表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この石には意志がある!  作者: 一狼
第3部 「神乙女」 / 第9章 収集家の集い・参集編
306/357

Side-66.ジルベール20 ー魔王の欠片

 ジョージョーは一気に黒姫おばーちゃんへと迫る。


「黒姫様!」


 総司令官が庇うように黒姫おばーちゃんの前に出ようとするが、それを片手で制して自ら迎え撃とうとする。


 黒姫おばーちゃんは杖から刀を抜き放ち、魔道具義手で攻撃しようとしたジョージョーの左腕を絡めとる。


 あの杖、仕込み刀だったんだ。


「はっ、無駄だ! 魔王様の欠片を持つボクには攻撃は……って、なにぃっ!?」


 驚いたことに、ジョージョーの左腕の魔道具義手は根元から斬り飛ばされていた。


「退歩の原理ですよ。ジルベールさん、これを使ってください」


 驚いているジョージョーを余所に、黒姫おばーちゃんは仕込み刀を仕舞いながら黄金の篭手を私に投げて寄越す。


 って、これ魔具ハンドだ!


「魔具ハンドMarkⅡです」


 え? 何で?


 私の持っている魔具ハンドはクーガー作による唯一無二の作品だ。


 改良を施したりはしているけど、それはあくまで使用魔力の削減などであって、根幹のスキル等を抜き取る仕組みはクーガーしか作れない……はず。


 それが何で……って、今はそれどころじゃなかった!(2回目)


 とりあえず疑問は後で黒姫おばーちゃんに聞くとして、今はジョージョーの魔王の欠片を抜き取らないと。


「ハンドコネクトMarkⅡー!」


 何これ、凄い!


 MarkⅠは付けただけでも魔力体力を持っていかれるけど、MarkⅡは周囲から魔力を集めているので逆に力が溢れてきている。


 これなら1発だけでなく2発3発も打てる!


「あり得ない。時空波紋を封じる魔道具と言い、魔王の欠片を持つボクを傷つけると言い、あんた何者だ?」


「女性の秘密を探ろうとするのは失礼ですよ。それに貴方はそんな心配をしている暇はないですよ」


「ちっ!」


 エネルギー釘を携えた私を警戒して、ジョージョーは更に距離を取ろうとするが、不意に動きが止まる。


「っ!? 身動きが……っ!?」


「死々蜘蛛剣を甘く見たな」


 アベルが再び蜘蛛の糸を出して罠を張り巡らせていたのだ。


 しかも、見えない透明な極細の蜘蛛の糸だ。


「アベルー、ありがとー! これで今度こそー! ハンマーヘルー!」


 蜘蛛の糸に絡められたジョージョーにエネルギー釘をハンマーで打ち付ける。


「ハンマーヘーブンー!」


 魔具ハンドMarkⅡからせり出た釘抜きでエネルギー釘を引き抜く。


 エネルギー釘の先には魔王の欠片の光球が付いている。


「吹き飛べー!」


 私はそのままジョージョーをハンマーで叩きつける。


「くそっ! 太陽の息吹の波紋疾走!」


 ジョージョーは片手で私のハンマーを迎撃しようとする。


 バチィィッ!


 波紋疾走とハンマーがぶつかり合い、光と爆発が生じる。


 光と爆炎が収まると、そこにはジョージョーが居なかった。


「えー!? 消えたですです!?」


 全身火傷を負っていたオズとブークレ公王を引きずって部屋の隅でヒールボトルで癒していたララクレットは驚きの声を上げるが、私には辛うじて見えていた。


 ジョージョーが器用に足で魔道具義手を拾い上げ、その義手で時空波紋を起こして逃げていくのを。


 私は時空波紋を封じていたはずの黒姫おばーちゃんを見る。


「流石抜け目ないですね。先ほどのジョージョーの攻撃、躱していたと思っていたのですが、ピンポイントで魔道具を狙っていたみたいです」


 そう言いながら手に持っていた時空波紋を封じていた魔道具は真っ二つに割れていた。


「黒姫様、お怪我は無いですか?」


「ええ、大丈夫ですよ。ジョージョーには逃げられてしまいましたが、目的の魔王の欠片は抜き取ることは出来ました。さぁ、ジルベールさん。魔王の欠片を壊してしまいましょう」


 総司令官が黒姫おばーちゃんを心配していたけど、おばーちゃんの意識は魔王の欠片に向いているようだった。


「うんー、マックスー」


『ガウッ!』


 魔王の欠片の光球をマックスに向かって放り投げ、マックスはそれを噛み砕く。


 おおおおおおおおおおおおおおおおっ……


 おぞましい雄叫びを上げながら、魔王の欠片は砕け散った。


「これで、あと1つー」


「犬っころの中にある奴だけだな」


「と言う事は、勇者に会いに行くですなのなの」


 今ここでマックスの中から魔王の欠片を抜き取っても破壊できないからね。


 魔王の欠片持ち以外だと、【勇者】スキルを持つアル君じゃなきゃ。


 ジョージョーは逃がしてしまったものの、目的である魔王の欠片を壊すことが出来たので、上々と言えよう。


 事態の収拾を図りつつ、一息ついたところで黒姫おばーちゃんが話しかけてきた。


「ジルベールさん、お久しぶりですね。相変わらず規格外の強さで。お仲間も貴女に見合う実力の持ち主ですね」


 ほえ? お久しぶり?


「私、黒姫おばーちゃんに会ったことあったっけー?」


「ふふふ、まだ分かりませんか? 私ですよ、クローディアです」


「………………………………………………は?」


 えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!?


 黒姫おばーちゃんがクローディア!?












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] やっぱりクロさんだったか。というかジルさん、自分も時空に呑まれて迷宮で20年分成長したのに、時空に呑まれたと聞いた時点で考慮してなかったのか。 マックスは臭いで気付いていそう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ