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この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
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059.アサシンバニー1

 迷宮大森林の2か所目の難所。


 それはヴォーパルバニーの変異種、アサシンバニーの縄張りだ。


 って、また変異種かよ!って思ったが、こちらは最初から変異種がこの一帯を縄張りとし、行く道を塞いでいるらしい。


 このアサシンバニーの縄張りは、闇ギルド、影ギルド、裏ギルドの3ギルドは案内がかち合った時は共同でその討伐に当たると言う協定を結んでいるらしい。


 その一環で、アサシンバニーの手前で休憩を取る事の出来るエリアをセーフティエリアとし争う事を禁じているとの事だ。


「厄介なのはその姿を捉えるのが難しい事なんよね」


「ふっふっふ、今回はその点は心配いらないと思うよ」


 どうやらアサシンバニーの討伐には一筋縄じゃ行かないらしい。


 が、シロップは大丈夫だと言う。


 あー……これはあれだな。


「どういうこと?」


 訝しむマゼンダだが、シロップはニコニコしながらジルを見る。


「あたしの今回の案内者にその手に長けたスキルを持っているのよ。と言う訳で、期待しているわよ、ジルちゃん!」


「んー? よく分からないけど、きゅーちゃんの力が必要なのねー。大丈夫だよー。きゅーちゃんならアサシンバニー?を見つけられるよー」


『いやいや、ジルもシロップも安請け合いするなよ。スキルに引っかからないモンスターも居るんだぞ。名前から厄介そうなモンスターじゃねぇか』


「(そうー? きゅーちゃんなら簡単に見つけられると思うけどー)」


 期待してくれるのは嬉しいが、【気配探知】や【魔力探知】なんかで見つかるならシロップ達も苦労はしてないだろうよ。


「なぁ、ちょっと気になったんだが、前もそのアサシンバニーは討伐しているんだろ? ならもういないんじゃないのか?」


 そう、そこは俺も気になった。


 マックスの言う通り、これまでアサシンバニーの縄張りを通り抜けているのなら、アサシンバニーは討伐しているはず。


「まぁ、普通はそう思やろ? でもここは迷宮大森林や。外の常識は通じへん」


 マゼンダの言葉にマックスは考え込む。


 シルバーとコバルトは事前に聞いていたのかそれ程気にした風にも見えない。


 迷宮大森林……なるほどな。おそらくはそうなのだろう。


 ジルも俺と同じ答えに辿り着いたのか、その厄介さに驚いていた。


「それってー、倒しても復活するってことー?」


「お、流石ジルちゃん。S級冒険者は伊達じゃないね。そ、ここは迷宮大森林。時空間が歪んでいる迷宮(ダンジョン)と化した大森林。ただでさえ厄介なモンスターなのに何故か倒しても倒しても復活すると言う時空間が固定されたモンスターなのよ」


 おそらくだがシロップの説明から推測するに、倒しても蘇生されるのではなく、倒す前に時間が巻き戻るんだろうな。


 ゲームで言えばセーブされた時点にリセットされると言ったところか。


「それじゃあ、倒しても直ぐに復活するって事か?」


「流石に直ぐと言う訳じゃないわ。少しタイムラグが生じるから、一度倒せば1日くらいは復活しないの」


「なるほどな。その1日の内に縄張りを抜けるのか」


「そうなんだけどね。その肝心のアサシンバニーを倒すのが難しいんだよねー」


 そもそもアサシンバニーの元になったヴォーパルバニーは別名・殺戮兎と言われている。


 ホーンラビットの上位種なのだが、ただでさえ凶悪なホーンラビットを凶暴にしたのがヴォーパルバニーだ。


 集団で連携を取りながら角から放つ魔法で獲物をなぶり殺しにすると言う、とても兎とは思えない危険度C級のモンスターになる。


 で、その凶暴なヴォーパルバニーが変異したのがアサシンバニーで、まずその姿を捉える事が難しいとの事。


 持っているスキルは判明していないのだが、おそらく【隠密】や【影隠れ】を使い姿を見せずに獲物を仕留める事から付いた名が暗殺兎(アサシンバニー)と言う訳だ。


 幸いにも、変異したのはヴォーパルバニーの中の1匹だけで、群れから独立しているらしい。


 ただ、アサシンバニーの縄張りは広範囲に広がっているらしく、その広範囲の縄張りの中で姿を見せずに襲い掛かってくるアサシンバニーを倒さなければならない。


 まぁ、広範囲と言っても1km程度のものだ。


 地竜の巣(グラドラ・グランデ)に比べたら楽な方だ……よな?


「今回は幸いにもジルちゃんも居るし、戦える人数が多いからラクショーラクショー」


「シロップさん、あまり楽観的になるのもどうかと。アサシンバニーは危険度Bのモンスターですよ?」


「言っておくけど、自分は戦えへんからね」


「強欲商人は最初から数に入れてないわよ」


 あれ? マゼンダはあくまで商人なのか。


 と言う事は裏ギルドでは案内人で護衛と言う立場なのはシアンだけなのか。


 こちらは戦えるのは4人。


 向こうはシアンと……コバルトの2人だけか?


「分かっている。余も戦おう。ただそれ程役に立てるとは限らんがな」


 マゼンダの視線を受けて、シルバーは不肖無精頷く。


 ……って、え? 貴族の坊ちゃんなのに戦うの?


 と言うか、何故戦う事に納得している。


 初めからそう言う契約なのか、ここまで来るのに戦わなければならない状況でそのまま来ているのか……


「シルバー様……あまりご無理はなさらないで下さい。幾らシルバー様のスキルが戦いにも役立つとは言え、シルバー様の身の安全が第一です」


「案ずるな。余のスキルは応用が効く。身の安全だけは守られている。それに守られるだけでなく、自分でも戦えるようになっておかないと、この先、生き残ることは出来ん。この大森林を抜けるのはいい訓練にもなる」











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