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この石には意志がある!  作者: 一狼
第2部 「猛女」 / 第5章 Alice神教教会・対決編
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074.ゴブリン

「先に行くねー!」


 ジルは馬車の荷台から飛び降り、蒼玉(サファイヤ)のふーちゃんを呼び出してシークス村へと向かう。


 後方がちょっと気になるけど、多分大丈夫だろう。


 【鷹の目】で見ると、煙が上がっているシークス村は、現在ゴブリンの襲撃で大わらわだった。


 【気配探知】と【索敵】で調べたところ、5匹のゴブリンがシークス村の住人を襲っていた。


 ジルはあっという間にシークス村に辿り着き、紅玉(ルビー)のぼーちゃんを取出し村人に襲い掛かろうとしていたゴブリンを薙ぎ払う。


「やぁー!」


「ゴブブッ!?」


 ん? このゴブリン、かなりいい剣を持っているな。


 大抵ゴブリンと言えば、棍棒やら冒険者から奪い取った手入れされていない剣などが主な武器としているんだが。


 ジルはそのまま黒曜石(オブシディアン)のはーちゃんを取出し、ゴブリンの胸を突き刺し止めを刺す。


「た、助かった!」


「ゴブリンは私が相手するから避難してー」


「あんたゴブリン退治の依頼を受けた冒険者か?」


「そうだよー。ほら、速く逃げる逃げるー」


 まぁ、突然現れたジルが何者か知りたいだろうが、今は命を守ることを優先して欲しいからな。


 ジルの催促で、ゴブリンの襲撃で戸惑っていた村人は怪我人を支えながら、近くの家などに向かい避難する。


 それを逃がさないとゴブリンが追撃をしようとするが、そうは問屋が卸さない。


「ゴブゴブ!」


「ゴブー! ゴブー!」


 剣を手にして村人の背後から襲い掛かろうとするゴブリン2匹。


「ぼーちゃんー!」


『畏まりました、マスター』


 ジルの意を組み、伸びるぼーちゃん。


 上空に伸ばした伸びたぼーちゃんを振り下ろし、2匹纏めて叩き潰す。


「「グゲギャ!」」


 エグイ。


 かなりの勢いでぼーちゃんに叩き潰されたゴブリン2匹は脳漿を撒き散らし絶命する。


 村に入り込んだゴブリンは後2匹。


 1匹はこの2軒角の先に居るが、もう1匹は村の奥に進んでいるな。


 煙も奥の方から登っているところを見ると……


『ジル、気を付けろ。どうやらゴブリンマジシャンが居るみたいだ。村の奥で【火魔法】を撒き散らしている。早いとこ片付けないと村が全焼してしまうな』


「(分かったー。じゃあ先に奥の方から片付けるねー)」


 そう言ってジルはぼーちゃんを伸ばして棒高跳びの要領で一気に村の奥へと跳んでいく。


 着地にはふーちゃんを使い、浮遊の能力で軽減する。


「ゴブルル!」


 突然現れたジルに驚きつつも、すぐさま魔法で迎撃するゴブリンマジシャン。


 手にした杖から【ファイヤーボール】がジルに向かって襲い掛かる。


「えんちゃんー!」


『笑止! 我が前には愚策なり、魔法攻撃は』


 左腕に蛍石(フローライト)のえんちゃんを取り付けたジルは、そのまま【ファイヤーボール】をえんちゃんで振り払う。


 えんちゃんに触れた【ファイヤーボール】はそのままえんちゃん吸収(魔法)の能力により吸収され、魔力に返還される。


「ゴブ!?」


 まさか必殺の魔法をかき消されると思わなかったのか、思わず手を止めるゴブリンマジシャン。


 当然そんな隙を見逃さないジル。


「やーちゃんー!」


『Yeahー!』


 翠玉(エメラルド)のやーちゃんに頭を貫かれ、驚いた表情のままゴブリンマジシャンは倒される。


『あ、ヤバい』


 残り1匹のゴブリンを見ていたのだが、どうやら逃げ遅れた村人が襲われそうになっていた。


「大丈夫ー、めーちゃんー!」


 瑠璃(ラピスラズリ)のめーちゃんを放つジル。


『あたいに任せな!』


 めーちゃんの能力により、建物を全て素通り(透過)してゴブリンに突き刺さる。


 何が起きたのか分からないまま倒されるゴブリン。


 襲われそうになった村人も、突然倒されたゴブリンに呆然としていた。


『これで村に入り込んだゴブリンは片付いたな。と言うか、俺今回も何もしてないなぁ』


「きゅーちゃんの力を借りないで倒せたんだからそれでいいじゃないー」


『僕も、何もしてなぃ、よ……でも、ご主人様の、ぃうとぉり、きゅーちゃんの力は、戦ぃには、ぁまり、使わなぃ方が、ぃぃよ……』


『きゅーさんよりも自分の方が出番がありませんよ。それに客観的に見てもきゅーさんのスキルは戦闘には使わない方がいいですよ。便利過ぎて頼りすぎになりがちですから』


 へきちゃんもかめちゃんも俺のスキルは危険物扱いしてくる。


 そりゃあ、確かに俺の【百花繚乱】【千載一遇】に次ぐ、新たなスキルはちょっと扱いがヤバいけど、そこまで言わなくても。


 ゴブリンが片付いた頃に、漸くラムダのおっちゃんの馬車がシークス村に辿り着いた。


「おお、流石ジルベールさん。ゴブリン程度じゃ相手にもなりませんね」


「すっごーい! お姉ちゃん強い強い!」


 ラムダのおっちゃんとパイちゃんはあっという間に倒されたゴブリンを見ては喜んでいた。


「おお、ラムダさん! 貴方がこの方を連れて来てくれたんですか?」


「え? ちょっと待って。ジルベールって聞こえたんだけど」


「ジルベールって、あのジルベール?」


「『幻』の?」


「え? マジ? なんでS級がこんなゴブリン退治に来てるの!?」


「いや、でもすげぇ心強いじゃん!」


「ひゃっほー! ゴブリン如き目じゃねぇぜ!」


「ああ、これで安心して暮らしていけるわ……! 神様ありがとう!」


 おーおー、ジルがS級と分かった途端大騒ぎだな、これ。


 と言うか、未だに燃えている建物の火を消さなければ、大火事になっちゃうよ?


 まぁ、俺がさっさと消しちゃうんだけど。









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