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この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
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053.地竜4

 へきちゃんを背に、ジル達が襲い来る地竜の群れに立ち向かう。


 っと、その前に、俺はジル達に【身体能力向上】【スピードアップ】【パワーアップ】【体力回復力上昇】【スタミナ回復力上昇】【魔力回復力上昇】等の付与魔法を掛ける。


「え? 何!?」


「急に力が湧いてきましたね」


「あー……、これは」


 シロップとクローディアの2人は突然の付与魔法に驚き、これまで一緒に旅をしてきたマックスは何が起きたかを理解していたみたいだ。


「これは、きゅーちゃんの支援魔法だよー。色々バフが掛かっているから、戦いやすくなっているはずだよー」


「そうなの? ありがとう! ……って、素直に頷いたけど、これ、色々可笑しくない!? 掛けられている支援魔法、ありすぎて便利すぎなんだけどっ!?」


「シロップさん、言いたいことはあると思いますが、今はこの場を凌ぐことを優先いたしましょう」


「あ、うん……」


 まぁね。シロップが驚くのは無理もない。


 他の付与魔法使いはどうだか知らないけど、戦闘に有利になりすぎる魔法のオンパレードだからなぁ。


 ともあれ、地竜の巣(グラドラ・グランデ)全滅耐久レース24時間が始まった訳だ。


 24時間と言ったが、これが48時間になるのか、12時間になるのかはジル達次第なのだが。


 へきちゃんの反対側では、金色地竜が無差別に暴れまわっているから、向こう次第でも耐久レースの時間は変わる。


 流石に本当に耐久レースをさせるつもりはない。


 一応、要所要所に休憩を挟むつもりだ。


 この地竜の巣(グラドラ・グランデ)の全地竜相手にどうやって休憩を挟むつもりかって?


 こういう時こそ俺の【百花繚乱】の使いどころってね。


「はぁぁっ! 【飛燕斬】!」


 【くノ一】のスキル身代わりの術のように敵の攻撃を躱す【陽炎】から、斬撃を飛ばす【飛燕斬】を放つクローディア。


「【アイシクルランス】! 【サンダーストーム】! 【ダークネスボルテッカー】!」


 シロップも負けじと【魔導師】のスキルから【氷魔法】【雷魔法】【闇魔法】を放つ。


「うーん、このなかじゃ俺は地味だなぁ」


 そう言いながらも【韋駄天】で縦横無尽に動き回り、ヒット&アウェイを繰り返すマックス。


 マックスのが一番質が悪いと思うんだけどな。


「やーちゃんー! ふーちゃんー! かめちゃんー!」


『Yeahー! FestivalだZe!』


『あたしの新しい能力をお見舞いするよ!』


『客観的に見ても、自分の新能力はチートですね』


 翠玉(エメラルド)と化したやーちゃんは、貫通能力に加え、追尾能力が加わった。


 お蔭で、どんな方向に投げても百発百中。


 ふーちゃんは、蒼玉(サファイヤ)のスカイボードを中心に新たに加わった能力の重力を発生させる。


 重力場に押しつぶされた地竜たちは身動きが取れなくなり、やーちゃんやめーちゃんに止めを刺される。


 今は動きを封じるだけだが、その内、新能力を使いこなせれば重力場で圧殺も可能になるだろうな。


 で、完全にサポート系だったかめちゃんが、ある意味一番ヤバい新能力を手に入れていた。


 空間凍結と言う新能力は、真珠(パール)と化したかめちゃんを中心に全ての動きを止める。


 そして、かめちゃんのマスターであるジルはその空間凍結内を自由に動く事が出来るのだ。


 攻撃には転嫁できないが、まず間違いなく完全防御を敷く事が出来る。


 ……こうして見れば、お気に入りの皆はチートクラスのとんでも能力を手に入れたんだよなぁ。


 ……俺? 俺もジルが【ストーンコレクター】がLv2なった時に、皆と同じように新しいスキル【千載一遇】を手に入れたよ。


 まぁ、これもある意味チートスキルなんだけど、使う機会があるかなぁ。


 このスキル、俺達(・・)にとってはキラースキルでもあるんだよ。


 まぁ、ともあれ、ジル達4人の奮迅の活躍により、誰1人欠けることなく地竜の群れを相手に3時間が経った。


 俺は【気配探知】【魔力探知】【広範囲索敵】で地竜の巣(グラドラ・グランデ)に居る地竜が1/4ほど減ったのを確認した。


 うーむ、3時間で1/4か。


 まぁ、数字だけ見れば驚異的な成果だよな。


 群れで脅威度がAまで上がる地竜を相手に、約80匹を倒しているんだから。


 っと、約80匹の内半分は金色地竜だったな。


 あっちもあっちで化け物だな。


 スタミナは尽きることなく、未だに平然と暴れまわっている。


 こっちは全員無事だとは言え、満身創痍だ。


 シロップは早々に魔力が枯渇し、かめちゃんから取り出したマジックポーションで魔力を回復しながら戦っていたが、何度もマジックポーションでの魔力回復をしながらの魔法の行使は流石に無理がたたった。


 今は肩で息をするように喘いでいて、魔法は放てない。


 クローディアもマックスも流石にあれだけの群れを相手に被弾ゼロとはいかず、何度も致命傷を食らってはヒールポーションや俺の治癒魔法を受けては特攻を繰り返しで、意識朦朧としている。


 流石にジルもこれだけの群れを相手に長時間の戦闘は疲れを感じて息が上がっていた。


 ……他の3人に比べ、息が上がるだけで済んでいるのは可笑しいんだよな。普通は。


 本当にどうなっているんだ? この7歳児は。


「(きゅーちゃんー、ちょっと、そろそろヤバいよー)」


『ああ、分かってる。一旦休憩を入れるぞ。【サンクチュアリ】【シェルター】』


 俺は聖魔法と土魔法を使い、モンスターが寄りつかない【サンクチュアリ】と、半球状の防護室を作り上げる。


「……へ? 何これ?」


「これは……一旦休憩と言ったところでしょうか」


「ぷはー……、やっと一息つける……。これは結構きついな」


「きゅーちゃんによる、休憩室だよー。この中は安全だからゆっくり休めるよー」


 ジルの魔法だと(他人には俺を通してジルが魔法を使っていると思っている)分かると、シロップとクローディアの2人はようやく一息を付いた。


「って、ちょっと待ってよ! 初めからこの魔法で地竜の群れをやり過ごせたんじゃないのっ!?」


 シロップはその事に思い立ったのか、猛然とジルに食って掛かる。


 ああ、それ、言われると思ったよ。













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