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この石には意志がある!  作者: 一狼
第4章 迷宮大森林・疾走編
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042.拠点都市フィフス

「うげぇ~~……やっと着いた……地面に足がついているって素晴らしい……!」


 東大陸の港町フォルスから出発した大型客船は、トラブルも無く無事西大陸へと到着した。


 ジルは初めての船旅を大いに楽しんでいたが、同じく初めての船旅に顔を青くしていたのはマックスだった。


 どうも船酔いが激しく、船旅の2週間はほぼ寝たきりの状態だったのだ。


『だらしないねぇ~、大の大人がたかが船酔いでフラフラとは』


『船酔いに大人も子供もありませんよ。彼は船には弱く、マスターが船には強かった。ただそれだけです』


『そんなもんかね』


 フラフラになったマックスを見て、めーちゃんが情けないとこぼしていたが、ぼーちゃんがそれを嗜めていた。


『それよりも、やっと西大陸に戻って来たんだ。ここからが大事なとこだろう。どうやって聖王国セントルイズへ行くか、だな』


「(一応、マックスともどうするか船の中で話したんだけどねー)」


 俺とジルが今後の事を話していると、そこにふーちゃんが割り込んできた。


『ここの拠点都市フィフスで情報を集めるんだっけ? あんまり必要ないと思うけどなー。あたしが居ればびゅーんとひとっ飛びだし』


『あのなぁ……そのひとっ飛びをするルートを決めなければならないんだよ』


『真っ直ぐ目的地に進めばいいんじゃないの?』


『途中に障害物や危険エリアなどがあるだろう。それらを回避するルートを探すんだよ』


『ふーん、何か面倒だね』


 流石は石と言うべきか、どうもこいつらは人間の機微に多少疎いな。


「さて、ジルちゃん。船の中でも話した通り、二手に分かれて情報収集といこうか。

 そうだな、夕方ころに冒険者ギルドで落ち合おう」


「分かったー」


 本来であれば、子供であるジルを1人にするマックスの行動には問題があるのだろう。


 だが、ジルは普通じゃないし、これからマックスが向かうのは子供が同行するのには躊躇われる場所なのだ。


 ただ、流石に子供1人で町中を歩くのはちょっと心配な面もあるが。


 いや、ジルの戦闘力には問題は無いよ? ただ、外見だけで付け狙う奴らが居ないとも限らないんだよなぁ。


 マックスはジルを少し心配しつつ、当てがあるのか颯爽と町中へと消えて行った。


 ジルもマックスとは別方向で聖王国へ戻るルートを調べに向かう。


 さて、どう調べたらいいものかな。


 ここは拠点都市フィフス。


 何の拠点かと言えば、あらゆるものに対しての拠点となっている都市なのだ。


 東大陸へ向かう船の港としての拠点。


 北の迷宮大森林へ向かう冒険者の為の拠点。


 西の大陸横断行路へ向かう商人の為の拠点。


 南の魔王軍防衛都市の1つとしての拠点。


 と、まぁこのように西大陸の中でも重要都市の1つとして数えられている大都市なのだ。


 当然、情報もありとあらゆる情報が集まってきている。


 その中から聖王国へ向かう情報を集めなければならない。


『客観的に言えば、まず冒険者の基本は酒場での情報収集ではないのでしょうか』


 あー……かめちゃんの言わんとしている事は分かるが、子供のジルが向かう場所じゃない。


『そう言う場所はマックスが担当だな。まぁ、普通に露天で食べ物を買いながらさり気なく聞くとか、冒険者ギルドで聞くとかだな』


『じゃあ冒険者ギルドはLastだNa!』


『あんまりお嬢には関係ない場所だが、商業ギルドとかか?』


『ぁと、お勧め出来なぃけど、盗賊ギルドとか……?』


『探す、情報屋を。イコール、情報屋と盗賊』


 やーちゃんが言う様に冒険者ギルドは最後でいいだろうな。


 あとは、はーちゃんの言う商業ギルド、へきちゃんとえんちゃんが提案する盗賊ギルドか。


『盗賊ギルド関連は、これもマックスだな。そもそも俺達は盗賊ギルドを見つけることも出来ないだろうし。

 ま、まずは無難にはーちゃんの商業ギルドだな』


 この場合の盗賊ギルドと言うのは、犯罪組織のギルドではなく、職業(ジョブ)系スキルの【盗賊】や冒険者としての盗賊の組織の事を指す。


 パーティーの盗賊と言うのは、ダンジョン等の罠の解除や、事前の情報収集を主に担当している。


 その為の互助組織が盗賊ギルドだ。


 まぁ、全くの犯罪が無いわけじゃないが、必要悪としてある組織と言えばいいのか。


 中には完全に悪の犯罪組織としての盗賊ギルドがあるらしいが、それは完全に影に隠れた組織として表に出ることは無いだろう。


「(じゃー、まずは商業ギルドだねー。その前に露店で食べ物を食べながら情報収集だー)」


 俺らのアドバイスに従って、ジルはまずは商業ギルドへと向かう……前に、露店での食べ歩きを始める。


 商業ギルドで情報を仕入れた後も、旅慣れたと思われる吟遊詩人とか、町の図書館で西大陸の地図を確認したり、魔王軍と戦っている軍の施設へ赴いての情報収集の予定だな。


 尤も、軍への情報収集は聖王国への行路と言うより、勇者の情報収集がメインだったりするが。


「(そのあとは冒険者ギルドで情報収集だねー)」


『そうだな。ここも商業ギルドと同じくらい情報が集まってきているだろう。

 ……って、あ、やりようによっては簡単に情報を集められるか……?』


『どうかしたのですか。きゅー?』


『ああ、いや、何でもない』


 俺の気づきにぼーちゃんはどうしたのかと訊ねて来たが、俺は何でもないと返す。


 そう言えば、ジルはS級になったんだよなぁ。


 上手くそれを使えば、簡単に情報収集が出来そうだが……


 まぁ、あくまで情報収取なんだからS級を表に出す必要は無いか。


 それにここでジルがS級だと判明すれば大騒ぎだしな。


 マックスの情報もあるし、今はまだ大人しくしていて、必要な時にS級と言う権力を行使しないと。













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