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この石には意志がある!  作者: 一狼
第3章 ブロークンハート大陸・海渡編
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027.受付嬢

「すいませんー」


「あら、可愛い冒険者さんね。どのようなご用件でしょうか?」


 冒険者ギルドの受付カウンターは、まぁ普通のサイズなわけで、受付嬢からはジルはカウンターの下になって見えない。


 なので、ふーちゃんに乗って何とかカウンター越しに受付嬢と話すことが出来た。


「西大陸に行きたいんですけど、行き方教えてもらえますかー?」


「西大陸に行きたいのですか? そうでねぇ、まずはこの東大陸の玄関口と言われている港町フォルスに向かう事になります。サーズの町から大体馬車で20日らいですね」


 馬車で20日間か。


 ふーちゃんだと6・7日くらいか?


「後は港町フォルスで西大陸に向かう船を捜すことになります」


「西大陸まで行くのに船の料金は幾らくらいかかるのー?」


「そうですねぇ、船の種類にもよりますけど大体大銀貨5枚くらいでしょうか。可愛い冒険者さんにはちょっときつい金額かもしれませんが」


 大銀貨5枚=50,000G、つまり50万円だ。


 結構高いな。


 そして今のジルの所持金じゃ確実に無理。


 こりゃあ、かなり無理をして冒険者ギルドの依頼をこなさないと。


「いっぱい稼げる依頼を沢山こなすのー」


「あら、大怪我でもしたら何にもならないから無理だけはしないようにしてくださいね」


「大丈夫だよー。私にはきゅーちゃんや皆が一緒に居るからー」


 そう言って、ジルは俺が嵌められた木彫りのペンダントを掲げる。


 俺やぼーちゃん達を持ち上げてくれるのは嬉しいが、ジルのスキルを知らない人たちには何を言っているか分からないぞ。


「綺麗なペンダントですね。真ん中に嵌まっているのは……石、みたいですけど綺麗な真ん丸ですね」


「きゅーちゃんは凄いのー!」


「もしかして何かのスキルなのかしら……」


 察しが良い受付嬢なのか、ジルの自慢をスキルではないかとぼそりと呟いていた。


「後ねー、安くて私のような子供でも泊まれる宿は無いー?」


「うーん、可愛い冒険者さんが泊まれる宿ですか……1人、ですよね?」


「うんー、私1人だけー」


「もしよかったら冒険者ギルドの宿泊施設をご利用なさいますか?」


 どうやら冒険者ギルドにはお金の工面が付かない冒険者に対し、素泊まりの宿の提供もしているらしい。


 宿泊費は銅貨3枚と格安。


 保護者無しのジルにとっては宿を取るのは難しそうなので受付嬢の勧めで冒険者ギルドの宿を借りることにした。


「(きゅーちゃんー、西大陸に行くには大銀貨5枚だってー。高いねー)」


『明日の依頼次第だが、かなり効率よく稼がないとここで足止めを食っちまうな』


「(いい依頼があるといいねー)」


『依頼の奪い合いにもなりそうだからそこも注意しないとな』


 早い者勝ちともなれば、他の冒険者との奪い合いにもなる。


 そう言った事を考えれば、冒険者ギルドの宿に泊まったのは早く依頼を受けれるアドバンテージにもなるな。


「はぁい、ジルちゃん。差し入れを持ってきたわよ」


 と、ジルとこれからの事を計画していると、先ほどの受付嬢のミニィさんが夕食の差し入れを持って来てくれた。


 冒険者ギルドの宿の手続きをしている時に互いに自己紹介をし、ジルを気に入ってくれたミニィさんがあれこれ便宜を図ってくれたのだ。


 素泊まりの為、食事が無いがミニィさんが用意してくれたりとか、この後ギルドに併設されている銭湯に一緒に連れてってもらう事になっていたりする。


 因みに、今は受付の仕事が終わったと言う事でかなりくだけた口調になっている。


「ミニィさんー、ありがとー」


「ううん、いいのよ。こんな可愛いジルちゃんの為ですもの! ああん、ギュッとしてお家に持って帰りたいー!」


 そりゃあ、ジルは世界一可愛いからな! 持って帰りたい気持ちは分かるぞ。


 ジルとミニィの2人で食事をしながら雑談を交わしていく。


「え!? それじゃあジルちゃんは元々西大陸に住んでいたの!?」


 流石に勇者であるアルベルトの事や王都教会のクソババァの事は話せないので、転移迷宮に迷い込んでこの東大陸に飛ばされたと言う事にしておいた。


「それで西大陸に戻るための費用稼ぎねぇ。こんなに小さくて可愛いのにこんな苦労をして……もしよかったらお姉さんが渡航費用を貸してあげるわよ?」


 え? 大銀貨5枚ですよ?


 冒険者ギルドの職員って大銀貨5枚をポンと出せるほどもうかっているのか?


 と言うか、流石にそこまで甘える訳にはいかないだろう。


「んー、流石にそこまで甘える訳にはいかないよー。お金は自分で稼ぐのー。私は冒険者だからねー」


「こんなに立派に育ってくれて、お姉さんは嬉しいよ……! そんな立派なジルちゃんにお姉さんから為になるアドバイスを」


 依頼を受けるときには討伐依頼だけでなく、採取依頼も一緒に受けた方がいいと。


 例えばゴブリンが巣を作っている近くに採取依頼の薬草を集めるとか。


 後は、討伐依頼は出来るだけ素材を売るために綺麗な状態で倒すと。


 あ~~、そう言えばモンスターの素材と言う手があったか。


 それを考えれば転移迷宮でミノタウロス・ロードやゴブリン・キングを持ってこなかったのは痛いな。


 まぁミノタウロス・ロードはクォンに渡す約束をしてたから仕方ないが。


「そっかー、いろいろ教えてくれてありがとー」


「いえいえ、どういたしまして。じゃあそろそろお風呂いこっかー」


 ジルとミニィさんはお風呂の用意をしてギルドに併設された銭湯へ行く。


 勿論、ジルは俺をぶら下げたまま。


 ……え? もしかして俺も一緒にめくるめくる女の湯の園へ突入……?










 ………………はい、俺は当然脱衣所の籠に置かれますよねー。


 分かってたよこんちくしょう!!












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