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この石には意志がある!  作者: 一狼
第3部 「神乙女」 / 第9章 収集家の集い・参集編
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Side-52.ジルベール6 -エーデリカの変

 大静脈大河を巣とするグランスライムの討伐は完了した。


 まぁ、数日もすればまたグランスライムが中流に集まって巣を張るけど。


 討伐したグランスライムは体液や外皮は素材になるので、無事な部分はララクレットのストレージボトルへ入れておく。


 ストレージボトルは私のかめちゃんと同じように、時間停止無限収納のアイテムボックスだ。


 うん、こうして他の人のこういうところを見ると、きゅーちゃんがよく言っていた事が良く分かる。


 確かにこれはチートだよね。


「さて、こっから先は未踏破区域だ。まずは俺がこれで偵察するぜ」


 マックスに乗って時空波紋を足場にして大河を渡り切ったオズは、さっき使用した魔導メダルを取り出してベルトを使わずにメダルに魔力を流す。


 魔力を流された魔導メダルに亀裂が入り、それぞれタカとカブト虫の形をかたどる。


『クェー!』


『キチキチキチキチ!』


「よし、お前らこの先を見てこい!」


 オズの合図とともに、タカ魔導メダルとカブト虫魔導メダルは飛んでいく。


 タカ魔導メダルとカブト虫魔導メダルの視界はオズと共有しており、偵察などで役に立っている。


 まぁ、これが本来の魔導メダルの使い方らしいけど。


 1時間ほどの偵察で分かったことは、大河を渡った先は1㎞ほどはむき出しの大地が広がっていたけど、その先は大森林が広がっているらしい。


 そしてその大森林のある一角に、ポツンと一軒家があるとのこと。


 おそらくそこにエーデリカが居ると思われる。


「その家の周辺の様子はどうー?」


「んー、一応生活感はあるけど、大勢の人がいるようには見えないな」


「罠の可能性もあるから気を付けて近づくですです」


 再び3人はマックスに乗って、私はふーちゃんに乗って森を目指して進む。


 暫くして森が見え、私たちはスピードを落として警戒しながら一軒家を目指す。


 ララクレットが鷹の目ボトルや気配察知ボトルを使ってバフを掛け、罠が無いかを探りながら私たちは一軒家に辿り着いた。


 一軒家は気を組み合わせて作ったログハウスのようだ。


 ただ、長いこと手入れをされていないのか、かなりあちこちが痛んでいるように見える。


「罠が無さ過ぎて逆に怪しいなぁ……なんかボロいし」


「こういう時はゴダーダの【第六感】が欲しくなるですです」


 ララクレットはゴダーダの昔のパーティー仲間だから、ゴダーダの本当の実力を知っている。


 モレッツァを探しに出たゴダーダを無謀だとも言っていたけど。


「無いものねだりをしてもしょうがないよー。ララクレットー、中に人が居るのは間違いないんだよねー?」


「なのなの。中に1人だけ気配があるですです」


「けんちゃんー、中に居るのはエーデリカで間違いないー?」


『是:現在地で確認されているのは魔族のエーデリカ・エーデルヴァイス。他の魔族は確認されてません』


 間違いなくここに居るのはエーデリカのようだ。


「まず俺が行く」


 アベルが剣を取り出し先頭を買って出る。


 ……でも、よく考えると変よね。


 何でエーデリカは1人だけこんな未開の地に居るんだろう?


 アベルは周囲を警戒しながらドアの前に辿り着き、思いっきり蹴飛ばした。


 そしてそのまま中へ入っていき、エーデリカと思しき人物に剣を突き付ける。


「動くな」


 私たちも続いて中に入り、周囲を警戒しながら目的の人物であるエーデリカを見る。


 マックスも成犬サイズに小さくなって私たちの傍で警戒する。


 エーデリカが襲ってきたときに反撃できるのはマックスしかいないからね。


「あ、あ、あ、だだ誰ぇ……?」


「エーデリカ、だな? 魔王の娘で魔王の欠片を持っている」


「ふ、ふ、ふ、ままま魔王の娘ぇ……? それ、あああたくしの事よぉ……。ねねぇ、何処の誰かしし知らないけどぉ、あたくしと良い事しないぃ……?」


 そう言いながらアベルにしだれかかる様に寄り添おうとする。


「近づくな」


 アベルは安易には近づかないように剣をエーデリカに向ける。


「ももう……そんな野暮なことは言わないのぉぉ……ねぇ、良い事を……うぐっ! あああああ、あはは、あはははははっ、あ――――――――……あれ? あたし何をやっているんだっけ? えーと、確かお母さんを止めようと……あれ? おにーさん、誰?」


「……動くな」


 唐突の代わり様に流石のアベルも冷や汗ものだったのか、ちょっとだけ後ずさりをしていた。


「あー、エーデリカー? 久しぶりー。私の事を覚えているー?」


「あれ? ジルベール? S級冒険者の? あれ? 勇者パーティーの一員だっけ?」


「大丈夫ー? 何か体調が悪そうに見えるけどー?」


 どう見ても今のエーデリカは様子がおかしい。


「あはは、大丈夫大丈夫。で、あんた誰? あたしの命を取りに来たの? そうなのね! そう簡単にあたしを倒せると思わない事ねねぇぇぇぇええええ、あらあらぁ、わたくしの快楽ぅ、とくと味わってみるぅ~?」


「うわぁ……どこからどう見てもキ〇〇イにしか見えねぇぞ。どうなってんだこれ?」


「ですです。二重人格とは聞いていたけど、それ以上に変に見えますなのなの」


 3人にはエーデリカは二重人格だと言う事は説明しているけど、オズとララクレットが言うように、二重人格以上にエーデリカはおかしくなっていた。












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