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この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
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070.時空波紋5

「悪いがそれは聞き入れられねぇな。オレ様たちが受けたのは、第4王子、あんたを始末する事だ。例え王位継承権を放棄してもな」


 チャラ男はシルバー王子の提案を退ける。


「……はぁ、それ程までに余が恐ろしいのか? 2人の兄上たちは」


「芸術狂いとは言え、あんたは優秀過ぎたんだよ。居るだけであんたは2人の王子には脅威なんだ。と言う訳で最後までやらせてもらうぜ」


「……そうか。余としては国の組織でもある“月夜(カグヤ)”の戦力をこれ以上減らしたくはないのだがな」


 うーん……? こいつらはシルバー王子の2人の兄の言う事を聞いているんだよな。


 普通は国王に命令権があるんじゃないのか?


 2人の兄が命令できるなら、シルバー王子にも命令権があるように感じるんだが。


 そんな俺の疑問を余所に、チャラ男は最後の攻撃に転じた。


「おいおい、既に勝った気でいるのか? 確かに今の状況じゃそっちが有利に見えるが、本当は俺1人居れば事足りるんだぜ」


 チャラ男は剣を構え一気に間合いを詰める。


 ――早いっ!


「かめちゃんー!」


 ジルは咄嗟にかめちゃんを呼び出し空間凍結を展開させる。


 だが、空間凍結の間合いを見切っていたのか、チャラ男は一瞬で詰めた間合いから離れ、空間凍結の外に出た。


『――っ! マズイ、かめちゃん、直ぐに空間凍結を解除しろ!』


 かめちゃんは俺の声に従い、直ぐに空間凍結を解除する。


 その直後、間合いの外から大量の【サンダーアロー】が降り注いだ。


 空間凍結中は、ジル以外は皆動きが止まっている。


 つまり、こっちの身動きが取れないうちに、チャラ男は躱しきれないほどの魔法攻撃を絶え間なく遠距離から行なおうとしていたのだ。


 空間凍結を解除しても防げない様にと。


「へきちゃんー!」


 辛うじてへきちゃんを巨大化させて【サンダーアロー】の攻撃を防ぐ。


 かめちゃんの空間凍結は、外からの干渉を弾くために攻撃は効かない。


 だが流石に長時間連続して空間凍結を掛けられるわけではない。


 無敵空間だからと空間凍結を張り続けていたら危なかっただろう。


「【桜花一閃】!」


「キャンキャン!」


 へきちゃんの影からクローディアが飛び出し、刀による一閃を繰り出す。


 同時に反対側からマックスも襲い掛かる。


「おっと、あぶねぇな」


 チャラ男はあろうことか、剣で刀を絡ませ刀を掴んでいたクローディアごと一回転させ、マックスを巻き込み弾き飛ばした。


 だが、クローディアとマックスが真正面から飛び出したのは囮だ。


 チャラ男の意識が2人に向いた隙に、シロップが取って置きの魔法を放つ。


「【サイクロンバースト】!」


 へきちゃんを消した直後にシロップが【風魔法】の【サイクロンバースト】を放った。


 【サイクロンバースト】は圧縮した風球を着弾後に破裂し爆裂を巻き起こす魔法だ。


「なるほど、こっちは囮か。だが残念、俺には効かねぇんだな、これが」


「うそっ!?」


 なっ!?


 シロップの放った【サイクロンバースト】は、チャラ男が掌で受け止め、そのまま握りつぶした。


 圧縮した空気を握りつぶすなんて人間技じゃねぇぞ!?


 クローディアを巻き込む覚悟で放ったシロップの取って置きはあっさりと防がれてしまった。


「ふははっ、驚いているか。そう、これが【村人】スキルの力だ」


「【村人】スキル……? そんなのであたしの【サイクロンバースト】が防がれたって言うの……?」


 え? 【村人】スキルってそこまで強いスキルだったのか……?


 待てよ、良く考えれば普通の村人は【村人】の(ジョブ)スキルは持ってねぇよな。


 普通は【狩人】・【木こり】・【農民】とかの(ジョブ)スキルだし、もしくは【剣術】・【火魔法】・【鍛冶】とかの技能(アビリティ)スキルだ。


 もしかして【村人】はファ○ナルファ○タジーとかの最初のジョブのたま○ぎ剣士のように、最終的には最強のジョブになるようなスキルなのか?


「【村人】スキルは鍛えれば鍛えるだけ強くなれるスキルだ。当然他の技能(アビリティ)スキルも鍛えれば使えるんだよ。こんな風にな!

 【サンダーストーム】!!」


 ――マズイッ!


 チャラ男が放った魔法は広範囲に雷の嵐を巻き起こす【雷魔法】だ。


『ちぃ……! 【千載一遇】!』


 俺は咄嗟に効果キャンセラーの【千載一遇】を放つ。


 これにより、降り注ごうとしていた雷の嵐は一瞬にして治まった。


「……っ? なんだ、どうやって防いだ……?」


 チャラ男は一瞬で魔法を消された事に訝しんでいた。


 確かにこれはチャラ男が1人居れば事足りそうだな。


 生き残っている町民と魔法使いは静観している。


「(きゅーちゃんー、ありがとー。助かったわー)」


『いや、俺のミスだ。チャラ男の魔法は予想できていた事なんだ』


 さっきの空間凍結に放たれた【サンダーアロー】を考えれば、【村人】スキルでも魔法を使えることが分かっていなければならなかったんだ。


『ねーねー。あのチャラ男は【村人】スキルで強化しているんだよね?』


『あ、なーる程。【村人】スキルで強化しているな』


「(あ、そうかー。と言う事はー)」


 俺が先の反省も踏まえ、【村人】スキルをどう対処しようか考えていると、ふーちゃんとはーちゃんは何か作戦を思いついたらしい。


 その作戦にジルが気が付いたっぽい。


「(きゅーちゃんー、えっとねー)」


 ジルから作戦を聞かされ、俺も納得する。


 確かに【村人】スキルで強化されていればされている程、効果的だな。












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