表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この石には意志がある!  作者: 一狼
第3部 「神乙女」 / 第9章 収集家の集い・参集編
290/357

Side-50.ジルベール4 ー収集家の集い2

 私たちは今、魔王の欠片を目指してブロークンハート大陸――東大陸に居る。


 東大陸の最東端の町、ザサティーンの町よりさらに東に進んだところの森を抜けた先で一夜を明かしたわけだ。


 ここから先へ進むと東大陸を左右に分断する、大静脈大河が北から南へと流れている。


 その大河の先に魔王の欠片を所持したエーデリカが潜んでいるのだ。


 これはこの世のあらゆる知識を識ことが出来る賢者の石であるけんちゃんに聞いたことだから間違いない。


 尤も、そんなけんちゃんでも全てを識ってるわけじゃない。


 以前、きゅーちゃんらお気に入りの皆が無事かどうか聞いた時は……


『不:【ストーンコレクター】のお気に入りの状態については……biー!biー!biー! system error! AliceSystemにaccessできません。質問を変えてください』


 なんて意味不明の言葉を言ってきゅーちゃんたちの状態を聞くことが出来なかったのだ。


 とは言え、この大河の先にエーデリカが居る事は間違いないだろうから、私たちはそこを目指している。


 そう言えば、私が初めて東大陸に来たときは、開拓の最前線であったのはサーズの町だったなぁ。


 今はそれなりの規模の町になっていて、結構にぎわってたなぁ。


 5年ぶりにあった冒険者ギルドの受付嬢ミニィさんとも再会した時は喜んでたっけ。


 サーズの町からザサティーンの町に行くときは色々便宜を図ってもらったりしたよ。


 その甲斐もあって、結構早く大静脈大河付近に辿り着くことが出来た。


「さて、早いとこ大河に向かおうぜ。犬っころ、また頼むぜ。ちびっ子は落ちるなよ」


『犬っころじゃない! 僕は狼だって何回言えば分かるんだよ!』


「あたしはちびっこじゃないですです! こう見えても立派な大人のレディなのなの!」


 オズは気の良い人なんだけど、欠点が人の名前をあだ名で呼んじゃう所。


 マックスは犬呼ばわりだし、ララクレットは子ども呼ばわりだ。


「駄目だよー、オズー。ちゃんと人の名前を呼んであげないとー。マックスは犬じゃないし、ララクレットはドワーフだから子供に見えるけどちゃんと15歳なんだから大人扱いしてあげないとー」


「いや、犬っころは犬っころだろ。ちびっ子もちびっ子だし。巨乳は巨乳だし、剣バカは剣バカだろ。なんか可笑しなところあるのか?」


 いや、だから可笑しなことだらけなんだけど。


 私は巨乳呼ばわりだし、アベルは剣バカ呼ばわり。


 確かに私は他の人に比べておっぱいが大きいけど、巨乳呼ばわりは無いと思うなぁ。


 こういうのなんて言ったっけ? 確かきゅーちゃんが言ってたのが……そうそう、セクハラだ。


 女の人にエッチなことを言って辱める事を指す言葉だったはず。


 アベルは何故か剣バカ呼ばわりは嬉しいのか、剣バカ呼びをするとどことなく上機嫌になる。


 もう、オズのあだ名呼ばわりは一種の病気かもしれないかも。


「はぁー、私たちは良いけど、他の人をあだ名で呼んじゃダメだよー?」


「うむ、善処する。と言う訳で早く行くぞ!」


 善処するって言っているけど、全然その気はないんだろうなぁ。


 パーティーを組んでから一貫して全員があだ名呼ばわりだし。


 まぁ、オズの言う通り今は早く大河を目指して行かないと。


 グズグズしていたらまた1日をここで明かすことになっちゃうからね。


 マックスはアベルとオズとララクレットを背中に乗せて、さらに東の大河に向かって走る。


 私もふーちゃんに乗ってマックスと並走しながら大河へと向かう。


 程なくして私たちは大河に到着した。


 大陸を横断する大河だけあって、向こう岸までの幅は優に100mは超えている。


 これが北の上流ならもう少し川幅は狭いんだろうけど、その分スライムが多く生存し、南の下流なら川幅はもっと広く、渡るのに時間と労力が多く消費される。


 東大陸の大河の向こうに進むには、上流のスライム塗れか、中流のグランスライムか、下流の川幅かどれかを選ばなければならない。


 私たちコレクターズが選んだのは、時間が最も短縮される中流によるグランスライム突破だ。


「さて、大饅頭は……居た居た。ひーふーみー、見える範囲で5匹か。手こずればもっと増えそうだな」


「集まる前にやっつければ問題ないですです。と言う訳で、アベルさん頼みますなのなの」


 ララクレットの要請を受けて、アベルは【ソードコレクター】の収納空間から1振りの剣を取り出し、大河の端へ寄り河へ剣を突き刺す。


 アベルが突き刺した剣から河がどんどん凍っていき、中央に鎮座するグランスライムまで氷の足場が完成した。


 アベルが大河に刺した剣は、氷河剣アイスエイジ。


 切ったものを凍らせる途轍もない剣だ。


「行こう」


 アベルはさらに別の剣を取り出し、二刀流で戦うようだ。


「さて、俺も行くぜ。まずは大饅頭の外皮を吹き飛ばさなければならないから、これだな」


 そう言ってオズが取り出したのは金貨、銀貨、銅貨の3種の硬貨だった。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ