びたがっていても、人間が終わりと言ったら、ちゃんと従わせないといけない。
狩りのときにいつまでも山に残られても困るからな。
残念そうにしているイヌの頭を、ポンポンと叩いてダメとわからせる。
いたがるようなことをする必要はない。
「今日はもう終わりだ、いいな」
”わん”
「よし、いいこだ」
子犬がもう少し大きくなったら、一緒に林に入って、親や兄たちと一緒に行動させ、鹿や猪の匂いをおったり、吠えて足止めをしたり、噛み付いたりするようにもしないといけないな。
縄文イヌは体高が40センチ位でかなり小さい、これは食料が少なかった時代が長かったんだろう。
こうやって子供の前で犬の躾をやることで、人間の子供にもイヌの躾の仕方を教えるってわけさ。
そうして、子供はイヌとの関係を構築していって、また次に世代に其れを教える様になるはずだ。




