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この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
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Side-7 マリアベル1

 私の名はマリアベル・グレンタール。


 Alice神教の“勇”を司る枢機卿を務めさせてもらってます。


 かつては“勇”の枢機卿は閑職と言われてました。


 “勇”の枢機卿は代々【指導者】のスキルを持つ者が務める事となっております。


 いつか現れる勇者様を指導する為です。


 つまり、“勇”の枢機卿は勇者様が居なければ、何の意味のない役職なのです。


 私は【指導者】のスキルを持っていた為、半ば無理やり“勇”の枢機卿に任命されました。


 私は最初は絶望しました。


 このまま死ぬまで“勇”の枢機卿を務めなければならないのかと。


 そんな事は許されません。


 私は選ばれた人間です。


 私はいつか頂点まで登り詰めて、世界を支配する教皇にならなければならないのです。


 故に、この状況を変えねばなりません。


 “勇”の枢機卿に新たな意味を持たせるのです。


 私は私の手足となる『勇人部隊』と言う組織を作り上げました。


 表向きは勇者様を待つのではなく、勇者様を自ら育成すると言う名目で。


 裏では時には非合法な行いをする為の部隊として。


 隊長には【英雄】のスキルをもつユーグ・ブレイハートと言う者を招きました。


 彼は【英雄】のスキルとは程遠い人物でした。


 彼の望みは金・女・権力と言った一般的な欲望を持つ俗物です。


 ですが『勇人部隊』は私の目的と彼の望みと一致しました。


 彼は喜んで私に手を貸し、自らの伝手を使って『勇人部隊』の数を揃えました。


 私はAlice神教教会から『勇人部隊』を認めさせ、運営の為の資金を得る事が出来ました。


 勇者候補生『勇人』を育成する為と称し、莫大な資金を教会より引き出します。


 資金の幾ばく(・・・)かは、私やユーグ部隊長等へ心づけ(・・・)として与えられます。


 勿論、資金の流れは外に漏れる事はありません。


 おっと、外に漏れるなんて、不正を行っているみたいですね。


 ええ、不正などではなく、心づけです。


 莫大な資金と、有能な『勇人』達により、表向きは準勇者として各地に派遣し、モンスター・魔族を討伐していきます。


 裏では教会内の“不信者”や“邪教者”の信徒を『勇人部隊』を使って処分したり、教会内に侵入してきた“不審者”を王都の転移迷宮へ送り込んだり、“邪教”が巣くう村を『勇人部隊』を使って壊滅させました。


 決して、私の政敵の暗殺や、外部からの邪魔者の排除、『勇人』の欲望を叶える為の善良な村の蹂躙をしたわけではありません。


 そうして私はAlice神教教会内で確固たる地位を確立しました。


 もう閑職と言われた“勇”の枢機卿ではないのです。


 誰もが羨望する枢機卿となりました。


 そして嬉しい事に、私が生きている間に【勇者】のスキルを持つ者が現れました。


 周囲が目を付ける前に、直ぐにアリスティラ大神殿に連れてくるように指示を出します。


 勇者様はまだ5歳と幼い子供です。


 【勇者】のスキルに目覚めたばかりで、まだ使いこなせていません。


 その為の“勇”の枢機卿による【指導者】のスキルなのです。


 【指導者】のスキルが、唯一【勇者】に“命令”が出来るのです。


 まぁ、“命令”と言っても絶対服従と言うものではありません。


 あくまで“指導”という形での“命令”です。


 ですが、私は幼い勇者様と指導者と言う立場を最大限に利用する事にしました。


 幼いころから私や『勇人部隊』の立場を上だと分からせるように“指導”し、勇者様の出身地の村をいつでも見ていると“管理”していると告げます。


 これにより、勇者様は私を“敬い”“従順”な僕となります。


 私は勇者様を得たことにより、更なる権力を手に致しました。


 最早、Alice神教教会内で私に逆らえる者は、教皇様以外にありません。


 その教皇様も私に屈するのは時間の問題でしょう。












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