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この石には意志がある!  作者: 一狼
第3章 ブロークンハート大陸・海渡編
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039.VSリヴァイアサン3

きゅーちゃん:ご都合主義しゅーりょー

 俺のサポートを得られないジルはひたすらリヴァイアサンの攻撃を躱す。


 連続で放たれる巨大な火球を、ふーちゃんを巧みに操りジグザグ走行で躱していく。


 時にはへきちゃんを巨大化させ、火球の直撃を防ぐ。


 リヴァイアサンは強者の余裕か、その場から動かずに攻撃している。


 って、おい! 火球ブレスだけじゃなかったのかよ!


 リヴァイアサンは火球ブレスの合間に、レーザーのような水流ブレスをも吐く。


 そりゃあ、水龍だから当たり前と言えば当たり前なのだが。


 ジルはその水流ブレスをふーちゃんを巧みに操作し、バレルロールのような機動で躱していく。


 おお、やるじゃん、ジル!


 勿論、俺もただ黙ってそれを見ている訳じゃない。


 こっちもこっちでくそ忙しいのだ。


 俺が使用しようとしている魔法は【空間魔法】の【空間湾曲】だ。


 本来、この魔法は限られた空間を限定的に広げるのに使われる魔法だ。


 例えば、小さな部屋に【空間湾曲】の魔法を掛けると、一気に大きな部屋へ早変わりする。


 外から見れば部屋の大きさは変わらず、中身だけが広い空間の部屋となるのだ。


 俺はそれを何も限りが無い空間――空へと掛ける。


 限定的な空間に掛けるのとは違い、遮る物が無い空へ【空間湾曲】を掛けるのははっきり言って無謀の一言だ。


 何処を境にして空間を歪めるのか、何処まで空間を広げるのか狭めるのか、それらをコントロールする精密さが求められるのだ。


 それに伴い、使用する魔力も桁違いに撥ね上がる。


 ……そういや俺の魔力ってどうなってるんだ?


 今まで魔力切れを起こしたことも無ければ、消費した感覚も無い。


 いや、今はそれどころじゃないな。


 一刻も早く魔法を完成させなければ。


 ジルも何時までもリヴァイアサンの攻撃を避けきれるわけじゃないし。


 ここをこうして、あ、あっちが溢れちまってる!


 くそ、【精密操作】のスキルを使っているのにそれでもここまでコントロールが難しいのか!


「くぅぅー」


 いかん、ジルもヤバくなってきている。


 ええい、これでどうだ!


『ジル! 今から一瞬だけ魔法を天から放つ! それに合わせてやれ!』


「分かったー!」


 俺は【空間湾曲】を使い、リヴァイアサンの頭上の大空に巨大な『空間湾曲レンズ』を作り上げる。


 これにより、辺り一帯の太陽の光が『空間湾曲レンズ』に集められ、一瞬だけだがこの近海の空が暗闇に包まれた。


 その一瞬の暗闇を貫く様に、天から一点に集められた太陽の灼熱の光がリヴァイアサンに降り注いだ。


 見たか! これが前世の漫画等で得られた知識で作った俺オリジナル・『天空の劫火』だ!


 『天空の劫火』の光を浴びたリヴァイアサンは、海から出している上半身は真っ黒に焦げていた。


 だが、流石S級モンスター。まだ生きていた。


 しかし、これで終わりだ。止めを……って、おいぃぃぃ! あの攻撃を受けて回復するのかよ!


 全身焦げていたリヴァイアサンの体は、僅かな煙を上げながら回復しようとしていた。


『ジル! 止めを!』


「分かってるー! いっくよー、ぼーちゃん! やーちゃん!」


 って、へ? なんだ、そのジルの持っているぼーちゃんは。


 ぼーちゃんの先には何故かやーちゃんがくっ付いていた。


 どうなってんだ、それっ!?


「ぼーちゃんー、伸びろーー!! やーちゃんー、いっけぇーー!!」


 やーちゃんが括りつけられたぼーちゃんの伸縮突きは、一瞬でリヴァイアサンの眉間を貫き、頭を貫通する。


 回復しようとしていたリヴァイアサンは一瞬、ビクンと震えたかと思うと動きを止めた。


 ぼーちゃんを元の長さに戻しリヴァイアサンの頭から抜かれた後、リヴァイアサンはそのまま崩れ落ち海上に叩きつけられる。


「やった……のー?」


『……ああ、やった。リヴァイアサンを倒した』


 俺は【望遠】【鷹の眼】でリヴァイアサンを【鑑定】し、間違いなく死亡しているのを確認する。


「ふぁー、やったー! 倒せたー!」


『ははっ、信じられねー。本当に倒しちまったよ』


「ぶー、きゅーちゃんー? 私の事信じてなかったのー?」


『いや、信じてたよ。信じてたけど、相手が相手だからなぁ……』


「やっぱり信じてなかったー」


『おいぃぃ!? 信じてたって言ってるだろー!?』


「…………」


『…………』


「ぷっ、あははー」


『はははっ』


 俺達は無事、リヴァイアサンを倒した事で緊張感から解き放たれお互い笑い合う。


 っと、そうだ。笑っている場合じゃないな。


『ジル、マックスを回収しないと』


「あー、そうだったー。忘れてたー」


 幸いと言っていいのか、ジルが氷の足場から離れたことにより、マックスはリヴァイアサンとの戦いに巻き込まれることは無かったが、1人だけ取り残されることになったがな。


「マジで倒しちまいやがった……俺はもしかして物凄い場面に立ち会ったのか……?」


 マックスを迎えに行くと、ただ茫然としていた。


 まぁ、無理もないだろうなぁ。


「マックスー?」


「あ、ああ。ジルちゃん、怪我は無いのか?」


「大丈夫ー。怪我は無いよー」


「そ、そうか。うん、凄いよ、これ途轍もない快挙だよ。町に戻ったら大騒ぎだね」


 あー、確かに。


 リヴァイアサンを倒してハーフハート大陸に向かう事を優先していたから、倒した後の事を考えてなかったな。


 E級冒険者がS級モンスターを倒すって間違いなく大騒ぎになるよな。


 ここは上手く落としどころを見つけないとならんか?


 肝心のジルは、リヴァイアサンを倒した功績はあまり興味ないみたいだし。


 おっと、リヴァイアサンを倒した証明するために、死骸を回収しておかないと。


 ……まぁ、この際かめちゃんがリヴァイアサンのような巨大な物を収納できる容量があるのがばれるのは仕方ないか。


 リヴァイアサンを倒した時点で目立たないようにするのは無理があるしな。








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