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この石には意志がある!  作者: 一狼
第10章 魔王城ドルラメエ・最終戦
345/357

244.水流のマーマー

「そうか」


 魔王はそう一言いうだけで、それ以上何も言わない。


「え? マジ?」


 俺は思わずジルの方を見ては事実か確認する。


「うんー、ユーユーはヒビキとブラストールが倒したけど、2人とも別の魔族にやられちゃったのー。ジージーはおじーちゃんと戦ってから2人とも行方不明ー。ルールーはクローディアがその身を犠牲にして1000年前に時空波紋の魔道具で連れて行ったのー」


 おおぅ……


 2年前の決戦でそんなことが起こっていたのか。


 そうか……ブラストールとヒビキはやられちまったか。


 クローディアはルールーを道ずれに。


 ジジイは……どうでもいいか。


 寧ろジージーを何とかしたと思われるのでよくやったとだけ思っておこう。


 ふむ、つーことは、今は魔王四天王はジョージョーだけか?


「それで魔王様、事後承認になりますが、私の判断で新たな四天王を選任しております」


 ……まぁ、そう簡単にはいかないか。


「よい。妾が不甲斐なくこやつらに封じられている間、苦労を掛けた」


「勿体ないお言葉です」


「それで、今すぐにでも魔王様をお守りするためにお呼びしたいのですが」


「うむ、妾の身を守ることを認めよう」


 む、新四天王を呼ばれてしまうか。


 何とかして邪魔をしたいところだが……


「はっ、残念だったな。四天王の混沌のコーコーと完璧のパーパーは俺たちが既に倒しているぜ」


 え? 何その面白い名前の四天王は。


 俺はアルベルトの言葉に思わず心の中で突っ込みを入れてしまう。


「そうか、どうりでコーデリアの奴と連絡が取れないわけだ。ああ、パートリッジの奴はあいつはどうでもいい。ただの数合わせだからな。まぁ、コーデリアも数合わせと言うか実験の意味合いがあっただけだし。本命は……マーブルシュッドだ」


 そう言いながら、ジョージョーは時空波紋を起こし1人の女性を呼び出す。


 見たところ人間と同じ姿の妖魔族っぽいな。


 髪は床まで届くかと言うほどの緑色のストーレートロングで、スレンダーで胸はほどほど。


 装備は両腕に手甲を付けているくらいで、ほぼ布製の防具布だ。


「いきなり呼び出すとは何事ですか。事前に連絡くらい寄越してください」


「いや、すまんな急に。だが勘弁してくれ。何せ魔王様が復活して、尚且つ勇者どもも目の前に迫っているからな」


 急に呼び出されたことに不満をぶつけるマーブルシュッド?だが、ジョージョーの魔王復活の言葉に跳ね上がる様にして振り向き、魔王を確認しては直ぐに跪いた。


「魔王様、2年に渡る封印からの復活お祝い申し上げます」


「お主が、新たな四天王か。ほぅ……、なるほどな。ジョーカー、お主面白い人材を発掘したな」


「はっ、ありがとうございます。しかしながら、他の2名は数合わせと言うか、実験の為にそろえたことをお詫びいたします」


「よい。この者が居れば些細な事だ」


 え? 何? こいつそんなに凄い奴なのか?


「貴方方が勇者パーティーですか。初めまして、と申しておきます。私の名は、マーブルシュッド・マーメイド。魔王四天王の1人、水流のマーマーです」


 水流のマーマー。


 えーっと、新しい四天王は完璧のパーパー、水流のマーマー、混沌のコーコー。


 何の冗談だ? パパ、ママ、子って。


 この時まで俺は新四天王の事を軽く考えていた。


 だが、ジョージョーや魔王が言うように、このマーブルシュッドだけはまるっきり別の意味で冗談だと言えた。


「魔王様の復活は喜ばしい事ですが、それを邪魔する無粋な輩は遠慮していただきたいです。聞き入れないのであれば、力尽くでも排除いたします」


 マーブルシュッドが両手を構えてアルベルト達と対峙する。


 すると足元から水が湧き出し、幾つもの水流の柱がマーブルシュッドに絡み付くかのように周囲を漂う。


 ……あれ? こいつ、呪文を唱えたか?


 何か【第六感】が警鐘を鳴らしているぞ。


 俺は【鑑定】を使ってマーブルシュッドを観てみる。




 名前:マーブルシュッド・マーメイド

 種族:魔族

 状態:正常

 スキル:水魔法Lv999

 二つ名:水流

 備考:新四天王。神域に片足を踏み込みし者。




 ………………………………………………………………は?


 え? いや、見間違い、か?


 …………見間違いじゃない。


 ちょっ!? 何だよ【水魔法】Lv999って!?


 通常、スキルLvは99までだ。


 それを超えると化け物やら規格外、天才などと呼ばれる存在になる。


 S級冒険者の『暴風』のモレッツァや、かつて魔王軍最強と呼ばれていたらしい『深海』のディーディーの様にLv199がそうだ。


 だが、マーブルシュッドはそのLv199すらも霞んで見えるほど有り得ないレベル表示だった。


 魔王の【魔王】Lv5も特殊(エクストラ)系の中の称号(タイトル)系の中でも有り得ないレベルだが、マーブルシュッドはなまじレベル表示で判断できる技能(アビリティ)系スキルなだけに、その凄まじさがありありと分かってしまう。


「きゅーちゃんー、どうしたのー?」


「あ、ああ。あの魔族の女――マーブルシュッドの強さにちょっと、な」


「うんー、あの人が強いのは物凄く分かるよー。フツーじゃないっぽいしー。でも、私たちはここまで来て逃げることは出来ないよー」


 まぁ、そうだよな。


 2度目の魔王退治。


 今更逃げるなんて選択肢なんてない。


「おい、きゅーちゃん……だよな? 2年間魔王を封じて置いて、今更怖気づいたとか言うなよ。魔王たちが強いのは最初から分かっていた事だ。後はどうやって勝つか、だろ?」


 まさか、子供のアルベルトに励まされるとは。


 はっ、いいぜ。


 こうなりゃあとことんやってやるよ。


 俺の【森羅万象】とマーブルシュッドの【水魔法】Lv999とどっちが上か、見せてやろうじゃないか。












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