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この石には意志がある!  作者: 一狼
第3部 「神乙女」 / 第9章 収集家の集い・参集編
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Side-93.ジルベール47 -VSアルダーコール王家1

 ドォォォーーーン!!


 ドォォォーーーン!!


 城壁都市アイファサのあちこちで爆発が起きている。


 場を混乱させるために、混乱に乗じて目的であるアル君を狙ってアイファサを爆破しているのが魔族王族。


 その主体となって行っているのが目の前で口パクをしているジン・ドニク・アルダーコール。


「…………!! …………!!」


 ファイちゃんに【サイレント】で声を封じられ何を言っているか分からないけど、身振り手振りを見た感じ、『やれ!』とか『取り押さえろ!』とか言っているんだと思う。


 ジンと一緒に現れた2人の魔族の男は指示に従って私たちの前に出る。


「やれやれ。ジン様も人使いが荒い」


「……やる……」


 1人は気怠そうに剣を構え、もう1人は小声ながらも指先に魔力を集めて何かをしようとする。


「ふーん……、この期に及んでまだちび勇者を諦めてないのか。いいぜ、あんたらの野望はこの俺様が阻止してやる! つーわけで、ちび勇者ども、ここは俺たちが抑えるからとっとと魔王の元へ行きな!」


 オズがメダルを取り出し、アベルが剣を構え、ララクレットがそれをサポートするようにボトルを取り出す。


 どうやらオズたちはジンたちを引き受けようとしてくれるみたい。


 だけど――


「却下だ。ここで戦力を分断するなんて俺は認めねぇ。やるなら! 全員で一気にだ!!」


 アル君だけじゃない。


 パトリシアもファイちゃんも同じ気持ちだ。


 そして私も。


 2年前、魔王を倒すためにそれぞれ四天王を相手取った結果、ブラストールとヒビキの2人を失ってしまった。


 あの時、戦力を分断せずに皆で戦っていたら。


 そう思ってしまうのだ。


 だから、アル君たちは今度は間違えないように、魔王と戦っても皆が生き残る方法をと。


「……ちっ、しゃーねーな。じゃあ、さっさとこいつらを片付けて魔王の元へ行こうぜ。もたついていたらアホ痴将が来ちまう」


「俺に命令するな。俺がこのパーティーのリーダーだぞ!」


 アル君は流聖剣アクセレーターを振りかぶり、ジンへ切りかかる。


 アベルは縁切剣ユビキリゲンマンから死々蜘蛛剣スパイデッドに切り替えて剣を持った魔族の男へ向かい、ファイちゃんは声が小さい魔族の男へ魔法を放つ。


 マックスは訝し気に鼻を鳴らし周囲を警戒している。


「オラぁ! 取って置きだ! 【メダルコレクター・超硬貨コンボ】!」


 オズが取り出したのは金貨・銀貨・銅貨の一般に使用する硬貨じゃなく、商人や貴族王族などが使う朱金貨・白金貨・金貨の3種類だ。


『朱金! 白金! 金! マネーイズパワー! シュ! ハ! キ!』


 ベルトに差し込まれたメダルがエネルギーを放出し、オズの体を覆いフルアーマーへと変える。


 その姿は以前の【メダルコレクター・硬貨コンボ】と変わらないけど、色合いだけが変化していた。


 兜が朱金、上半身が白金、下半身が純金へと。


 うん、成金趣味の姿だね。


 けどその分、効果は絶大だ。


 変身シークエンスにもあったように、『マネーイズパワー』の言葉通り、力だけならどのメダルコンボの中でも随一を誇る変身だ。


「喰らえやぁ!!」


 オズがファイちゃんが魔法を放ち牽制した小声の魔族の男へ拳を振り下ろす。


 ドゴォォォォンッッ!!


 地面へ叩きつけたオズの拳は半径5mは放射状に陥没し、周囲の建物を崩壊させるまでの威力だ。


「ちょっと、オズさん! 周囲の被害も考えてくださいなのなの! アイファサの衛兵に気が付かれたらメンドイことになるですです!」


 ララクレットが水魔法ボトルを使い、ボトルから水を操りながら崩壊した建物を押し出して被害を抑えている。


 アベルと剣を持つ魔族の男は、オズの一撃による衝撃をいなしながら互いに剣を交えている。


 あのアベルとまともに剣を切り結ぶ魔族の男の実力はかなりのものだ。


 そしてジンもショートソード二刀流でアル君の攻撃を捌いている。


 どうやら口だけじゃなく、腕もそこそこいいらしい。


 勿論私も黙って戦場を見ているだけじゃない。


 アイテムポーチからハルバードを取り出し、アル君と一緒にジンを追い込んでいる。


「……あー、あーあーあー……。やっと声が出るようになったか。ガルア、ゾルティ遠慮はいらん。叩きのめせ。特にその剣の男は必ず仕留めよ。さぁ、勇者よ。力づくでも我と【契約】を結んでもらうぞ」


 【サイレント】の効果はそれほど長くは続かない。


 ようやく声が出せるようになったジンはアル君に話しかけるが、アル君は一切それに取り合わず剣を繰り出す。


 うん、それが正解だね。


 下手に相槌だろうが否定の言葉だろうが、会話をすればジンの話術に飲まれて【契約】を結んでしまう可能性があるからね。


『ママ、気を付けて! 何か来るよ!』


 そうして周囲に被害を広げながらジンたちとぶつかっていると、マックスの警戒と同時に、上空から1匹の竜が飛んできた。


 そしてそのまま私たちの戦場へ降り立ち、驚くことに人の姿へと変わった。


「おいおい、ジンの兄貴、【契約】に失敗したのか? だせぇ。やっぱ俺様が居なければダメだな」


 兄貴って……また魔族王族?












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― 新着の感想 ―
[一言] 厄介な王族増えた。
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