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この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
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Side-6 アルベルト2

 ぼくがおうとのきょうかいにつれてこられて4かげつがたった。


 のぞんでもいない、ゆうしゃとしてのくんれんをやらされている。


 ごぜんちゅうは、ぐんじとまほうのおべんきょう。


 せんじゅつとかせんりゃくとか、まほうのつかいかたとかむりやりおべんきょうをさせられる。


 わからなかったり、まちがったりするとすぐにせんせいのむちでたたかれる。


 ごごはけんとまほうのじっせんくんれん。


 ゆーぐぶたちちょうとかいう、こわいおじさんがきのけんでぼくをいっぱいたたいてくるんだ。


「けっ、ここにきて4ヶ月も経つのに一向にちっとも強くならないな。やる気があるのか、ガキ」


 やるきなんてあるわけない。


 だってむりやりつれてこられて、むりやりくんれんをさせられているんだよ。


「4か月前とは違うのは辛うじて構えを取るくらいだな。これが使えるようになるのは先が長いぜ」


 それでもぼくはいたいおもいをしたくないから、きのけんをかまえおもいっきりこわいおじさんをたたく。


 でもぼくのけんはおじさんにはつうようしない。


 ぼくはいつものようにいっぱいたたかれおおけがをしてきをうしなう。


 めがさめるとそこはいむしつだった。


「お、目が覚めたか。今日もしごかれたな。怪我はいつものように治しておいたから、とっとと部屋に戻りな」


 いしゃのおじさんはぶっきらぼうだけど、このきょうかいのなかではいいおじさんだ。


 ぼくがいつもおおけがでいむしつにはこばれているのに、こわいおじさんやこわいおばあさんにもんくをいっているのをきいたことがあるんだ。


 よくわからないけど、おじさんがこんなたいどなのは“たちば“があるみたい。


「ありがとうございました」


 ぼくはおじさんにおれいをいって、あたえられたおへやにもどる。


 おへやにもどると、きょうかいのおねえさんがごはんをもってきてくれる。


「とっと食べなさい。毎日食べられることに感謝するんだね。世の中には食べたくても食べれない子供たちが居るんだよ」


 きいたことがある。


 すらむとかにすんでいるこどもはいつもおなかをすかせているって。


「じゃあ、ぼくのごはんをそのこどもたちに……」


「はぁ? あんたは勇者なのよ。その勇者がお腹を空かせて力が出せず魔王に負けました、ってなったら平和を望んでいる人たちに申し訳ないと思わないの?」


「でも、ぼくゆうしゃなんかになりたくない……」


「何時までも聞き分けのないガキね。あんたはどう足掻いても、世間が望んでいる勇者なのよ。下らない事を言ってないでさっさと食べなさい」


 おなかをすかせているこどもがいるっていったの、おねえさんだよ。


 でもそのことをいうと、おねえさんはまたおこってもんくをいってくる。


 ぼくはだまって、ごはんをたべる。


 そしてよるはたいりょくをつけるために、ねるまでずっとかけっこをさせられる。


 もう、まいにちずっと4かげつもおなじことをくりかえしている。


 おうちにかえりたい。


 おとうさんとおかあさんにあいたい。


 おねえちゃんにあいたい。


 あいたいよ……


 そしてつぎのひも、おべんきょうとくんれんをさせられる。


 そのくんれんのなかで、こわいおじさんがこんなことをいってきた。


「そう言えば、お前の姉貴はジルベールっつったっけ? 聞いた噂によると、なんでも最年少のS級冒険者になったって話だぜ。

 はっ、下らねぇ噂だ。ガキがS級だと? ありえねぇよ。何処から出た噂なんだか」


 おねえちゃんがSきゅうぼうけんしゃ……?


 すごいすごい!


 おねえちゃんがすごいのはわかっていたけど、こんなにすごいなんておもわなかった!


 よろこんでいたぼくだけど、つぎにこわいおじさんはしんじられないことをいった。


「だが、その噂の最年少S級冒険者が行方不明だって話だぜ」


 ………え?


「最年少のS級冒険者だって喜ばせておいて、たった1ヶ月程度で居なくなっちまうなんて、ぬか喜びもいいところだ」


 おねえちゃんがいなくなった……?


「どうせS級になったのも何か仕掛けがあったんだろ。とんだ食わせ物だぜ、お前の姉貴は」


 そんなことはおねえちゃんはしないよ!


 ほんとうにおねえちゃんはすごいんだぞ!


 おまえらなんかたばになってもかなわないほど、つよいんだぞ!


「ああ、そういえばお前を連れ戻しにここアリスティラ大神殿に来たこともあったみたいだが、お前、姉貴に会えたか? 会えなかっただろ? お前は姉貴に捨てられたんだよ」


 ちがう! おねえちゃんはぼくをみすてたりなんかしない!


 おまえらがおねえちゃんになにかしたんだろう!


「ははっ! 良い面構えになって来たじゃねぇか! さぁ、掛かってきな!」


 おまえらがおねえちゃんをかたるな!


 ゆくえふめいになったっていうのも、おまえらがうそをついているんだ!


「ああああああああああああああああっ!」


 このあと、ぼくはいつものようにぼこぼこにされた。


 その日からおねえちゃんのことで、からかわれながらしごかれた。


 1度だけきょうかいのそとにださせてもらったけど、そこでおねえちゃんのうわさをきいた。


 ……ほんとうにおねえちゃんはゆくえふめいになっていた。


 おねえちゃんをさがしにいきたいけど、まわりがそれをゆるしてくれない。


 ぼくは強くならなければならない。


 こんどはぼくがおねえちゃんをたすけるんだ。


 そしておねえちゃんになにかした、こいつらはぼくはゆるさない。


 ぜったいにおもいしらせてやる!











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