雪が降ったらやることは昔も今も同じ
さて、この時代は温かいので冬でもそれほど雪は積もらないが、偶には大雪が降って積もることも在る。
まあ、家が潰れるほど降ることはないが、食料が少い時代だったら大変だったよな。
もちろん雪が降ってもまあ、ウサギぐらいなら狩りに行くことはできるが、そこまで食糧事情が切羽詰まってるわけではないし、今日はのんびりするか。
「あら、雪ね。
珍しいわ」
「お外真っ白でし」
「しろー」
のほほんとしてるイアンパヌと、目を輝かせてる二人の子供。
「おう、冷たいから気をつけろよ」
俺の言葉に首をかしげる娘
「ちめたいでしか?」
「おう、触ってみるか?」
「あい」
そう言って雪に手を付ける娘
「ちべた!」
「な、冷たいだろ」
「あい、ちべたかった」
そして娘がやってることを真似する息子。
「ちべ!」
「だから冷たいって言ってるだろ」
「あい、ちべたでし」
まあ、雪だからといって、閉じこもってるのも子どもたちにはつまらんかもな。
「イアンパヌ、子供用に靴や手袋を作ってやろう」
「ええ、そうしましょう」
人類が冬の寒い中でも動き回れるようになったのは革を縫い合わせて、防寒効果の高い衣服を身につけられるようになったのに加え、手袋やブーツのような手足を冷たさから守れるような者もつくれたことが大きい。
靴は稲わらなどを編み込んでブーツ状にしたものだな
イアンパヌがなれた手つきで靴を編み込んでいく。
この時代、基本的に山に入るときや交易などで遠出をする時、夏の砂浜など怪我をする可能性が高い場合以外は、裸足で過ごすことが多いが靴そのものは在るんだぜ。
「よし、お前ら、手の大きさをはかるからてをだしてくれ」
「あい、とーしゃ」
まずは娘の手の大きさをはかって革に印をつける。
「あい」
次に息子の手の大きさを図って革に印をつける。
「よしもういいぞ」
「あーい」
「あい」
印をつけた革をナイフで切って2枚を針で縫い合わせていく。
「よしこんなもんか、ちょっと試してみてくれ」
俺は子どもたちに手袋をそれぞれ手渡した。
「あい、ありがとでし」
「あいでし」
ゴソゴソと子どもたちが手袋に手を入れていく。
「あい、はいったでし」
「あいったー」
ん、ちょっと大きいかもしれないが大丈夫そうだな。
「こっちも完成よ、はいあなた達、これをはいてちょうだい」
イアンパヌが子どもたちにブーツを手渡す。
「あい、ありがとでし」
「あいでし」
それぞれが靴を履いて手袋もしたから、これで外に出ても大丈夫そうだな。
俺やイアンパヌは冬でも家の外に出るからもとから手袋や靴は在るんで問題ないぜ。
「よし、じゃあ、外で遊ぶぞ」
「ええ、そうしましょう」
「あいでし」
「あいー」
そしてみんなで家の外にでる。
「キレーでし、きらきらでし」
「きらきらー」
「おう、じゃまずは、何か作ってみるか」
「作るでしか?」
「作る?」
「おう、じゃあまずは……」
俺は雪を握り固めて動物の形に固めていく。
「ほれ、ウサギだ」
「うしゃぎしゃんでしー」
「うしゃー」
「お前たちもやってみるといいぞ」
「あいでし、とーしゃ」
「あいー」
泥遊びと同じように子供は雪で何かを作ったりするのが大好きだからな。
「とーしゃ、できたでし」
「おうできたか、これは?」
「うりしゃんでし」
「おお、うりんぼか、よく出来てるな」
俺は娘の頭を偉い偉いとなでた。
「とーしゃ、できたー」
「おお、お前さんもできたか、これは?」
「わんわー」
「おう、わんこか、よくできたな」
「できたー」
息子の頭もえらいえらいとなでた。
そのうちに村人がぼちぼち外に出てきて同じように、雪像を作り始めた。
「じゃ雪人間を作るか」
「ゆきにんげー?」
「にんげー?」
「おうまずは小さい雪玉を作ってな、こうやって転がしていくと」
「おっきくなってくでし」
「おっきー」
「で、まずはひとつつくって、もう一つ」
と俺は雪玉をでかくしていく。
「で、其れができたら、さっき作ったにやつに乗っける」
「のっけるー」
「のっけー」
「あら、そうすると人間っぽくなるわね」
「ああそうだ、これで一応雪人間になるが、後は泥で目や鼻や口をかいたり、 木に枝を刺してやれば腕になる」
「わーい、にんげんしゃんでしー」
「にんげー」
俺の真似をして家族が雪人間を作っていく。
そして家の前に大きな雪人間が2つと小さな人間が2つできた。
「これがとーしゃ、これあかーしゃ、これがあちし、これがえしゃでし」
「おお、そうだな」
まあ雪が溶けたら、みんなんなくなってしまうが、たまにはこういうのもいいんじゃないか?。




