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この石には意志がある!  作者: 一狼
第3部 「神乙女」 / 第9章 収集家の集い・参集編
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Side-51.ジルベール5 -グランスライム

 オズは取り出した3種の硬貨をベルトのバックルへと差し込む。


 バックルには3つのスリットが付いており、オズは硬貨を差し込んだ後、バックルに手をかざし魔力を流す。


 キンッキンッキンッと軽快な音を鳴らしながらベルトはその力を発揮する。


『金!銀!銅! マネー!マネー!マネー! キ・ギ・ド!』


 ベルトから音声が発し、オズの体は光に覆われ、光が収まるとそこにはフルアーマーに身を包んだオズが居た。


 フルフェイスの兜は金に輝き(ただし目の部分は赤色の複眼になっている)、上半身の部分は銀に、下半身は銅になっている。


「おし! 【メダルコレクター・硬貨コンボ】、行くぜ!」


 そう雄叫びを上げながら、オズは氷の床を駆け抜けグランスライムに拳による一撃を与える。


 ボワンと音が聞こえそうなほどグランスライムの表面が波紋を広げ、次の瞬間グランスライムの体が吹き飛んだ。


 硬貨コンボはパワーを増幅するコンボだ。


 例え衝撃を吸収緩和するグランスライムとは言えど、硬貨コンボのパワーの前には敵わないみたい。


 オズのベルトは魔道具だ。


 その作成者は、クーガーだ。


 オズは商人兼冒険者で、コレクションのメダルを集める為に情報や財力、危険な場所へ行くための力を得る為、商人と冒険者になったと言う。


 そして商人としてクーガーと知り合い、オズの【メダルコレクター】のスキルを知ったクーガーはその力を十全に引き出すためにオズのベルトを作った。


 アル君の話によると、クーガーもベルトで変身して戦ったって言ってたから、もしかしたらオズのベルトはクーガーのベルトの試作品なのかもしれない。


 これにより、オズはコレクションしたメダルの力を十全に発揮し、これまで以上に戦闘力が上がってコレクションに役立っていると。


 極端な考えかもしれないけど、そう考えればクーガーは死んでも私たちに力を貸してくれていると思うと嬉しくなる。


「相変わらず出鱈目な力ですです。あ、バフいりますなのなの?」


「貰おう」


 アベルはララクレットから2つの小さなボトルを貰い中身を飲み干す。


 ララクレットの【ボトルコレクター】のパワーボトルとスピードボトルだ。


 2つのボトルの力により、アベルのパワーとスピードは上昇する。


「俺も行ってくる」


 アベルは手にした二刀を携え、グランスライムへと向かって駆けていく。


「ジルさんも要りますなのなの?」


「私は大丈夫ー。と言うか、スライム相手じゃ今の私は戦えないからねー」


 今の私はお気に入りの皆が居ないから、スライムとの相性は悪い。


 一応、アイテムポーチから今のメインウエポンのハルバードを取り出しておくけど、スライムとまともに打ち合えばあっという間に武器が溶かされてしまうので、ララクレットと岸からアベルとオズの応援だ。


 後は魔道具による魔法攻撃だけど、今手元にあるのは使い捨ての魔道具しかない。


 現状、アベルとオズがグランスライムを圧倒しているから無理して使う必要は無いしね。


「早く使いやすい魔道具が見つかるといいですなのなの」


 そう言いながらララクレットも2人が怪我をしても大丈夫なように、新たなボトル――ヒールボトルを取り出しておく。


「よし! 外皮が削れたから核狙いだ!」


 オズは新たなメダルを取り出しベルトのバックルへと差し込む。


『カブト!タカ!ウサギ! 魔導!起動!駆動! カタサギ!カタサギ!』


「【メダルコレクター・魔導コンボ】! 【ファイヤーボール】!」


 今度は頭がカブト虫を模した青色、上半身が背中に鷹の翼が付いた赤色、下半身がウサギの脚力を備えた白色のフルアーマー状態に変身する。


 えーと、確か魔導メダルはこの東大陸で手に入れたメダルだったよね。


 もうさっそく使いこなしているんだ。


 オズの夜な夜な文献を読み漁った結果によると、魔導メダルは魔法の力を兼ね備えているらしい。


 ベルトを使えば変身した後は、魔法スキルが無くても本当に魔法が使えるみたい。


 オズは外皮を吹き飛ばしたグランスライムの中心――核を狙い、【火魔法】で次々に攻撃していく。


 もう1人のアベルも、手にした火炎剣フレイムバーストで焼くと同時にグランスライムの外皮をどんどん削っていく。


 そしてある程度外皮を削った後は、中心核に向かって特大の炎を纏った火炎剣でグランスライムを真っ二つに切り裂いた。


「はえー、オズの出鱈目さも凄いけど、アベルさんの【ソードコレクター】も凄いですです。あれであたしたちの様に剣に能力を付加していない素の力なんですよねなのなの」


「うんー、アベルは凄いよー。あの剣裁きとかは自力で身に着けたんだからねー」


 私たちが2人の力に感心している間にもグランスライムはどんどん数を減らしていき、5匹居たグランスライムはあっという間に倒された。


 こうして簡単に片付いたように見えるけど、確かグランスライムは脅威度Aの普通の冒険者には討伐が難しいモンスターなんだよね。


 収集(コレクター)系スキルのメンバーで集めたパーティーだけど、かなり強い部類に入るパーティーだ。


 これで大河の向こう側に渡り、エーデリカの元へ行くことが出来るようになった。












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