そして時は過ぎて上の娘が結婚することになった
さて、俺がこの時代に来て、集落に住む事になり、イアンパヌと結婚し子供が出来て、二人目の嫁を養うことになり、その連れ子もどんどん成長していった。
特に大きな争いごとや伝染病の流行などもなく、平和に時はどんどん過ぎて四季折々にその季節に有った食料をえて、行楽と食料確保を兼ねた生活を過ごし、イアンパヌやチニタや子どもたちと一緒に過ごしながら年月は過ぎていった。
そして家族全員幸いにも大きな病気や怪我はなく、皆無事に成長してくれたのは本当にありがたいことだ。
そして上の娘も15歳になると生理も来て大人の仲間入りだ。
そしてある日アシリレラが唐突にいった。
「お父さん、お母さんなんか血が出てるー」
それを聞いたイアンパヌはニコニコしながらいった。
「あらあら、おめでとう。
貴方もこれで大人の仲間入りよ」
娘もなんとなく察したようだ。
「そうなの?」
「ええ、そうよ」
なまなましい母娘の会話に男は入りづらいのであとはイアンパヌに任せた。
縄文時代でも女には当然生理は有ったし経血が出るのも同じだ。
ただこの時代では生理が始まると結婚して子作りもすぐにおこなうので、生理そのものの回数は21世紀の現代より全然少なかったりするけどな。
そして生理が始まると生理期間中の女性専用の家にしいた藁や萱、蒲の葉などの上で生理が終わるまで待つ。
まあこれは3日位で終わる。
その間は家族が食事を持っていって、一緒に藁や萱を替えたりする。
そして、生理が終わると自分の血の付いた藁や萱、蒲を持って家を出て火で焼き、蒸気ぶろで体を洗った。
血を垂れ流しにすると衛生的に良くないので隔離したわけだな。
そして生理が来れば結婚して子供を作るのは当然と言う時代だから、すぐさま村を挙げてのお祝いの祭りが開かれる。
これは結婚相手を見定めるためでもある。
やっぱ酒が入り、歌って踊れば男女の相性もなんとなくわかろうというものだからな。
隣の集落からも男がやってきたりするぞ。
やっぱり村にいる男は割りと近縁だったりするんでな。
俺やイアンパヌやチニタは高齢出産は危険であるということもあり、もう夜の営みは随分していない、この時代30過ぎたら出産はかなり危険だからやらないのだ。
まあ、それでも子供の作り方について一番上の娘はなんとなくわかってるだろうし、必要なことはイアンパヌが教えてるはずだ。
女が子供を作り、産み、育てるというのはこの時代でも集落の人数維持のために大事なことなので成人前の女は女で、男は男でそれぞれ集めて、出産経験のある女がちゃんと性的な事に関しての教育を施すのだな。
そして祭りの最中、俺は果実酒を飲みながらイアンパヌに言う。
「上の娘ももう婿を取る歳になったか。
早いものだな」
イアンパヌも酒を飲んで頷く。
「そうですね、本当にあっという間でしたね」
この時代は基本婿入り婚であり、婿となる男をを迎え入れるかどうかは母親が決める。
挨拶の時の贈り物や態度を見て娘の婿にふさわしいと思えば受け入れるし、駄目だと思ったら断る。
これからずっと一緒に生活するわけだからそのあたりは結構厳しい。
そして父親側にはそういった権限はないのでイアンパヌに任せるしかない。
やがて、アシリレラが男をつれてきた。
男が頭を下げ、装飾品や食料を渡してイアンパヌにいう。
「どうか僕を娘さんと結婚させてください」
彼の持ってきた装身具や食料を見て、娘を養えるとイアンパヌは判断したようだ。
「わかりました、娘やその兄弟ををよろしくお願いします。
そのかわりちゃんと働かないと追い出しますからね」
「は、はい、ありがとうございます」
こうして娘の旦那が家族に増えることになった。
俺にとっては男の息子がひとり増えるような感覚だな。
まあ、娘とその旦那の子作りがうまくいくかはまた別の問題だが、できれば早く孫の顔が見たいもんだな。




