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この石には意志がある!  作者: 一狼
第3章 ブロークンハート大陸・海渡編
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033.ジルのやる気

「うんー、やっぱりリヴァイアサンを倒そー」


『はぁっ!?』


「はぁっ!?」


 ジルの突然の呟きに俺とマックスは同時に驚愕の声を上げてた。


『いやいや、待て待て。ジル、お前何を言っているのか分かっているか? お前が7歳児らしからぬ強さを持っているのは分かるが、流石にリヴァイアサンは無理があるだろう』


「ジルちゃんが子供なのに強いのは分かるよ。分かるけど流石にリヴァイアサンはちょっと無理があるかなぁと思うんだが。と言うか、倒そうと言う発想が出るのが凄いな」


 マックスには俺の声が聞こえないのだが、図らずとも2人の意見は同じだった。


 リヴァイアサンは別名海神竜と呼ばれ、脅威度は最高ランクのSの化け物だ。


 つまりリヴァイアサンを倒そうと思うのならS級の冒険者でなければ無理と言う事だ。


 しかも幾らS級の冒険者が超一流の化け物と言えどもリヴァイアサンを1人で相手するのは無茶と言える。


 まぁ、その化け物を相手できるのがS級冒険者と言うのかもしれないが。


 しかも、リヴァイアサンのフィールドは海。


 ただでさえ足場が不利な海を自在に動く相手をするのだ。


 どう考えても7歳児の子供が言うセリフじゃない。


 何故、ジルが唐突にリヴァイアサンを倒そうと言ったのかと言うと、それはこの港町フォルスに問題が生じていたからだ。


 そう、港町フォルスの沖にそのS級モンスター・リヴァイアサンが現れたのだ。


 俺達は港町に着いて早速東大陸の連絡船を管理しているマリンポートに西大陸行きのチケットを取りに来たのだが、今は一切船が出ていないのだと言う。


 詳しく話を聞けば港沖にリヴァイアサンが出現し行き来する船を悉く沈めてしまっていらしい。


 当然、漁業ギルドでも漁の中止命令を出し、船を出さない様にしている為、こっちからの船を出してもらう案も不可能と言う訳だ。


 まぁ、漁業する船で西大陸まで行くのは多少無理があるし、流石に漁師でもリヴァイアサン相手に無茶をして船を出そうとする強者はいなかった。


 と言う訳で、俺達は今は港町に足止めを食らっている。


 取り敢えず宿を取り対策を考えている訳だが……取れる対策なんてあるわけないよなぁ。


「ジルちゃんが早く西大陸に戻りたいのは分かるが、ここはどう考えても待ちだろう。大人しくS級冒険者が来るのを待つしかないよ」


 流石に自然災害とも言えるS級モンスターにこのまま居すわられると港町フォルスの経済が破綻してしまう。


 なので、この町の領主は直ぐに対策としてS級冒険者の派遣を依頼した訳だが……自由奔放のS級冒険者様はなかなかつかまらず、やっと協力を仰げた1人はこの町に来るのに約1ヶ月は掛かるのだと言う。


 それまで俺達に出来るのはただ待つことになる。


 その間の港町の経済が心配だが、領主が周辺の町に支援を依頼していると聞いているので、S級冒険者がリヴァイアサンを倒すまでの辛抱だろうな。


 尤も、その辺の事は領主の管轄だから俺が心配する事じゃないがな。


「だってー、そのS級冒険者が来るのって1ヶ月も先でしょー? 待ちきれないよー。だったら私達で倒した方が早いでしょー?」


『いや、だからジルの実力じゃ無理だって。この間の脅威度Bのコカトリスを倒したのは凄いけど、流石に脅威度Sのモンスターは無理だって』


「(やっても居ないのに無理って言うとやってみたくなるんだけどー)」


『それで失敗したら代価は自分の命だぜ。王都教会みたいな事が無いように無理はしないんじゃなかったのか?』


「(あれは焦らない事であって、無理はしないとは言ってないよー)」


 うわっ、屁理屈を言い出したよ!


「なぁ、ジルちゃん。悪い事はいわない、大人しく待っておきな」


「むー、じゃあマックスは来なくていいよー。私1人でもやるからー」


「ダメだ。これは保護者代わりとして断固して止めるぞ」


「倒せる手段があるのに黙って待っているだけだなんて時間の無駄だよー」


「倒せる手段ってジルちゃんの【ストーンコレクター】の事か?」


「そうだよー。私のお気に入りの皆は凄いんだよー。S級モンスターだなんて目じゃないよー」


 おいおい、嬉しい事を言ってくれるじゃねぇか。


 とは言え、流石にS級までは言い過ぎ…………本当に言いすぎか?


 ぼーちゃんを筆頭に様々な付加能力に、俺の【百花繚乱】のスキル。


 もしかしてジルには俺達には見えない何かが見えている……?


 ジル特有の勘か、それとも【ストーンコレクター】の見えない能力なのか……


『ジル、1つだけ聞きたい。間違いなくリヴァイアサンに勝てるんだな?』


「(うんー、それは勿論ー。あ、きゅーちゃんにも協力してもらうよー)」


 ああ、くそっ!


 こうなったら自棄だ。ジルの勝つと言う根拠に賭けよう!


 となれば、後はマックスをどう説得するかだが。


 だが、俺が説得案を出すまでも無く、マックスもジルの根拠のない根拠に何やら考えさせられるものがあったのか、条件付きで許可を出してくれた。


「1つだけ約束して欲しい。どうしても敵わないと分かった時点で直ぐに撤退する事。いいな」


「うんー、約束するー。ありがとうー、マックスー」


 うーん、マックスの奴、上手い事約束を取り付けたな。


 どうしても(・・・・・)敵わないと(・・・・・)分かった時点で(・・・・・・・)、と言う約束は、リヴァイアサンに攻撃が通じなかったと判明した時点でと言う事になる。


 つまりほぼ最初から撤退を約束したと言う事だ。


 まぁ、マックスの心配も分かるが、今の俺はジルの秘めた力を信じたくなってきている。


 どうせならリヴァイアサンの奴に一泡吹かせてやるよ。


 こんなところに居座ったことを後悔させてやるくらいにな!











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