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この石には意志がある!  作者: 一狼
第3部 「神乙女」 / 第9章 収集家の集い・参集編
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Side-48.ジルベール2 -勇者パーティー解散

「アベルー、ララクレットー、おはよー。マックスもおはよー」


 私はリビングで朝食の準備をしているララクレットと、くつろいでいるアベルとマックスに挨拶をする。


「お早う」


「おはようございますなのなの!」


『ママ、おはよう!』


「アベルは相変わらず早いねー」


「習慣」


 毎日早起きして朝の鍛錬をしているから習慣になっているって事かな?


 アベルはあまり喋らず声が小さく口数が少なくて勘違いされやすい。


 だけどこう見えてS級冒険者だ。


 アベルは愛称で、本名はアベレージ・アトランダム。


 最初のであった頃はほぼ口を開かなかったので、小声で自己紹介をした時アベルと聞き間違えたのが愛称の始まりだったりする。


 今ではかなり慣れたらしく、少しだけだけど会話をしてくれるようになったの。


 アベルは私と違って一芸に秀でて一気にS級になった訳ではなく、地道に1つずつランクを上げて実力を付けた本物のS級冒険者だ。


 もう1人のちょっと変わった語尾を付けているドワーフはララクレットと言い、15歳だから冒険者としてはまだ駆け出しともいえるD級冒険者だけど、彼女の持つ能力は私たちの活動には大変役に立っている。


 因みに語尾はキャラ設定なのだそうだ。


 そしてもう1人のメンバーと合わせて4人と1匹でパーティーを組んで活動をしている。


「オズはー? まだ寝ているのー?」


「そうみたいなのなの。あ、言ってたら起きてきたなのなの」


「おあよー。皆早いなー」


 噂をすれば……とはちょっと違うかな?


 最後のパーティーメンバーが起きてきて私たちに挨拶をする。


 かなり眠そうだ。


「また夜更かしで文献をあさっていたのですです?」


「あははー。ついつい読み込んじゃってな。切りのいいタイミングが見つからなくて」


「夜更かしをするなとは言わないけど、ほどほどにねー」


「分かってるよ」


 私の注意に申し訳なさそうに頭を竦めるオズ。


 S級冒険者と言う事から、私はこのパーティーのリーダーを務めている。


 同じS級であるアベルも居るけど、あの性格だから私がリーダーと言うことになったの。


 もともと私の目的の為にメンバーを集めたからでもあるけど。


 そう、前の勇者パーティーは2年前に解散した。


 ただし、諦めたための解散じゃなく、もう1度挑戦するための解散だ。


 2年前、勇者が魔王に敗れたと言う事は世間に公式に公表された。


 勿論、世間は勇者に不信感を抱いたり、絶望したりと荒れはしたけど、当時のアル君の年齢や、実力不足と言う事で再び魔王に挑む事で希望を見出してある程度納得してもらっている。


 まぁ、全員が全員、アル君の事を認めたわけじゃないけど。


 中には勇者に頼らずに他の方法で魔王を倒そうという一派も出てきているらしいけど、勇者以外に魔王に一撃を与えることが出来ない以上、絵空事で終わっているというのが実情だ。


 アル君も実力をつける為、この2年間、連合軍と行動を共にし、最前線で魔王軍と戦っている。


 今の最前線はドワーフの国、ボードランプ国だ。


 ボードランプ国は王族に復帰したフレイドが国の復興に尽力を注いでいるという話だ。


 連合軍やアル君と協力し、魔王軍を追い払いながらなんとかやっているみたい。


 リュキもアル君に仕えるメイドだからと言う事で無理やり付いていって、アル君のサポートやフレイドへの協力をしている。


 ディーノも連合軍に残り、第5軍でその運送能力を発揮してアル君の僅かながら力になっているみたい。


 パトリシアはアル君の蘇生に力を注ぎすぎて1年間昏睡状態だったけど、1年前に目を覚ましてからは聖女としてではなく、〝勇″の枢機卿としてAlice神教協会でアル君の後方支援を担うことにしたみたい。


 アル君が再び魔王に挑むときは必ず駆けつけると約束して。


 それまでは聖女を封印してアル君の役に立つためにいろいろ学ぶための枢機卿だとか。


 ゴダーダはあのS級冒険者の『暴風』のモレッツァを探すための旅に出ている。


 彼女は極度の方向音痴だから、今現在どこに居るかすら分からない。


 それを探し出せるのはゴダーダを置いて他には居ないから。


 モレッツァが居れば、魔王軍に対抗するためにもかなりの戦力になるけど、彼女を探し出すまでが大変みたい。


 以前、一度は彼女の勧誘を却下したけど、アル君が一度魔王に敗れたことから形振りはかまってられず、ゴダーダは自らその役を買って出た。


 だけど2年たった今でもモレッツァは見つかってないらしい。


 ゴダーダは諦めずにまだ探している。


 魔王に挑む前に必ず見つけ出すとアル君と約束をしたみたい。


 ファイちゃんは魔王に自分の力が通じなかったのを悔やみ、力をつけるためにエルフの国――大樹国エルヴィンに戻って修行中だ。


 ファイちゃんもまた、アル君に今度こそ力になると約束し、再び魔王に挑むときには駆けつけると。


 そして私は、最後にきゅーちゃんが教えてくれた魔王の倒し方、それを実践するために新たに別の仲間を募り、アル君たちとは別行動をしている。


 そう、魔王の不死身の秘密である魔王の欠片を探して破壊するために。












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