表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
59/357

055.金色地竜1

「まずは小手調べー! やーちゃんー!」


 ジルは石空間からやーちゃんを取出し、金色地竜に向かって投擲する。


 場合によってはこの一撃で決まる!


 だが、俺の予想に反してやーちゃんは金色地竜に当たる直前で弾かれた。


『Shit! MeのPenetratがCancelされたZe!』


「えー!?」


『なぁっ!?』


 ちょ、おい、貫通能力を持つやーちゃんだぞ!?


 何で弾かれたんだ!?


 俺は慌てて【鑑定】を使う。




 種族:金色地竜(特殊個体)

 属性:土

 状態:憤怒化(魔王の欠片)

 脅威度:S




 はぁっ!? 脅威度Sぅ!?


 って、これが原因か!!


 状態:憤怒化(魔王の欠片)←


 魔王の欠片って何だよ!


 つまり、この金色地竜は魔王の欠片が原因で憤怒化して暴れまわっていると。


 魔王の欠片……つまり魔王の力が宿っている、と。


 魔王って【魔王】スキルを持っていて、【魔王】スキルは【勇者】スキルしか攻撃が通じないんだったよな……


 ここには勇者(アルベルト)は居ない。


 この暴れている金色地竜は誰も倒せない。


 これ詰んでんじゃん!


「(きゅーちゃんー、どうしよー?)」


 どうする? どうする? 考えろ、考えろ。


 こういう時の為に俺のスキル【百花繚乱】はあるんだろ!


 【百花繚乱】で金色地竜を倒す方法は……


 くそっ、何で【百花繚乱】は全てのスキルが使えないんだよ!


 全てのスキルが使えるなら【勇者】スキルも使えるのに!


 俺が考えている間にも、ジルは攻撃は通じないがへきちゃんやえんちゃんで防ぎつつ、ぼーちゃんやはーちゃんで金色地竜の意識を自分に向けるように攻撃していた。


『ちっ、少しでも当たれば衝撃で押し返せるのだが、直前で弾かれますね。皆、今きゅーが打開策を考えています。その間に金色地竜をマスターに近づけない様にしてください』


 ぼーちゃんの掛け声に、お気に入りの皆が威勢よく返事をする。


 おいおい、ぼーちゃんも無茶を言ってくれる。


 俺はただの平凡な元人間だぜ。


 そう言うのは作戦参謀とか軍師とか頭のいい者がするもんだ。


 とは言え、ここで俺が何とか解決策を見いだせなければどうしようもないのも事実だ。


 ……ん? 押し返せれば?


 そう言えば、ぼーちゃんは攻撃は通じなくても衝撃で押し返せればって言ってたな。


 …………あ。


 そうか、そうか、そう言う事か。


 何で俺は金色地竜に勝とうとしていたんだろう。


 そうだよ。俺達の目的は迷宮大森林を抜ける事で、金色地竜に勝つことじゃない。


 よし、だったら手はある。


 ……あれも使えるか?


 憤怒化(魔王の欠片)と言う事は【魔王】のスキルの影響を受けているはず。


 ただ、あれを使うとなればタイミングを合わせる必要があるな。


『よし、ジル。まずは周りの地竜の群れを片付いてから作戦開始だ。だからマックスたちが周囲の地竜を片付けるまでに、ジルはこの金色地竜を引き付けておけ』


「(分かったー!)」


 俺はジルが金色地竜を引き付け、マックスたちが地竜の群れを倒している間に、作戦の詳細を練る。


 それから2時間ほど経過し、残りの地竜が1匹となった。


《グォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!》


 金色地竜がブレスを吐きジルを仕留めようとする。


 ジルはそれをふーちゃんですぃーと躱し、上手く誘導して背後の地竜に当てさせる。


「よし、これで地竜は全滅だ。後は……この金色地竜を何とかしないとな」


「んっとねー、きゅーちゃんから作戦があるってー。まずはー……」


 ジルは俺の作戦を説明する。


「え、マジ? それって上手くいけばあの金色地竜が大人しくなるかもしれないって事よね!?」


「あー……、そこまで都合は良くいかねぇだろうな。まぁ、一時的には効果があるだろう。俺達はその隙を突けばいいってわけだ」


「なるほど。その作戦ならわたくし達が生き残る可能性が高いですね」


 3人とも俺の作戦に了解を得てもらえたみたいだ。


「よし、金色地竜を誘導するのは俺の役目だな」


「わたくしも行きますね。相手を翻弄するのに【くノ一】スキルはこういう時に役に立ちますわ」


 今度は、マックスとクローディアが金色地竜を引き付ける役割を受ける。


「タイミングを間違えないでねー?」


「分かってるって。俺よりもジルちゃんが一番心配だぜ。何てったってまだ子供だからな」


「うんー、それはしょうがないねー。こればっかりはー」


「ま、そこは大人に甘えな。その為に俺は付いてきたんだから」


 マックスはサムズアップをし、【韋駄天】で金色地竜をかく乱しに突っ込む。


 並走してクローディアが【くノ一】のスキルで【分身】スキルを使い、7人のクローディアが金色地竜に纏わり付く。


 俺とシロップはその間に、逃げる為の準備をする。


 そう、逃げる(・・・)ための準備だ。


 俺の辿り着いた答えは、勝てないのなら逃げればいい、だ。


 地竜の群れとは違って、金色地竜は1匹だけ。


 あの無差別に攻撃をする憤怒化を一瞬でもジル達から逸らせれば逃げ切れるはず。


 その為には、まずは俺達の囮が必要だ。


『【デコイ】【オートドライブ】』


 【デコイ】の魔法で土塊からジル達4人の背丈の土人形を作り上げる。


 【オートドライブ】で金色地竜の攻撃を避ける様に自動操縦を施す。


「【イリュージョン】」


 シロップも魔法で【デコイ】にジル達の幻影を被せる。


 よし、これで準備はOKだ。


「みんなー! 準備はいいー?」


 ジルの掛け声に、マックスたちは逃げる準備をする。


 よし、いくぜ!


『スキルキャンセラー【千載一遇】!!』











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ