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この石には意志がある!  作者: 一狼
第2部 「猛女」 / 第5章 Alice神教教会・対決編
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082.後始末

 コーリンとマードックに【隷属魔法】を掛け俺の奴隷としそのまま解放する。


 当然、ジルの事や【隷属魔法】の事は言わない様に厳命し、逆らえば死ぬように【隷属魔法】を設定しておく。


 取り敢えず今は周囲に怪しまれない程度にこれまで通りの行動をするようにして、勇人部隊に戻って内部の情報を探っておくように命じておいた。


 これまで通りの行動……直ぐにばれて死んじゃいそうだな。


 まぁ、わざわざ【隷属魔法】で縛っておいてなんだが、あまり期待しない方が良さそうだな。


 因みに今分かっている時点での勇人部隊の情報は聞きだしておいた。


 あまり役立つ情報は無かったけど。


 後は……ゴブリン騒動の後始末だな。


『シークス村には隠す? ゴブリン騒動の真実を、コーリンが黒幕と言う事を』


 えんちゃんからシークス村への対応をどうするか問われた。


『まぁ、その辺りは実はゴブリンキングが潜んでいたって言っておくさ。嘘じゃないしな』


 ゴブリンキングが策を巡らせ、村の戦力を探るべく断続的にゴブリンを送り込んでいたとか何とか、な。


 これまでゴブリンキングが見つからなかったのは、奴の方が上手で潜伏が上手かったとか。


 ……ちょっと苦しいか?


 まぁいい。ゴブリンキングが討伐されたインパクトでその裏までは気が付かないだろう。


 シークス村の人たちを騙すみたいで申し訳ないが、コーリンはジルの為に使い潰す予定なので、それで勘弁して欲しいところだ。


『っと、ビューテを助けにもいかないとな』


「分かってるよー。ビューテさんのケアもしっかりしておかないとねー」


 攫われたビューテのメンタルケアもしておかないといけないし、ちょっと後始末が地味に大変だな、これ。


 コーリンにも、ビューテにゴーリキを充てがい潜伏していた場所を聞き出していたが、一応こちらでも確認の意味でスキルを使って探し出す。


 【森羅万象】の【マップ】と【索敵】で詳細をビューテに設定し、現在地を割り出す。


 ビューテが居たのは巧妙に隠された洞窟内で、内部は意外と綺麗に整頓されていた。


 但し、ビューテが捕らわれていた部屋は目も当てられない惨状だった。


 ゴブリンに犯されれば数日のうちに多産する為、助け出されたビューテももれなく孕んでおり、幾度も犯され出産していたと思われ彼女の精神は既に壊れていた。


「ひどいー……」


『まずは胎の中に居るゴブリンを何とかしないとな』


 出産に関する魔法はこれか?


 俺は【バース】と言う魔法でビューテの胎の中のゴブリンを堕ろし、その後で【スリープ】で眠らせてから【リバース】の魔法で体を犯される前の状態に戻し、【メモリー】の魔法でビューテの攫われてからの記憶を消しておく。


 これらは全て【森羅万象】からの魔法だ。


 使い慣れない魔法の為コントロールがシビアでメチャクチャ神経を使ったよ!


『記憶を消したんだね。そうだね、こんな記憶なんか無い方がいいよ』


『あたし達は石だから子供を産むってよく分からないけど、人じゃないものを生む記憶は悍ましいものなんだろうね』


『客観的に見ても、彼女の心が壊れてしまったのも分かります』


 お気に入りの女性陣はビューテに同情的だ。


 後はかめちゃんから服を取出しビューテに着させ、ふーちゃんに横たわらせてそのままシークス村へと向かう。


 因みに他の部屋にはコーリンが増やしていたゴブリンが10数匹いたので退治して、証拠としてかめちゃんの中へ。


 ああ、ここに来る前にゴブリンキングのゴーリキとジェネラル3匹もかめちゃんの中へ入れてある。


 眠っているビューテを気遣いながらの移動だった為、シークス村へ付いた頃には日が沈みかけていた。


 シークス村ではゴブリンを警戒してた見張りがジルを見つけ、どうなったのかすごい勢いで詰め寄ってくる。


「ど、どうだった!? ゴブリンは退治したのか!? って、居なくなっていたビューテじゃないか!」


「もしかしてと思っていたがゴブリンに攫われていたのか……」


 あー、うん。しまったな。


 これじゃあ、折角ビューテの記憶を消したけど、周囲の人たちにビューテがゴブリンに襲われたって丸分かりじゃないか。


 どうしよう。いっそのこと村人全員からビューテが攫われた記憶を消すか?


『きゅー、それはやりすぎだ。もうこれ以上の事は村に任せるしかねぇよ』


『そうですね。確かに彼女は村に居辛くなるかもしれませんが、それは村で解決する事です。これ以上私達が首を突っ込むのは村にとっても過剰な支援になります』


『はーちゃん、ぼーちゃん、2人とも冷たすぎね?』


『そんなことありませんよ』


『きゅーの気持ちは分かるが、痛みを伴うのも人の生に必要な事だろ? きゅーはビューテの記憶を消すと言う最低限の事はしたからこれ以上はやめとけ』


 そう、なんだろうか?


 と言うか、石であるお前らがなんで人生を語ってるんだよ。


 前世が人間だった俺の立つ瀬がないじゃんか。


 ビューテを村の女性たちに任せ、詳細の報告をする為に村長の家へ行く。


「おお! ジルベールさん、ご無事のようで。それで、ゴブリンの方は……?」


 期待の目を込めて、村長がジルに尋ねてくる。


「えっとですねー」


 実は、ゴブリンキングが巧みに潜伏しており、次々とゴブリンを生み出しシークス村を襲わせていた事。


 その過程で生み出されたゴブリンジェネラルも居たが、シークス村周辺のゴブリンは今度こそ間違いなく退治された事。


 攫われていたビューテはゴブリンに犯されていたものの、体は完全に元の前の状態に戻しており、記憶も消した事。


 それらの事を報告し、事件は解決したことを伝えた。


「そうですか……ゴブリンが全て退治されたのは嬉しい事ですが、ビューテが……。

 分かりました。ビューテの事に関しては村の者達にこれまで通り接するように厳命しておきます」


 まぁ、難しいだろうなぁ……


 心のどこかで腫物を触るかのような態度を取って、それをビューテは過敏に察してしまうだろう。


 ぼーちゃん達が言う様に、これ以上はもう村で対処する事なんだろうな。


「もし彼女が村から出るような事があれば、ファスト村に来るようにしてくださいー。うちの村なら迎え入れますよー」


 そんな事を悩んでいると、ジルがもしもに対するビューテのフォローをしていた。


『って、いいのかよ。勝手にそんな事言って』


「(大丈夫よー。これからお願いしに行くからー)」


 って、これから許可を取るのかよ!


 確かにこの後、ファスト村へ帰郷する予定ではいたが。


「もしそのような事があったら、ビューテをよろしくお願いします」


 村長は深く頭を下げてくる。


 その後は、証拠品としてゴブリンキング、ゴブリンジェネラル、数匹のゴブリンをかめちゃんから取出し、素材等は村の損害の経費として賄う様に提供する。


 村ではゴブリン退治の感謝の意を込めた宴を開くからとジルを引き留めようとしたが、ジルは行方不明になり心配をかけていた両親のいるファルト村へ3年ぶりになる帰郷をする為と、固辞する。


 それでもシークス村を出るときは、ラムダのおっちゃんやパイちゃんを始め、大勢の村人に見送られ村を発った。


 さぁ、3年――ジルにとっては20年ぶりになるファルト村へ帰還だ!












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