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この石には意志がある!  作者: 一狼
第3部 「神乙女」 / 第9章 収集家の集い・参集編
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Side-86.ジルベール40 -迷案

「わざと捕まって侵入するってのはどうだ?」


「うーん……、有りと言えば有だけど、捕まった後が危険すぎるな。大人しくアイファサの牢に入れてくれればいいが、そのまま処刑ってことになったら捕まる意味が無いぜ」


「あー……そっか。その可能性があったか」


 アル君のわざと捕まる提案に、欠点があることを指摘するディーノ。


「やはり変装の魔道具で侵入するしかないのでしょうか」


「でもそれって2年前の魔道具で、おまけに数も少ないのですです。わざと捕まるのと同じくらいリスクが高いなのなの」


 パトリシアの提案は無難ではあるけど不安が残るの。


 2年前にエーデリカから貰った変装の魔道具の事は魔王軍にはバレているだろうし、対策もしているはず。


 ……新たな魔王四天王の知将がパートリッジなのを考えれば、対策をしていない可能性も高いかもしれないけど。


 もう1つの欠点は、数が少ない事だね。


 2年前に侵入した時はエーデリカから合計で8個貰ったけど、四天王遭遇戦と魔王戦で4つほど損失してしまっている。


 残った4つだけでアイファサに侵入するのは流石にはばかれる。


「オズはー? 何か考えがあるんでしょー?」


「あー……奇策と言えば奇策なんだけど、ある意味これが可能性が高いと思うぞ」


「何だよ。言ってみろよ」


「そこのパートリッジ(恥将)と手を組む」


「「「「はぁっ!?」」」」


 そうきたかー


「お前、何考えているんだ!? こんな阿保と手を組むだなんて!」


「アルベルトが魔族王族とも魔王軍とも手を組まないって決めたじゃないか」


「こんな愚物と手を組むだなんて、あり得ません」


「とうとう頭がおかしくなったなのなの」


「アルベルト様の決断に従うつもりが無いのですか?」


 パーティーメンバーからは避難轟々だ。


「オズー、言葉が足らないんじゃないのー? それだとそこのアホ知将と変わらないよー」


「はっはっはっ、みんな思った通りの反応をしてくれるな。まぁ、巨乳の言う通り言葉が足りねぇな。つまり、手を組むふり(・・)をするんだよ」


「……なるほど。そこのパートリッジ(痴将)のアホさを逆手に取る訳か」


 黙って成り行きを見守ていたアベルがオズの考えの捕捉をしてくれる。


 アベルの言葉でアル君たち何人かはそう言う事かと理解を示す。


「そういう事。そのアホ痴将は俺たちが手を組むことに何の疑いも持ってなかっただろ? 自分の策に目がくらんでいるから(アホだから)俺らを疑う事もしない。後はアイファサの中に入っちまえばこっちのもんだ。油断しているところを奇襲すればこいつ1人は倒せるだろう」


 確かに奇策だ。


 そしてパートリッジのアホさを見れば可能性が高いのも頷ける。


「確かに巧く口車に乗せればアイファサに入ることが出来るな」


「いえ、一時とは言え魔王軍と手を組むなんてあり得ません。それに……このアホと行動を共にするなんて屈辱に耐えません」


「いや、俺らの屈辱なんて魔王を倒す事に比べたら屁でもねぇよ」


「オズさんにしては名案なのなの」


「俺は賛成だ」


『うん、僕でもこの魔族がアホだって分かるよ。騙せるんじゃない?』


「この魔族が四天王と言う権力を持っているのもいいですね。私たちが侵入しやすくなります」


 どうやらパトリシア以外は皆賛成みたいだね。


「ですが、先ほどアルベルト様がこの魔族を気絶させたことで敵対したと思われるのでは?」


 リュキの指摘にあっとは思いつつも、何故か大丈夫だと言う変な安心感がある。


「そこは大丈夫だろう。このアホ痴将の事だ。攻撃されたことすら覚えていないんじゃないのか?」


 うん、だよね。


「ところで、姉さんはオズの作戦に賛成なのか?」


「うーんー……。その前に、もう1人に聞いてもいいー?」


「は? もう1人って、他に誰が?」


 アル君が私たち全員を見渡して、他に誰も居ない事を確認する。


「姉さん、誰も居ないけど」


「ねぇー、見ているんでしょー? 貴方はどう思うー?」


 私はアル君の言葉を無視してこの場を見ている第三者へと声を掛ける。


 シーーン……


 あれー? 誰も居ない?


 これって私がバカみたいじゃない。


 居るんでしょ?


 アル君以外の皆がやや可哀相なものを見る目で私を見る。


「ちょっとー、黙ってないで答えてよー。居るのは分かっているんだからー」


 シーーン……


 暫く沈黙が続いたけど、アル君が声を掛けようとした瞬間。


『――何故、居ると分かった?――』


 私たちの居る場に声が響く。












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[一言] 居たのはクロさんの弟子かな。
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