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この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
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064.3つ目の難所

 マックスの遺体は流石に迷宮大森林に埋葬するのは躊躇われたので、ジルが持って行くことになった。


 人通りがほぼ無い、時間の流れが違う為お墓が朽ちやすい等の理由からだ。


 表向きに俺が【保存】や【腐敗防止】を掛けてかめちゃんへ仕舞う。


 まぁ、クローディア辺りはかめちゃんの無限収納の他に何かあるのではないかと感付いている様子ではあるが。


「マックスー、何時か東大陸にちゃんと連れてってあげるからねー。かめちゃんお願いー」


『責任を持って保管させていただきます』


 あと、折角なのでアサシンバニーを解体し、素材をマゼンタ達と配分する。


 と言っても、シルバー達はジルのようにかめちゃんのようなアイテムボックスは持っていないので、一時的にジルがかめちゃんに入れて預かることになった。


 迷宮大森林を抜けた後、影ギルドを通して裏ギルドに配分する予定だ。


「それじゃあ世話になったな。何か困った事が有れば余を訊ねるがよい。力になろう」


 だから、シルバー王子は逃亡中なんだろう。


 いいのかよ、そんな約束をして。


「ほな、自分らはここらでお別れや。マックスはんの事は申し訳なかったわ。やけど、生きていればいい事は沢山ある。落ち込んでいる暇はあらへんで。ほな、またな!」


 マゼンダは落ち込んでいるジルを励まし、シルバー達の護衛としてそのまま別ルートを辿って森の中へ消えて行った。


 ジル達も直ぐに第3の難所を目指して大森林を進んでいく。


 流石にマックスが居なくなってからは口数も減っていたが、数日もすると徐々にジルも元気を取り戻し、いつものような明るさを見せていた。


『ようやくマスターの元気な姿を見ることが出来ました』


『ああ、最初の頃は空元気で無理をしているように見えたからな』


『うんうん、やっぱりジルちゃんは明るい方がいいよ!』


『客観的に見て、ジルベールさんの調子は戻ったみたいですね』


『姐さん……辛さを乗り越えて大人になったんだね』


『めーちゃん……それ、ちょっと、ちがぅとぉもぅよ……?』


『DownしているTimeはねぇーZe! AliveしていればGo OnしていくしかねーんだからNa!』


『我、喜ぶ、主の復活』


『いやいや、お前らの慌てぶりも大概だったからな』


 今でこそいつも通り話しているお気に入りだが、アサシンバニー戦ではジルの感情に引っ張られ言葉を話せない程暴走していた影響か、ジルの落ち込みにどう対応していいか分からずオロオロしていたのだ。


「ジルちゃん、今日はこの辺までにしておくわよ。悪いけど、また食料をお願いね」


「はいー、じゃあかめちゃんから取り出すねー」


 シロップも最初は遠慮がちにしていたが、今ではいつも通りにジルに接している。


「それではわたくしはいつも通り地竜を解体しておきますね」


「あー、私も手伝うよー」


 クローディアはかめちゃんの中に入っている大量の地竜を暇を見ては解体していた。


 ジルもクローディアに解体技術を教わりながら地竜を解体する。


 マックスが居なくなったころは寂しさを紛らわすかのように一心不乱で解体をしていたが、今は落ち着いてクローディアと歓談しながら作業を進めることが出来ていた。


 地竜の解体も一段落し、シロップが調理した夕食を食べながらジルはこの後の3つ目の難所について尋ねた。


「そう言えば3つ目の難所ってどんなんなのー?」


「うーん、1つ目や2つ目と違ってモンスターの縄張りとかじゃないんだけど、通るのにタイミングが必要な場所、かな?」


「そうですね。あそこはタイミングさえ間違わなければ時間と距離を短縮できます」


 んんー? モンスターが居なければ楽勝かと思ったが、どうもそうもいかないみたいだな。


「3つ目の難所は時間と空間が歪んでるのよ」


「それってー、迷宮大森林(ここ)じゃ当たり前なんじゃないのー?」


「そうじゃなくて、なんて言えばいいのかな?」


「確かに現在進行形で大森林の歪さを感じているでしょうけど、3つ目の難所は実際に()で見ることが出来るのですよ」


 どうやって説明しようか悩んでいるシロップをクローディアが代わりに説明する。


「難所はそこら中の空間が水面の波紋のように揺らいでいるのです。その波紋に捉われると、全く別の空間又は時間に飛ばされると思われているのですよ」


「あたし達は時空波紋って呼んでいるわ」


 時空間の穴、と言ったところか?


 クローディアは思われると言っているが、こいつらの事だ、実際に試した事が有るんだろうな。


 迷宮大森林を案内するにあたって自分たちのルートを正確に知ることは必須だ。


 空間は兎も角、時間をどうやって調べたかは疑問だが、敢えて突っ込まない方がいいんだろう。


「んー? でもそれじゃあ私達は通れないんじゃないのー?」


「いったでしょ、タイミングが合えばって。時空波紋は決まった時間に広がるのよ。時空波紋が収まっている時に通れば問題は無いわ」


「わたくし達が長い年月をかけて時空波紋の時間を調べておりますので安心してください」


 時空が歪んでいる迷宮大森林で時間ってのも変だが、ここは案内のスペシャリストである2人に任せて大丈夫だろう。


 まぁ、今はそれよりもこっちに向かってくる気配に気を付けないと。


 【気配察知】に1匹と3匹のモンスターの気配が引っかかったのだ。












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