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この石には意志がある!  作者: 一狼
第3章 ブロークンハート大陸・海渡編
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031.撃退

 カッコつけマンのカングルンが盾を構えて突っ込んでくる。


 その後ろに自称サーズ1のイケてる冒険者のトンヌラとロリコンキングのチンパがそれぞれ剣と短剣を携え迫りくる。


 ジルはそれを冷静に見定め左腕にえんちゃんを装備し、ぼーちゃんを構え迎え撃つ。


 テンプレ3人組の連携攻撃をジルは危なげなく捌きながら要所要所でぼーちゃんの打撃を与える。


 俺もジルの援護に妨害魔法の【シャドウバインド】や【スネア】を使いながら攻撃魔法を放つ。


「なっ!? こいつ魔法を使うのか!?」


「きひぃ、痛い痛い! これはお仕置きが必要だぁ!」


「ふっ、かくし芸もここまで来ると立派だね」


 おいおい、魔法なんかよりも7歳の子供がお前らの攻撃を捌いている方を驚けよ。


 つーか、うん。こいつら普通の強さだな。


 ファルト村でジルに突っかかっていたブラン達より少し強いくらいか。


 うーむ、こう考えるとブラン達の強さも大概だったな。


「ぼーちゃんー伸びろー!」


 ジルが正面から盾を構え迎え撃っていたカングルンに向かってぼーちゃんを伸ばす。


 ドガンッ!


 なんと凄まじい事にぼーちゃんは盾を貫きカングルンを打ち抜く。


「なっ……!!」


 カングルンは驚きの表情でそのまま崩れ落ちる。


「ぼーちゃんー伸びろー!」


 ぼーちゃんを元の長さに戻し、こんどは背後に回っていたチンパ目がけてぼーちゃんの柄尻を脇を抜けて背後に伸ばす。


 よもや後ろを向いたまま攻撃されるとは思わなかったチンパは額を打たれてその場で一回転して気絶した。


 流石に全力でぼーちゃんを伸ばした伸縮突きを使えばチンパは死んでいたろうから、ジルが手加減したのが分かる。


「なっ……何なんだよ、お前っ! 弱っちぃただのガキじゃ無かったのかよっ!」


 いきなり2人があっさり倒されたのを見て、トンヌラは急に及び腰になっていた。


「私ー、弱いなんて一言も言ってないよー?」


「おいおい、俺はちゃんと忠告したぜ? ジルちゃんはお前らより強いってな」


 こいつらの性格じゃ弱い者いじめが精々だからなぁ。


 強いと分かればびびって逃げ出そうとするのは当然だ。


 まぁ、ここで諦めてくれればいいんだが。


 だが、トンヌラは諦めが悪かった。


 それともプライドが逃げるのを認めなかったのか。


「くっ、くそぉ! こんなガキ相手に奥の手を使う羽目になるとはっ!」


 トンヌラは懐から何やら筒――銃のようなものを取出し、ジルに向けて何かを放つ。


「喰らえ! 【ファイヤーバレット】!!」


 あー、魔法が込められた魔道具か。


 うん、確かに奥の手だな。


 但しジルが相手じゃ無かったらな。


「はっ!?」


 トンヌラの放った【ファイヤーバレット】はジルのえんちゃんに全て跳ね返され、トンヌラ自身を火達磨にした。


「さて、お前らにはいろいろ聞きたいことがあるから出るところには出てもらおうか」


 マックスは何とか火を消して息を荒げているトンヌラを睨みながら言い放つ。


 まぁ、そこからはあれよあれよと言う間に事態が進んでいった。


 マックスが何やら魔道具らしきもので連絡を取ると、冒険者ギルドらしき職員が数人来てトンヌラ達を引き取っていった。


「冒険者ギルドもトンヌラ達に目を付けていたのー?」


「ま、そう言うこった。あいつらの行動はあまりにも目に余っていたからな。他の冒険者が素行調査していて黒と判断され俺が派遣されたって訳だ」


 サーズの町の冒険者の為と言っておきながら、サーズの町の冒険者ギルドの評判を落としていたんだからな。こうなるのは当然だな。


 後で聞いた噂によれば、トンヌラ達は低ランクの冒険者への暴行はもとより、女性冒険者への強姦や、気に入らない冒険者への殺人まで犯していたらしい。


 それにより冒険者資格は剥奪され、犯罪奴隷として鉱山へ送られたとか。


 テンプレ3人組の襲撃の件が片付き、漸く受付でジルはコカトリス卵の採取の依頼の報告をする。


「ジルさん、お疲れ様でした。コカトリス卵の確認を致しました。これで依頼は完了です。報酬はこちらになります」


 受付嬢のミニィさんが暗にテンプレ3人組の事を労いながらコカトリス卵の報酬を渡してくる。


 報酬は大銀貨2枚。


 そして報酬を受け取った後、冒険者ギルドの素材売り場でコカトリスの死骸を取り出す。


 因みに冒険者ギルドでかめちゃんからコカトリスの巨体を取り出すのに人目に付くから、サーズの町に着く前にマックスのマジックバックに入れさせてもらっている。


 そしてコカトリスの素材の値段は大銀貨3枚。


 コカトリスの肉はもとより、鱗や血も防具やキュアストーンポーションの血清になったりとかなり高額で引き取られた。


 と言うか、依頼1回で渡航費用の大銀貨5枚が稼げたよ。


 だがこれはパーティーでの依頼だ。


 報酬と素材の料金はマックスと折半になる。


「いや、俺は良いよ。元々ジルちゃんのお手伝いでパーティーを組んだんだし、トンヌラ達の囮にもしちゃったからね」


 いやいや、流石にはいそうですかと言えないだろう。


 全額寄こそうとするマックスと、折半しようとするジルの話し合いの末、ジルが大銀貨4枚、マックスが大銀貨1枚となった。


 渡航費用まであと大銀貨1枚か。


 とは言え、ミニィさんの話だと大よそ大銀貨5枚なのであって、船や渡航グループによっては費用は高くつくかもしれない。


 それに渡航費用だけじゃなく、それ以外の路銀も必要だからもう多めに費用を稼いだ方がいいだろう。


『と言う訳で、ジルにはじれったいかもしれないがもう2・3日この町で居るぞ』


「(うんー、しょうがないねー。焦って王都教会の二の舞はごめんだからねー)」












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